ひとことで言うと

  • プライシングとは、契約時にスワップの価値がゼロになる固定金利(スワップレート)を決めることです。
  • バリュエーションとは、契約後に金利が動いたとき、既存のスワップにいくらの価値があるかを求めることです。
  • スワップは固定利付債と変動利付債の交換とみなせるので、両者の現在価値の差として価値を計算できます。

この記事では、証券アナリスト2次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「スワップのプライシングとバリュエーション」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/デリバティブ分析
大分類 (4) 金利・通貨を対象としたデリバティブ
協会の学習ポイント スワップのプライシングとバリュエーションについて理解する。

スワップのプライシングとバリュエーションとは

金利スワップを考えるときには、2つの場面を分けて整理すると理解しやすくなります。1つは、これから契約する時点で「固定金利を何%にすれば公平か」を決めるプライシング、もう1つは、契約した後に市場金利が変わったとき「このスワップはいま何円の価値があるか」を求めるバリュエーションです。

スワップを債券の交換とみなす

固定受け・変動払いのスワップは、想定元本の固定利付債を買い、変動利付債を売っているのと同じキャッシュフローになります。満期に想定元本を交換したと考えても、受け払いが相殺されるので結果は変わらないためです。したがって、固定受け側から見たスワップの価値は「固定利付債の価値 − 変動利付債の価値」で表せます。

変動利付債は、金利の見直し日直後には価格が額面(パー)に戻るという性質があります。毎回その時点の市場金利でクーポンが決まるので、割り引いても額面と等しくなるからです。このため、変動側の価値は利払日直後なら想定元本と同じとみなせ、計算がとても簡単になります。

プライシング:価値ゼロになる固定金利を探す

契約時には、スワップの価値がゼロ、つまり固定利付債の価値が額面と等しくなるようにスワップレートを決めます。言い換えると、スワップレートはその期間のパー・イールド(額面で発行できる固定利付債のクーポン)にあたります。割引係数がわかれば、下の公式で直接求められます。

バリュエーション:金利が動くと価値が生まれる

契約後に市場金利が上がると、固定利付債の価値が下がるので、固定受け側はマイナス、固定払い側はプラスの価値になります。金利が下がれば逆です。また、「約定したスワップレートと、残存期間の現在のスワップレートの差 × 割引係数の合計 × 想定元本」としても同じ値が求められます。

押さえておきたい公式

スワップレート K = (1 − Dn) ÷ (D1 + D2 + … + Dn)年1回払い・想定元本1あたり。契約時に価値ゼロとなる条件
V固定受け = B固定 − B変動利払日直後ならB変動 = 想定元本
V固定受け = (K約定 − K現在) × ΣDt × 想定元本残存期間の現在のスワップレートとの差から求める形
記号 意味
Dt t年後の割引係数
B固定 スワップの固定金利をクーポンとする固定利付債の価値
B変動 変動利付債の価値
K約定、K現在 契約時に決めたスワップレート、現在の残存期間のスワップレート

具体例で確認

例1:プライシング

割引係数がD1 = 0.990、D2 = 0.975、D3 = 0.955のとき、年1回払い3年スワップのスワップレートは次のとおりです。

K = (1 − 0.955) ÷ (0.990 + 0.975 + 0.955) = 0.045 ÷ 2.920 ≒ 1.54%

例2:1年後のバリュエーション

想定元本10億円、固定金利1.54%で固定受けのスワップを契約し、1年後(利払日直後)に市場金利が上がって、割引係数がD1 = 0.985、D2 = 0.960になったとします。

  1. 固定利付債の価値(額面1あたり):0.0154 × (0.985 + 0.960) + 0.960 ≒ 0.98995
  2. 変動利付債の価値:利払日直後なので1(額面)
  3. 固定受け側の価値:(0.98995 − 1) × 10億円 ≒ −1,005万円

確認として、残存2年の現在のスワップレートは (1 − 0.960) ÷ 1.945 ≒ 2.057%です。(1.54% − 2.057%) × 1.945 × 10億円 ≒ −1,005万円となり、同じ結果になります。固定払い側は+1,005万円です。

試験で問われやすいポイント

  • プライシング(スワップレートの決定)バリュエーション(契約後の価値)の違いを説明させる問題が考えられます。
  • スワップを固定利付債と変動利付債の交換と見る考え方と、変動利付債が利払日直後にパーになる理由は記述式でも問われやすいです。
  • 金利上昇で固定払い側が得、固定受け側が損という方向を取り違えないようにしましょう。
  • 割引係数からスワップレートを計算する式 (1 − Dn) ÷ ΣDt と、価値の計算手順を示せるようにしておきましょう。
  • 利払日の途中で評価する場合は、変動側にすでに決まっている次回クーポンを含めて割り引く必要がある点に注意しましょう。

要点まとめ

  • スワップレート=契約時にスワップの価値をゼロにする固定金利(パー・イールド)
  • 固定受けスワップの価値=固定利付債の価値 − 変動利付債の価値
  • 変動利付債は利払日直後に額面と等しくなる
  • 金利が上がると固定払い側がプラス、固定受け側がマイナスの価値になる

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。