ESG投資とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・株式分析
ひとことで言うと
- ESG投資は、財務情報に加えて環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の要因を銘柄選択やポートフォリオ構築に組み込む投資です。
- 手法には、除外(ネガティブ・スクリーニング)、ベスト・イン・クラス、ESGインテグレーション、テーマ投資・インパクト投資、エンゲージメントなどがあります。
- 投資対象の制限によるトラッキング・エラーや、ESG評価のばらつきといった課題も理解しておく必要があります。
この記事では、証券アナリスト2次「株式分析」の学習ポイントのひとつ「ESGを取り入れた株式運用」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/株式分析 |
|---|---|
| 大分類 | (5) 株式リターンの分析と株式ポートフォリオによる投資戦略 |
| 協会の学習ポイント | ESG要因(社会的責任投資など)に基づく株式ポートフォリオ戦略について理解する。 |
ESGを取り入れた株式運用とは
ESG投資のルーツは、宗教的・倫理的な価値観から特定の業種(たばこ、武器など)への投資を避ける社会的責任投資(SRI)にあります。その後、環境問題や人的資本、企業統治の質などが企業の長期的な収益やリスクに影響するという考え方が広がり、ESG要因を投資判断の一部として体系的に取り込む運用へと発展しました。国連が提唱した責任投資原則(PRI)や、機関投資家の行動原則であるスチュワードシップ・コードも、この流れを後押ししています。
価値観重視とリスク・リターン重視
ESG投資には、倫理的な価値観を反映させることを主目的とするものと、ESG要因を長期的なリスクとリターンに影響する重要な情報として分析に取り込むものがあります。後者では、例えば気候変動規制による将来コストや、ガバナンスの弱さによる不祥事リスクなどを、キャッシュフローの予測や割引率に反映させます。
ポートフォリオへの影響と課題
特定の業種や銘柄を除外すると、投資対象が狭まり、ベンチマークとの乖離(トラッキング・エラー)が生じます。また、ESG評価は評価機関によって基準や結果が大きく異なることがあり、データの開示の充実度にも企業差があります。実態を伴わないのにESGをうたうグリーンウォッシュへの注意も必要です。ESG投資がリターンを高めるかどうかについては、期間や手法によって結果が異なり、一概にはいえません。
整理しておきたいポイント
| 手法 | 内容 | 特徴・留意点 |
|---|---|---|
| ネガティブ・スクリーニング | 特定の業種・企業を投資対象から除外する | わかりやすいが、投資対象が狭まり乖離が生じる |
| ポジティブ(ベスト・イン・クラス) | 各業種の中でESG評価の高い企業を選ぶ | 業種配分を保ちやすい |
| 規範に基づくスクリーニング | 国際的な規範に反する企業を除外する | 判断基準を外部の規範に置く |
| ESGインテグレーション | ESG要因を財務分析や企業評価に組み込む | リスク・リターン分析の一部として体系的に扱う |
| テーマ投資・インパクト投資 | 環境・社会課題の解決に関わる企業に投資する | 社会的な成果の測定も重視する |
| エンゲージメント・議決権行使 | 対話や議決権行使を通じて企業に改善を働きかける | 保有を続けながら企業価値の向上を促す |
具体例で確認
ある運用会社は、国内株式のアクティブ・ファンドにESGの考え方を取り入れることにしました。まず、国際規範に重大な違反がある企業を除外します(規範に基づくスクリーニング)。次に、アナリストが各企業の温室効果ガス排出量や規制強化の影響を分析し、将来の設備投資や炭素コストの増加を業績予想に反映させます(ESGインテグレーション)。さらに、取締役会の独立性に課題がある保有企業とは対話を行い、改善がみられなければ議決権行使で反対票を投じます(エンゲージメント)。除外によってベンチマークとの乖離が生じるため、業種配分が大きく偏らないよう、トラッキング・エラーを管理しながらポートフォリオを構築します。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「ESG要因に基づく株式戦略、株式マネジャーの選択とスタイル管理を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- ネガティブ・スクリーニング、ベスト・イン・クラス、ESGインテグレーション、エンゲージメントなど各手法の内容と違いが問われやすいです。
- 銘柄除外が投資対象の縮小とトラッキング・エラーにつながる点を、記述式で説明できるようにしておきましょう。
- ESG要因をキャッシュフロー予測や割引率にどう反映させるかという、企業評価との結びつきも論点になります。
- ESG評価のばらつき、開示の差、グリーンウォッシュなど実務上の課題を押さえておきましょう。
- 「ESG投資は必ずリターンを高める」といった断定的な選択肢には注意しましょう。
要点まとめ
- ESG投資は環境・社会・ガバナンスの要因を投資判断に組み込む
- 起源は倫理的な社会的責任投資(SRI)で、リスク・リターン重視へと発展した
- 除外、ベスト・イン・クラス、インテグレーション、エンゲージメントなど多様な手法がある
- トラッキング・エラーやESG評価のばらつきなどの課題がある
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
