ひとことで言うと

  • グローバル・アセットアロケーションは、世界の株式・債券などを対象に、国・地域・資産クラス・通貨への配分を決めることです。
  • 平均・分散法をそのまま使うと入力値の誤差で極端な配分になりやすいため、世界の時価総額比率(市場均衡)を出発点にするBlack=Littermanモデルがよく用いられます。
  • Black=Littermanモデルは、市場均衡から逆算した期待リターンに運用者の見通し(ビュー)を確信度に応じて織り込みます。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「グローバルな資産配分」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (6) 国際証券投資と為替管理、資産配分
協会の学習ポイント グローバル・アセットアロケーションの理論と手法(Black=Littermanモデルなど)について理解する。

グローバル・アセットアロケーションとは

国際分散投資では、国内外の株式・債券に加え、地域や通貨の配分まで決める必要があります。理論的な出発点は、統合された国際資本市場では世界市場ポートフォリオ(各資産を時価総額の比率で持つポートフォリオ)が効率的だという考え方です。そのうえで、ホーム・バイアスや為替ヘッジの方針、投資家の負債の通貨、流動性などの制約を加味して、現実の配分を決めていきます。

配分を決める代表的な方法は平均・分散法ですが、各国・各資産の期待リターンを推定するのは難しく、わずかな推定誤差でも特定の資産に大きく偏った、直感に反する配分になりやすいという課題があります。資産の数が多いグローバルな配分では、この問題が特に深刻になります。

Black=Littermanモデルの考え方

Black=Littermanモデルでは、まず世界の時価総額比率が市場均衡のポートフォリオであると仮定し、そのポートフォリオが最適になるような期待リターン(均衡期待リターン、インプライド・リターン)を逆算します。これは「市場全体が暗に想定している期待リターン」と解釈できます。

次に、運用者が持つ見通し(ビュー)を、「日本株は米国株を2%上回る」といった形で表し、その確信度とともに均衡期待リターンと組み合わせます。確信度が高いビューほど強く反映され、ビューがなければ均衡期待リターンのまま、つまり時価総額比率の配分に戻ります。こうして得た期待リターンを平均・分散最適化に使うことで、市場均衡から大きく外れない、安定した直感的な配分が得られます。

押さえておきたい公式

Π = λ × Σ × wmkt均衡期待超過リターン(リバース・オプティマイゼーション)
E(R) = [(τΣ)−1 + P′Ω−1P]−1 × [(τΣ)−1Π + P′Ω−1Q]ビューを織り込んだ期待リターン(均衡とビューの確信度による加重平均)
記号 意味
λ リスク回避度(市場全体の平均的な値)
Σ 資産リターンの分散共分散行列
wmkt 時価総額比率のウエイト
P、Q ビューの対象となる資産の組み合わせと、ビューの値
Ω、τ ビューの不確実性、均衡リターンの不確実性の調整係数

具体例で確認

世界が資産A(リスク15%)と資産B(リスク20%)の2つで、相関0.5、時価総額比率がA60%・B40%、リスク回避度 λ=2.5 とします。

  • Aと市場の共分散:0.6 × 0.15² + 0.4 × 0.5 × 0.15 × 0.20 = 0.0135 + 0.006 = 0.0195
  • Bと市場の共分散:0.6 × 0.5 × 0.15 × 0.20 + 0.4 × 0.20² = 0.009 + 0.016 = 0.025
  • 均衡期待超過リターン:ΠA = 2.5 × 0.0195 ≒ 4.9%、ΠB = 2.5 × 0.025 = 6.25%

この期待リターンを使って最適化すると、ちょうど時価総額比率(60%・40%)が最適になります。ここに「AはBを上回る」というビューを加えると、確信度に応じてAの期待リターンが引き上げられ、Aのウエイトが60%からなめらかに増える、という形で配分が調整されます。

試験で問われやすいポイント

  • 平均・分散法の課題(入力値の誤差に敏感で極端な配分になりやすい)と、Black=Littermanモデルがそれをどう緩和するか。
  • 均衡期待リターン Π = λΣw の意味と計算(リバース・オプティマイゼーション)。
  • ビューの確信度が高いほど反映が強く、ビューがなければ時価総額比率に戻る点。
  • グローバルな配分では、為替ヘッジの方針やホーム・バイアスの扱いも決める必要があること。
  • 記述式では、Black=Littermanモデルの手順(均衡リターンの逆算 → ビューの設定 → 合成 → 最適化)を説明できるようにしておきましょう。

要点まとめ

  • グローバルな資産配分は、国・地域・資産クラス・通貨への配分を決める。
  • 出発点は世界の時価総額比率(市場均衡)。
  • Black=Littermanモデルは均衡期待リターンにビューを確信度に応じて織り込む。
  • 極端な配分を避け、安定した直感的な配分を得やすい。

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