ひとことで言うと

  • 国際資産評価モデル(IAPM)は、CAPMを国際的に拡張し、資産の期待リターンを「世界市場のリスク・プレミアム」と「為替リスクのプレミアム」で説明するモデルです。
  • 国によって消費する通貨が違うため、投資家は為替リスクも負担し、その分の見返り(為替リスク・プレミアム)を求めると考えます。
  • カバーなし金利平価が成り立ち為替リスク・プレミアムがゼロなら、世界市場を対象にしたCAPM(国際CAPM)に一致します。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「国際資産評価モデル(IAPM)」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (6) 国際証券投資と為替管理、資産配分
協会の学習ポイント 国際資産評価モデル(IAPM)について理解する。

国際資産評価モデル(IAPM)とは

国内のCAPMでは、資産の期待リターンは無リスク金利に「市場ポートフォリオに対するベータ × 市場リスク・プレミアム」を加えたものになります。資本市場が国際的に統合されているなら、基準とすべき市場は自国市場ではなく世界市場ポートフォリオになります。これが最も単純な国際CAPMの考え方です。

ただし国際投資では、国ごとに通貨が異なり、投資家はそれぞれ自国通貨で消費します。そのため、同じ資産でも投資家の国籍によってリターンやリスクの見え方が変わり、為替変動というリスクが新たに加わります。IAPM(ソルニックらによる国際資産評価モデル)は、この為替リスクを明示的に取り込み、世界市場のリスクに加えて、各通貨の為替リスクに対するプレミアムを期待リターンに含めます。

為替リスク・プレミアムの意味

為替リスク・プレミアムは、外貨の無リスク資産(預金など)を持ったときの期待リターンが、自国の無リスク金利をどれだけ上回るかで表されます。つまり「予想される外貨の上昇率 + 外国金利 − 自国金利」です。カバーなし金利平価が成り立てば、金利差はちょうど予想為替変化で打ち消され、為替リスク・プレミアムはゼロになります。

IAPMから得られる示唆

IAPMのもとでは、最適なポートフォリオは世界市場ポートフォリオと、為替リスクをヘッジするためのポートフォリオの組み合わせになり、為替ヘッジの最適な水準は投資家ごとに異なりうる、という結論が導かれます。資産の為替リスクへの感応度(為替ベータ)が大きいほど、為替リスク・プレミアムの影響を強く受けます。

押さえておきたい公式

E(Ri) − Rf = βiw × [E(Rw) − Rf] + γi1 × SRP1 + … + γik × SRPkIAPM(すべて自国通貨建てで測る)
SRPk = E(sk) + Rf,k − Rf通貨kの為替リスク・プレミアム(sk:通貨kの自国通貨に対する変化率)
記号 意味
βiw 資産iの世界市場に対するベータ
E(Rw) − Rf 世界市場のリスク・プレミアム
γik 資産iの通貨kに対する為替感応度(為替ベータ)
SRPk 通貨kの為替リスク・プレミアム
Rf、Rf,k 自国と外国kの無リスク金利

具体例で確認

円ベースの投資家が、ある米国株式の期待リターンをIAPMで求めます。

  • 円の無リスク金利 Rf=1%
  • 世界市場に対するベータ βiw=1.1、世界市場のリスク・プレミアム=5%
  • ドルに対する為替感応度 γ=0.5、ドルの為替リスク・プレミアム SRP=2%

E(Ri) = 1% + 1.1 × 5% + 0.5 × 2% = 1% + 5.5% + 1% = 7.5%

もしカバーなし金利平価が成り立ってSRP=0であれば、期待リターンは6.5%となり、世界市場を対象にしたCAPMと同じ結果になります。

試験で問われやすいポイント

  • IAPMは国際CAPMに為替リスク・プレミアムの項を加えたモデルである点。
  • 為替リスク・プレミアムの定義(予想為替変化率 + 外国金利 − 自国金利)と、カバーなし金利平価のもとではゼロになること。
  • 公式に数値を当てはめた期待リターンの計算。
  • 前提として資本市場が統合されていることが必要で、分断された市場には当てはまりにくい点。
  • 記述式では、国内CAPMとの違いや、為替リスクを考慮する理由を説明できるようにしておきましょう。

要点まとめ

  • IAPMはCAPMを国際的に拡張し、為替リスクへのプレミアムを加えたモデル。
  • 期待超過リターン = 世界市場ベータ × 世界市場プレミアム + Σ 為替感応度 × 為替リスク・プレミアム。
  • 為替リスク・プレミアムがゼロなら国際CAPMに一致する。
  • 統合された国際資本市場を前提にしている。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。