ひとことで言うと

  • 最適な株式運用戦略は、投資家の投資政策(目的・リスク許容度・制約)と、投資する市場の効率性の両面から選びます。
  • 市場が効率的で超過リターンを得にくいほど、低コストのパッシブ運用が合理的になります。
  • 情報が価格に反映されにくい非効率な市場ほど、アクティブ運用で付加価値を狙える余地が大きくなります。

この記事では、証券アナリスト2次「株式分析」の学習ポイントのひとつ「投資政策・市場の効率性と運用戦略」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/株式分析
大分類 (5) 株式リターンの分析と株式ポートフォリオによる投資戦略
協会の学習ポイント 投資政策や市場特性(効率性)と最適な株式運用戦略の関連を理解する。

市場の効率性と株式運用戦略とは

株式をどう運用するかは、「どの戦略がいちばん儲かるか」だけで決めるものではありません。まず投資家ごとの投資政策、つまりリターン目標、どこまでのリスクを取れるか、運用期間、流動性の必要性、法令や社内規程などの制約を確認します。そのうえで、投資対象の市場がどの程度効率的かを踏まえて、パッシブ運用とアクティブ運用の配分や具体的な手法を決めます。

市場の効率性と戦略の関係

効率的市場仮説では、市場が効率的であるほど、利用可能な情報はすばやく株価に織り込まれます。そのような市場では、手間とコストをかけて銘柄を選んでも、コスト控除後に安定して市場平均を上回るのは難しくなります。そこで、指数に連動させて低コストで市場リターンを得るパッシブ運用が合理的な選択になります。

反対に、アナリストのカバーが少ない小型株市場や新興国市場など、情報が十分に価格に反映されにくい市場では、優れた調査によって割安・割高を見つけられる余地があります。こうした市場ではアクティブ運用の意義が大きくなります。

投資政策との関係

ベンチマークからの乖離(トラッキング・エラー)をほとんど許容できない投資家はパッシブ運用が中心になり、超過リターンを求めてある程度の乖離を許容できる投資家はアクティブ運用の比率を高められます。また、運用コストや売買回転率の制約、ESGなど特定の方針も戦略選択に影響します。実務では、効率的な市場の部分をパッシブ、非効率な部分をアクティブで運用するコア・サテライト戦略のような組み合わせもよく使われます。

整理しておきたいポイント

市場・投資家の特性 向いている戦略 理由
効率性が高い市場(大型株など) パッシブ運用 超過リターンを得にくく、低コストの方が有利
効率性が低い市場(小型株・新興国など) アクティブ運用 情報の優位性で付加価値を得る余地がある
乖離を許容しない投資家 パッシブ中心 トラッキング・エラーを小さく抑えられる
超過リターンを求め乖離を許容できる投資家 アクティブ比率を高める リスク許容度の範囲でアルファを狙える

具体例で確認

ある年金基金は、国内株式について「市場平均並みのリターンを低コストで確保したい」一方、「一部では超過リターンも狙いたい」と考えています。国内大型株は多くのアナリストが分析しており効率性が高いと判断し、資産の大部分を株価指数に連動するパッシブファンド(コア)で運用します。残りの一部を、情報の非効率性が比較的大きいと考えられる中小型株のアクティブ・マネジャー(サテライト)に配分しました。こうすることで、全体のコストとトラッキング・エラーを抑えつつ、付加価値の機会も確保しています。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「投資政策・市場特性と最適な株式運用戦略、株式ポートフォリオ戦略を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 市場が効率的なほどパッシブ運用が合理的になる理由を、コストや情報の織り込みと結びつけて説明できるようにしておきましょう。
  • 効率性が低い市場ではアクティブ運用の付加価値の余地が大きいという方向が問われやすいです。
  • 戦略選択は市場特性だけでなく投資政策(リスク許容度・制約)にも依存する点を、記述式で書けるようにしておきましょう。
  • コア・サテライト戦略の仕組みと狙いを問う問題が考えられます。
  • 「効率的市場ではアクティブ運用は必ず損をする」といった言い過ぎの選択肢に注意しましょう。

要点まとめ

  • 運用戦略は投資政策と市場の効率性の両面から選ぶ
  • 効率的な市場ほどパッシブ、非効率な市場ほどアクティブの意義が大きい
  • 乖離の許容度やコスト制約も戦略選択に影響する
  • パッシブとアクティブを組み合わせるコア・サテライト戦略もある

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。