ひとことで言うと

  • インフォメーション・レシオ(IR)は、アクティブ・リスク1単位あたりのアクティブ・リターンで、マネジャーの運用能力を比べる代表的な指標です。
  • アクティブ・リターンが無相関なら、各マネジャーに配分するアクティブ・リスクはIRに比例させるのが最適で、全体のIRは√(各IRの2乗の和)になります。
  • 全体のアクティブ・リスクの水準は、アクティブ運用とインデックス・ファンドの組み合わせ比率で調整できます。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「IRによるマネジャー選択」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (3) ポートフォリオの構築とリスク管理
協会の学習ポイント インフォメーション・レシオを利用したマネジャー選択とポートフォリオのアクティブ・リスク管理について理解する。

IRによるマネジャー選択とは

アクティブ・マネジャーを選ぶとき、アクティブ・リターン(ベンチマークに対する超過収益)の大きさだけを見ると、大きなリスクを取っているマネジャーが有利に見えてしまいます。そこで、取っているアクティブ・リスク(トラッキングエラー)の大きさで割ったインフォメーション・レシオ(IR)で比べるのが基本です。IRが高いほど、同じアクティブ・リスクでより大きな超過収益を生む、つまり運用能力が高いと考えます。

IRと「リスクの量」は別に決められる

マネジャーのIRは、そのマネジャーの能力で決まり、リスクの量には(ある範囲では)左右されないと考えます。投資家は、マネジャーのファンドとインデックス・ファンドを組み合わせることで、全体のアクティブ・リスクを自由に調整できます。たとえば、トラッキングエラー6%のマネジャーに資金の半分、残りをインデックス・ファンドに配分すれば、全体のアクティブ・リスクは3%になり、IRは変わりません。そのため、まずIRの高いマネジャーを選び、その後で取りたいアクティブ・リスクの量を決める、という順番で考えられます。

複数マネジャーへのアクティブ・リスク配分

複数のマネジャーのアクティブ・リターンが互いに無相関なら、全体のIRを最大にするには、各マネジャーに配分するアクティブ・リスクをIRに比例させます。このとき全体のIRは各IRの2乗和の平方根となり、どのマネジャー単独のIRよりも高くなります。これは、互いに独立した能力を組み合わせる分散効果です。

留意点

IRは過去の実績から推定されるため、測定期間が短いと偶然の影響が大きく、将来も同じIRが続くとは限りません。そのため、運用プロセスや体制などの定性評価とあわせて判断します。また、マネジャー間のアクティブ・リターンに相関がある場合は、分散効果が小さくなります。

押さえておきたい公式

IR = アクティブ・リターン ÷ トラッキングエラー
ωi = (IRi ÷ IRP) × ωPマネジャー i に配分する最適なアクティブ・リスク(アクティブ・リターンが無相関の場合)
IRP = √(Σ IRi2最適に組み合わせたときの全体のIR
ωP 全体で取りたいアクティブ・リスク
ωi マネジャー i のアクティブ・リスクのうち、全体に寄与させる大きさ(配分比率×トラッキングエラー)

具体例で確認

マネジャーA(IR 0.5、トラッキングエラー5%)とマネジャーB(IR 0.3、トラッキングエラー4%)がいて、両者のアクティブ・リターンは無相関とします。全体のアクティブ・リスクを3%にしたいと考えます。

  • 全体のIR:√(0.52+0.32)≒0.583
  • Aへのアクティブ・リスク:0.5÷0.583×3%≒2.57% → 配分比率は2.57÷5≒51.4%
  • Bへのアクティブ・リスク:0.3÷0.583×3%≒1.54% → 配分比率は1.54÷4≒38.6%
  • 残りの約10%はインデックス・ファンドに配分します。
  • 期待アクティブ・リターン:0.5×2.57+0.3×1.54≒1.75%(=0.583×3%)

比較のため、アクティブ・リスクを2社に均等(各約2.12%)に配分すると、期待アクティブ・リターンは(0.5+0.3)×2.12≒1.70%にとどまります。IRに比例させた配分のほうが効率的です。

試験で問われやすいポイント

  • 超過収益の大きさではなく、IR(リスクあたりの超過収益)でマネジャーを比べる理由。
  • インデックス・ファンドとの組み合わせで、IRを変えずにアクティブ・リスクの量を調整できること。
  • 最適なアクティブ・リスク配分(IRに比例)と、全体のIR=√(ΣIRi2)の計算。
  • アクティブ・リスクの配分から、各マネジャーへの資金配分比率(÷トラッキングエラー)を求める手順。
  • 2次の記述式では、配分比率や全体の期待アクティブ・リターンを計算過程とともに示させる形が考えられます。

要点まとめ

  • マネジャーの能力はIRで比べる。
  • アクティブ・リスクの量はインデックス・ファンドとの組み合わせで調整できる。
  • 無相関なら、アクティブ・リスクをIRに比例して配分するのが最適。
  • 全体のIRは√(ΣIRi2)で、単独のマネジャーより高くなる。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。