イールドカーブ戦略とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・債券分析
ひとことで言うと
- イールドカーブ戦略は、金利の水準だけでなく、カーブの傾き(スティープ化・フラット化)や曲率の変化を予想して収益を狙う戦略です。
- 代表的なポートフォリオの形は、特定の年限に集中するブレット型と、短期と長期に分けるバーベル型です。
- デュレーションをそろえた比較では、一般にフラット化ならバーベル型、スティープ化ならブレット型が有利で、バーベル型はコンベクシティが大きいという特徴があります。
この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「イールドカーブ戦略」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (9) 債券ポートフォリオによる投資戦略 |
| 協会の学習ポイント | イールドカーブ戦略(利回り曲線の様々な変化に対応した債券ポートフォリオ戦略)の代表的な手法とリスク・リターン特性を理解する。 |
イールドカーブ戦略とは
イールドカーブの変化は、全体が上下する平行移動(水準の変化)、短期と長期の差が広がるスティープ化・縮まるフラット化(傾きの変化)、中期ゾーンが相対的に上下する曲率の変化に分けて考えられます。デュレーションの調整は主に平行移動への対応ですが、イールドカーブ戦略は傾きや曲率の変化から収益を得ることをねらいます。
ブレット型とバーベル型
ブレット型は、たとえば5年前後の中期債に集中して保有する形です。バーベル型は、同じデュレーションになるよう2年債と10年債などの短期と長期に分けて保有する形です。両者のデュレーションが同じでも、カーブの形が変わると結果は異なります。
フラット化(短期金利が上がり長期金利が下がる)では、バーベル型の長期債部分が大きく値上がりするため、バーベル型が有利です。スティープ化ではその逆で、ブレット型が有利になります。また、満期が分散しているバーベル型はコンベクシティが大きく、金利が大きく動いたときに有利ですが、その代わりにブレット型より利回りが低くなることが多く、金利があまり動かなければ不利になります。
その他の代表的な手法
短期ゾーンと長期ゾーンの一方を買い、もう一方を売ってデュレーションを中立にする取引は、スティープ化・フラット化そのものに賭ける手法です(たとえば短期を買い長期を売ればスティープ化で利益)。バタフライは、中期(ボディ)と短期・長期(ウイング)を逆方向に持ち、曲率の変化をねらいます。中期金利が相対的に上がる(カーブの山が高くなる)と予想するならウイング側を買いボディ側を売る、というように組み立てます。先物やスワップを使えば、現物を大きく入れ替えずにこうしたポジションをとることもできます。
整理しておきたいポイント
| カーブの変化の予想 | 有利な形(デュレーション一定) | 理由 |
|---|---|---|
| フラット化 | バーベル型 | 長期債部分の値上がりが大きい |
| スティープ化 | ブレット型 | 長期債の値下がりの影響を受けにくい |
| 大きな平行移動(方向は不明) | バーベル型 | コンベクシティが大きい |
| 金利がほとんど動かない | ブレット型 | 利回りが高い(コンベクシティの対価を払わない) |
| 中期金利が相対的に上昇 | バーベル型(ウイング買い・ボディ売り) | 中期ゾーンの値下がりを避けられる |
具体例で確認
修正デュレーション4.8の5年債だけのブレット型と、2年債(修正デュレーション1.9)と10年債(同9.0)を組み合わせたバーベル型を比べます。
- バーベル型のデュレーションを4.8にそろえる:2年債の比率をwとすると、1.9w + 9.0(1 − w) = 4.8 より、w = 4.2 ÷ 7.1 ≒ 59.2%、10年債は約40.8%
- フラット化のシナリオ:2年金利が+0.3%、5年金利は不変、10年金利が−0.3%動いたとします。
- ブレット型の価格変化:5年金利が不変なので、およそ0%
- バーベル型の価格変化:2年債 −0.592 × 1.9 × 0.3 ≒ −0.34%、10年債 +0.408 × 9.0 × 0.3 ≒ +1.10%で、合計約+0.77%
同じデュレーションでも、フラット化ではバーベル型が約0.77%上回ります。逆に同じ幅のスティープ化なら、バーベル型は約0.77%下回ります(いずれもデュレーションによる近似で、コンベクシティは考えていません)。
試験で問われやすいポイント
- カーブの変化(平行移動・傾き・曲率)の区別と、それぞれに対応する戦略が問われやすいです。
- デュレーションが同じとき、フラット化→バーベル型、スティープ化→ブレット型という対応を理由とともに説明できるようにしましょう。
- バーベル型はコンベクシティが大きいが、その分利回りが低いことが多いというトレードオフがひっかけになりやすいです。
- バーベル型の構成比をデュレーションをそろえて計算する問題と、シナリオごとの損益計算が考えられます。
- 2次の記述式では、予想されるカーブ変化に対してどのポジションを組むかを、理由と計算過程を示して書かせる形が考えられます。
要点まとめ
- イールドカーブ戦略は傾きや曲率の変化から収益を得ることをねらう
- デュレーション一定なら、フラット化はバーベル型、スティープ化はブレット型が有利
- バーベル型はコンベクシティが大きい一方、利回りは低くなりやすい
- バタフライは中期と短期・長期を逆方向に持ち、曲率の変化をねらう
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
