ひとことで言うと

  • グローバル債券ポートフォリオは、複数の国・通貨・セクターの債券を含む広範な債券総合指数をベンチマークとして運用するポートフォリオです。
  • 国内債券だけの運用に比べ、国別の金利(デュレーション配分)、為替、信用という複数のリスク源を管理する必要があります。
  • 為替ヘッジをすると、リターンはおおむね外国債券の利回り + 内外の短期金利差になり、ヘッジするかどうかが重要な判断になります。

この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「グローバル債券ポートフォリオ」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析
大分類 (9) 債券ポートフォリオによる投資戦略
協会の学習ポイント 広範な債券総合指数をベンチマークとするグローバル債券ポートフォリオの構築・運用手法を理解する。

グローバル債券ポートフォリオとは

グローバル債券の総合指数は、先進国を中心とする各国の国債、政府関係機関債、社債、証券化商品など、幅広い債券を時価(発行残高)で加重して構成されます。こうした指数をベンチマークにすると、特定の国の金利や経済に偏らない分散されたポートフォリオを持てる一方、運用では国内債券にはない判断が必要になります。

国別の金利リスクの配分

各国の金利は、景気や金融政策の違いから同じようには動きません。そのため、ポートフォリオ全体のデュレーションだけでなく、国別のデュレーション寄与(組入比率 × その国の債券のデュレーション)をベンチマークと比べて管理します。金利低下が見込まれる国の寄与を大きく、上昇が見込まれる国の寄与を小さくするのが基本的なアクティブ運用の考え方です。国ごとの金利の連動性(相関)が低いほど、分散効果は大きくなります。

為替リスクとヘッジ

外国債券のリターンは、現地通貨建てのリターンに加え、為替の変動にも左右されます。為替の変動は債券の価格変動より大きくなることが多く、ヘッジしないと為替がリスクの大部分を占めることもあります。為替予約でヘッジすると、金利平価の関係から、ヘッジ後のリターンはおおむね現地通貨建てリターン+(自国の短期金利 − 外国の短期金利)になります。外国の短期金利が自国より高ければヘッジコストがかかり、ヘッジ後の利回りは大きく下がります。運用者は、債券市場の選択と通貨の選択を切り離して判断することがあります。

その他の論点

指数に含まれる社債や証券化商品、新興国債券などの信用リスク、国ごとの流動性や税制、決済などの実務面も考慮します。指数は発行残高で加重されるため、借入の多い国ほど比率が高くなる点にも注意が必要です。

押さえておきたい公式

ヘッジ後リターン ≒ 現地通貨建てリターン + (id − if)為替予約によるヘッジの効果は内外の短期金利差で近似できる
国別デュレーション寄与 = 組入比率 × その国の債券のデュレーション寄与の合計がポートフォリオ全体のデュレーション
記号 意味
id 自国(円)の短期金利
if 外国通貨の短期金利

具体例で確認

例1:国別デュレーション寄与

A国債券40%(デュレーション6)、B国債券30%(同7)、日本国債30%(同9)のポートフォリオでは、寄与はそれぞれ2.4、2.1、2.7で、全体のデュレーションは7.2です。A国の金利だけが0.5%上昇すると、ポートフォリオは約 −2.4 × 0.5% = −1.2%変動します。

例2:為替ヘッジ後の利回り

A国の債券の利回りが4.0%、A国の短期金利が4.5%、円の短期金利が0.5%とします。為替ヘッジ後の利回りは、4.0% + (0.5% − 4.5%) = 約0.0%です。日本国債の利回りが1.2%なら、為替リスクをとらない前提では日本国債のほうが有利です。A国債券の高い利回りは、ヘッジコストでほぼ打ち消されてしまいます。

試験で問われやすいポイント

  • 国別デュレーション寄与を計算し、特定の国の金利変化による損益を求めさせる問題が考えられます。
  • 為替ヘッジ後のリターンが内外短期金利差で決まること、外国の短期金利が高いとヘッジコストが大きくなることが問われやすいです。
  • 表面の利回りが高い外国債券でも、ヘッジ後では国内債券に劣ることがあるというひっかけに注意しましょう。
  • 国ごとの金利の相関が低いほど分散効果が大きいことと、為替リスクがリスクの大部分を占めうることを説明できるようにしましょう。
  • 2次の記述式では、国別配分と為替ヘッジの判断を、計算過程と理由を示して書かせる形が考えられます。

要点まとめ

  • グローバル債券ポートフォリオは広範な債券総合指数をベンチマークに運用する
  • 国別デュレーション寄与(比率×デュレーション)で国ごとの金利リスクを管理する
  • ヘッジ後リターン≒現地通貨建てリターン+(自国短期金利 − 外国短期金利)
  • 債券市場の選択と通貨の選択を分けて判断することがある

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。