ストック・オプションの会計処理とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・財務分析
ひとことで言うと
- ストック・オプションは、付与日の公正な評価単価に権利確定が見込まれる数を掛けた金額を、権利確定までの期間(対象勤務期間)にわたって費用計上します。
- 相手勘定は純資産の部の新株予約権で、現金は出ていかなくても利益は減ります。
- 評価単価は付与日以後見直さず、失効見込み数だけを見直します。
この記事では、証券アナリスト2次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「株式報酬費用の会計処理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 コーポレート・ファイナンスと企業分析/財務分析 |
|---|---|
| 大分類 | (6) 労務費用の会計 |
| 協会の学習ポイント | ストック・オプションなど株式をベースとする報酬費用の会計処理を理解する。 |
ストック・オプションの会計処理とは
ストック・オプションは、役員や従業員に、あらかじめ決めた価格(行使価格)で自社株式を取得できる権利を報酬として与えるものです。企業は現金を支払いませんが、従業員は労働サービスを提供し、その対価として価値のある権利を受け取っています。そこで日本基準(ストック・オプション等に関する会計基準)では、このサービスの消費を費用(株式報酬費用)として認識します。
費用の測り方
費用の総額は、付与日時点のストック・オプションの公正な評価単価(ブラック・ショールズ・モデルなどのオプション価格算定モデルで算定)に、権利確定が見込まれるストック・オプション数を掛けて求めます。この総額を、付与日から権利確定日までの対象勤務期間にわたって配分し、各期の費用とします。相手勘定は純資産の部の新株予約権です。
付与日以後に株価が変動しても評価単価は見直しません。一方、退職などで失効が見込まれる数は毎期見直し、権利確定日には実際に確定した数に合わせて累計の費用を調整します。
権利行使と失効
権利が行使されると、払い込まれた金額と対応する新株予約権の金額を資本金などに振り替えます(自己株式を交付する場合は自己株式の処分として処理)。権利確定後に行使されずに失効した場合、日本基準では対応する新株予約権を新株予約権戻入益として利益に計上します。IFRS第2号では、確定後の失効で費用を戻し入れることはなく、資本の中で振り替えるだけという違いがあります。
株式報酬には、このほか一定期間の譲渡制限を付けて株式を交付する譲渡制限付株式などもあり、基本的にはサービスの提供期間にわたって費用を認識する考え方がとられます。
押さえておきたい公式
具体例で確認
期首に従業員へストック・オプション1,000個を付与しました。付与日の公正な評価単価は500円、対象勤務期間は2年、1年目末の失効見込みは10%とします(1個で1株を取得、行使価格2,000円)。
- 1年目:500円×1,000個×90%×1÷2=225,000円を株式報酬費用に計上し、同額を新株予約権とします。
- 2年目(権利確定):実際に確定したのは850個。累計額は500円×850個=425,000円なので、2年目の費用は425,000−225,000=200,000円です。
- 権利行使:800個が行使されると、払込金1,600,000円と新株予約権400,000円の合計2,000,000円が資本金などになります。
- 失効:残り50個が行使されずに期限切れになると、日本基準では新株予約権25,000円を新株予約権戻入益として利益に計上します。
試験で問われやすいポイント
- 費用は「付与日」の公正な評価単価で測定し、その後の株価変動では見直さない点が問われやすいです。
- 費用の計上期間は付与日から権利確定日までの対象勤務期間です。行使期間と混同しないようにしましょう。
- 失効見込数の見直しによる各期の費用の計算(累計額からの差引き)がよく出る計算パターンです。
- 確定後の失効時に新株予約権戻入益を計上するのは日本基準で、IFRSでは損益に戻し入れない点が相違点です。
- 2次の記述式では、現金支出がなくても費用計上する理由や、希薄化の影響を説明させる形も考えられます。
要点まとめ
- ストック・オプションは付与日の公正な評価単価×確定見込数を対象勤務期間で費用配分する。
- 相手勘定は純資産の部の新株予約権。
- 評価単価は見直さず、失効見込数だけを見直す。
- 行使時は資本金などへ振替え、確定後の失効は日本基準では戻入益(IFRSでは損益に戻さない)。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
