ひとことで言うと

  • 制約がない最適化では、最適点で1階微分(多変数なら勾配)がゼロになります(1階の条件=必要条件)。
  • 2階微分が正なら極小、負なら極大で、多変数ではヘッセ行列の符号(正定値・負定値)で判定します(2階の条件)。
  • 目的関数が凸(凹)なら、1階の条件を満たす点がそのまま最小(最大)になります。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「制約なし非線形最適化の条件」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (9) 最適化手法
協会の学習ポイント 制約条件のない非線形最適化問題の最適性条件について理解する。

制約なし非線形最適化の最適性条件とは

変数の値を自由に選べる(制約条件がない)状況で、非線形の目的関数を最大化・最小化する問題を考えます。答えは、グラフの山の頂上や谷の底に当たる点です。

1階の条件(必要条件)

山の頂上や谷の底では、接線が水平になるので f′(x)=0 です。多変数関数f(x1, …, xn)なら、すべての変数について偏微分が0、つまり偏微分を並べた勾配ベクトルがゼロになります。これを満たす点を停留点といいます。ただし、停留点は最大・最小の候補にすぎず、極大でも極小でもない点(鞍点など)も含まれます。

2階の条件(十分条件)

停留点で f′′(x)>0 なら下に凸なので極小、f′′(x)<0 なら上に凸なので極大です。多変数では、2階偏微分を並べたヘッセ行列を使い、それが正定値なら極小、負定値なら極大と判定します。2変数の場合、fxxfyy-fxy2>0 かつ fxx>0 なら極小、fxx<0 なら極大、fxxfyy-fxy2<0 なら鞍点です。

局所最適と大域最適

1階・2階の条件で分かるのは、近くの点と比べた局所的な最大・最小です。ただし、目的関数が全体として凸関数(最小化の場合)なら、停留点は大域的な最小点になります。ポートフォリオの分散のように、凸な2次関数を最小化する問題では、1階の条件を解くだけで答えが得られます。

押さえておきたい公式

1階の条件:f′(x*) = 0 (多変数:∂f/∂xi = 0、i = 1, …, n)最適点であるための必要条件
2階の条件:f′′(x*) > 0 → 極小  f′′(x*) < 0 → 極大多変数ではヘッセ行列が正定値なら極小、負定値なら極大
2変数:fxx fyy - fxy2 > 0 かつ fxx > 0 → 極小fxx<0なら極大、fxxfyy-fxy2<0なら鞍点

具体例で確認

資産1(標準偏差20%)と資産2(標準偏差10%)、相関係数0.2の2資産で、分散が最小になる資産1の比率wを求めます(残り1-wは資産2、空売りは制限しない)。

  1. 分散:V(w) = w2×0.04 + (1-w)2×0.01 + 2w(1-w)×0.2×0.2×0.1
  2. 1階の条件:V′(w) = 0 を解くと w* = (σ22 - ρσ1σ2) ÷ (σ12 + σ22 - 2ρσ1σ2) = (0.01 - 0.004) ÷ (0.04 + 0.01 - 0.008) = 0.006 ÷ 0.042 ≒ 0.143
  3. 2階の条件:V′′(w) = 2 × 0.042 = 0.084 > 0 なので極小(分散は凸関数なので大域的な最小)
  4. このときの分散は約0.00914、標準偏差は約9.56%

資産1を約14.3%、資産2を約85.7%持つと、リスクの低い資産2だけを持つ場合(10%)よりもさらにリスクを下げられます。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「制約条件のない非線形最適化問題の最適性条件について理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 1階の条件(微分=0)は必要条件にすぎず、それだけでは最大か最小か決まらない点が問われやすいです。
  • 2階微分の符号と極大・極小の対応(f′′>0で極小、f′′<0で極大)を取り違えないようにしましょう。
  • 多変数では勾配=0ヘッセ行列の正定値・負定値で判定することを押さえましょう。
  • 局所最適と大域最適の違い、凸関数なら停留点が大域的最小になる点がよく使われます。
  • 最小分散ポートフォリオの比率を微分して求める計算は、ファイナンスへの応用として狙われやすいです。

要点まとめ

  • 1階の条件:最適点では微分(勾配)=0
  • 2階の条件:f′′>0で極小、f′′<0で極大(多変数はヘッセ行列)
  • 停留点には鞍点など最適でない点も含まれる
  • 凸関数の最小化なら停留点がそのまま大域的最小

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。