信用スプレッドの期間構造とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・債券分析
ひとことで言うと
- 信用スプレッドの期間構造とは、同じ発行体(または同じ格付)の社債について、年限ごとの信用スプレッドを並べた曲線のことです。
- 形を決める最大の要因は信用力の水準で、高格付は右上がり、低格付・経営難の企業は平坦〜右下がり(逆転)になりやすいです。
- このほか景気・金融環境、市場の流動性や需給、企業固有の要因がスプレッドの水準と傾きに影響します。
この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「信用スプレッドの期間構造」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (7) 社債投資と信用リスクの分析 |
| 協会の学習ポイント | 信用スプレッドの期間構造の決定要因を理解する。 |
信用スプレッドの期間構造とは
社債の利回りは、国債など無リスクに近い債券の利回りに信用スプレッドを上乗せした水準になります。信用スプレッドは、主に予想されるデフォルト損失の補償(デフォルト確率×デフォルト時損失率)と、不確実性や流動性の低さに対するリスク・プレミアムで構成されます。これを年限ごとに並べると、利回り曲線と同じように「スプレッド・カーブ」が描けます。
信用力の水準による形の違い
高格付(投資適格)の企業は、目先のデフォルトの可能性はきわめて低いものの、年限が長くなるほど業績悪化や格下げの可能性が積み上がります。そのため、スプレッド・カーブは右上がりになるのが一般的です。
低格付・経営難の企業は、近い将来のデフォルト確率が高い一方、その時期を乗り切れば信用力が改善する可能性もあります。また、デフォルトすれば年限にかかわらず同じように回収率に向けて価格が収れんしやすいため、スプレッド・カーブは平坦または右下がり(逆転)になりやすくなります。
そのほかの決定要因
- 景気・金融環境:景気後退が予想される局面ではスプレッドが全体に拡大し、特に短中期の低格付債で拡大しやすくなります。景気回復局面では縮小します。
- 市場の流動性・需給:発行量が少なく取引されにくい銘柄や、投資家のリスク回避が強まる局面では流動性プレミアムが上乗せされます。
- 企業・銘柄固有の要因:レバレッジ、株価のボラティリティ、優先劣後の順位、コベナンツ(財務制限条項)などが、スプレッドの水準と傾きに影響します。
押さえておきたい公式
具体例で確認
回収率を40%(LGD=60%)として、2つの企業のスプレッド・カーブを考えます(リスク・プレミアムは簡単のため無視します)。
| 年限 | A社(高格付)の年平均デフォルト確率 | A社のスプレッド | B社(経営難)の年平均デフォルト確率 | B社のスプレッド |
|---|---|---|---|---|
| 1年 | 0.1% | 0.06% | 12% | 7.2% |
| 5年 | 0.3% | 0.18% | 8% | 4.8% |
| 10年 | 0.5% | 0.30% | 6% | 3.6% |
A社は年限が長いほど信用悪化の可能性が積み上がるため右上がり、B社は目先の危機を乗り切れば平均的なデフォルト確率が下がるため右下がりのカーブになります。スプレッドの傾きから、市場が発行体の信用力の推移をどう見ているかを読み取れます。
試験で問われやすいポイント
- 高格付は右上がり、低格付・経営難は平坦〜右下がりになりやすいという形と、その理由が問われやすいです。
- 信用スプレッド=予想損失(PD×LGD)の補償+リスク・プレミアムという構成を押さえましょう。
- 景気後退・流動性の低下・リスク回避の強まりがスプレッド拡大につながる、という影響の方向に注意しましょう。
- 構造型モデルでは短期のスプレッドがほぼゼロになりやすいなど、モデルごとのスプレッド・カーブの特徴と関連づけて問われることがあります。
- 2次の記述式では、与えられたスプレッド・カーブの形から発行体の信用状況や市場の見方を説明させる形が考えられます。
要点まとめ
- 信用スプレッドの期間構造=年限別の信用スプレッドの曲線
- 高格付は右上がり、低格付・経営難は平坦〜右下がりになりやすい
- 景気・流動性・需給・企業固有の要因も水準と傾きに影響する
- スプレッド≒PD×LGD+リスク・プレミアム
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
