プロスペクト理論と実際の選択とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- プロスペクト理論は、価値関数と確率ウェイトの組み合わせによって、人の実際の選択行動を整合的に説明できます。
- 代表例がリスク態度の4パターンで、確率の大小と利益・損失の組み合わせによってリスク回避とリスク追求が入れ替わります。
- 投資の場面でも、気質効果(ディスポジション効果)や保有効果、株式プレミアムの大きさなどの説明に使われます。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「実際の選択との整合性」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (8) 行動ファイナンスの意義と応用 |
| 協会の学習ポイント | プロスペクト理論が個人の選択行動と整合性を持つことを理解する。 |
プロスペクト理論と実際の選択とは
期待効用理論では「人は一貫してリスク回避的」と考えるため、宝くじを買う人が同時に保険にも入る、含み損の株を持ち続けるといった行動をうまく説明できません。プロスペクト理論は、参照点、損失回避、感応度逓減、確率のゆがみを組み合わせることで、こうした行動と整合的な説明を与えます。
リスク態度の4パターン
価値関数の形(利益で凹、損失で凸)だけを見ると、利益ではリスク回避、損失ではリスク追求になります。ところが確率ウェイト付け関数によって小さな確率が過大評価されると、確率が小さい場面では態度が逆転します。その結果、確率の大小と利益・損失の組み合わせで4つのパターンが生まれます(下の「整理しておきたいポイント」の表を参照)。
投資行動との整合性
気質効果:投資家は値上がりした株を早く売りすぎ、値下がりした株を長く持ちすぎる傾向があります。購入価格を参照点とすると、含み益の株は利益局面なのでリスク回避的に利益を確定し、含み損の株は損失局面なのでリスク追求的に持ち続けると説明できます。
保有効果と現状維持バイアス:いったん手にしたものを手放すことは損失と感じられるため、同じものでも売る価格が買う価格より高くなります。損失回避の表れです。
株式プレミアムの大きさ:株式の超過リターンが伝統的モデルで説明できないほど大きいという問題について、投資家が短い期間ごとに損益を評価し損失を強く嫌うと考える近視眼的損失回避による説明が提案されています。
ただし、プロスペクト理論にも、参照点をどう決めるかがあいまいであるといった課題があります。
整理しておきたいポイント
| 確率 | 利益の場面 | 損失の場面 |
|---|---|---|
| 高い確率 | リスク回避(確実な利益を好む) | リスク追求(確実な損失を避けて賭ける) |
| 低い確率 | リスク追求(宝くじを買う) | リスク回避(保険に入る) |
具体例で確認
投資家Aさんは、株式Xと株式Yをどちらも1株1,000円で購入しました。現在、Xは1,200円に値上がりし、Yは800円に値下がりしています。資金が必要になり、どちらか一方を売ることにしました。
- 購入価格1,000円を参照点とすると、Xは+200円の利益局面、Yは−200円の損失局面です。
- 利益局面ではリスク回避的になるため、Xの利益を「確実に」確定したくなります。
- 損失局面ではリスク追求的になり、損失を確定させたくない(損失回避)ため、Yは「値を戻すかもしれない」と持ち続けたくなります。
その結果、Aさんは将来の見通しに関係なくXを売りがちです。これが気質効果で、プロスペクト理論と整合的な行動です。税金を考えると、含み損の株を売って損失を実現するほうが有利になる場合もあり、合理的な判断とずれていることがわかります。
試験で問われやすいポイント
- リスク態度の4パターン(確率の大小 × 利益・損失)を表で整理し、それぞれの具体例(宝くじ、保険など)を答えられるようにしましょう。
- 気質効果を参照点・価値関数の形・損失回避を使って説明させる記述問題に備えましょう。
- 4パターンのうち低い確率での態度の逆転は、価値関数ではなく確率ウェイト付け関数によるものである点。
- 保有効果、現状維持バイアス、近視眼的損失回避など、損失回避で説明される現象。
- プロスペクト理論の限界(参照点のあいまいさ)も押さえておきましょう。
要点まとめ
- プロスペクト理論は実際の選択行動と整合的な説明を与える。
- 確率の大小と損益の組み合わせでリスク態度の4パターンが生まれる。
- 気質効果は購入価格を参照点とした損益の評価で説明できる。
- 保有効果や近視眼的損失回避も損失回避の表れ。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
