ひとことで言うと

  • フォワードレートは、現在のイールドカーブに織り込まれている「将来の金利」です。アクティブ運用では、これを自分の金利見通しと比べてポジションを決めます。
  • 将来の金利がフォワードレートどおりに動けば、どの年限の債券を持っても(おおむね)同じリターンになります。差が生まれるのは、実際の金利がフォワードレートからずれたときです。
  • 見通しがフォワードより低い金利ならデュレーションを長く、高い金利ならデュレーションを短くするのが基本です。

この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「金利見通しに基づくポジション調整」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析
大分類 (9) 債券ポートフォリオによる投資戦略
協会の学習ポイント 債券のアクティブ運用におけるフォワードレートや金利見通しに基づいた債券ポートフォリオのポジション調整の方法を理解する。

金利見通しとフォワードレートとは

イールドカーブが右上がりだと、長い年限の債券ほど利回りが高く見えます。しかし、それだけで長期債を買えば得をするとは限りません。右上がりのカーブには「将来は金利が上がる」という市場の予想(や期間に対するプレミアム)が織り込まれていることがあり、その予想どおりに金利が上がれば、長期債の値下がりが利回りの差を打ち消すからです。

現在のスポットレートから計算される将来の金利がフォワードレートです。たとえば1年スポットレートと2年スポットレートから、「1年後から始まる1年間の金利(1年先1年物フォワードレート)」を求めることができます。将来の金利がフォワードレートどおりに実現すると、1年債を買っても2年債を買って1年後に売っても、1年間の保有期間リターンは同じになります。フォワードレートは、いわば損益分岐の金利です。

見通しに応じたポジション調整

アクティブ運用者は、自分の金利見通しとフォワードレートを比べます。将来の金利がフォワードレートより低くなると考えるなら、長期債の値上がり(または値下がりの小ささ)が期待できるので、デュレーションをベンチマークより長くします。逆に、フォワードレートより高くなると考えるなら、デュレーションを短くします。重要なのは「金利が上がるか下がるか」ではなく、市場が織り込んだ水準より上か下かという点です。金利上昇を予想していても、その上昇幅がフォワードレートに織り込まれた幅より小さければ、長期債を持つほうが有利になりえます。

デュレーションの調整は、現物債券の入れ替えのほか、債券先物や金利スワップ(固定受け・固定払い)を使っても行えます。先物やスワップは少ない資金で機動的に調整できる一方、証拠金などの管理が必要です。また、金利が大きく動くと予想するなら、コンベクシティの大きいポジションを持つことも選択肢になります。

押さえておきたい公式

(1 + S2)2 = (1 + S1) × (1 + f1,1)1年先1年物フォワードレートf1,1の求め方
f1,1 = (1 + S2)2 ÷ (1 + S1) − 1上の式をf1,1について解いた形
記号 意味
S1、S2 1年、2年のスポットレート(年率)
f1,1 1年後から始まる1年間のフォワードレート

具体例で確認

1年スポットレートが1.0%、2年スポットレートが1.5%とします。運用期間は1年で、1年の割引債を買うか、2年の割引債(額面100)を買って1年後に売るかを考えます。

  1. フォワードレート:f1,1 = 1.0152 ÷ 1.01 − 1 ≒ 2.00%
  2. 2年割引債の現在価格:100 ÷ 1.0152 ≒ 97.07
  3. 1年後の1年金利がフォワードどおり2.00%なら、価格は100 ÷ 1.0200 ≒ 98.04で、リターンは約1.00%。1年債と同じです。
  4. 1年後の1年金利が1.5%にとどまれば、価格は100 ÷ 1.015 ≒ 98.52で、リターンは約1.50%と1年債を上回ります。
  5. 1年後の1年金利が2.5%まで上がれば、価格は100 ÷ 1.025 ≒ 97.56で、リターンは約0.51%と1年債を下回ります。

1年後の金利が現在の1.0%より上がるケース(1.5%)でも、フォワードの2.00%を下回れば2年債のほうが有利になっている点に注目してください。

試験で問われやすいポイント

  • スポットレートからフォワードレートを計算させ、それを損益分岐点として投資判断を説明させる問題が考えられます。
  • 判断の基準は「金利が上がるか」ではなく「フォワードレートより上か下か」という点がひっかけになりやすいです。
  • 見通しがフォワードより低い→デュレーションを長く、高い→短くという方向を正確に押さえましょう。
  • デュレーション調整の手段(現物の入れ替え、債券先物、金利スワップ)とそれぞれの特徴が問われやすいです。
  • 2次の計算問題では、各シナリオの保有期間リターンを計算過程とともに示し、結論(どちらを選ぶか)まで書くことが大切です。

要点まとめ

  • フォワードレートは現在のカーブに織り込まれた将来金利で、損益分岐の金利になる
  • 実際の金利がフォワードどおりなら、年限による保有期間リターンの差は生じない
  • 見通しがフォワードより低ければデュレーションを長く、高ければ短くする
  • 調整は現物債のほか、債券先物や金利スワップでも行える

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。