モンテカルロ・シミュレーションとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- モンテカルロ・シミュレーションは、不確実な変数に確率分布を与え、乱数でシナリオを何千・何万回も発生させて、結果の分布を集計する手法です。
- 手順は「モデル化 → 分布の設定 → 乱数の発生 → 結果の計算 → 反復 → 集計」の流れで押さえます。
- 推定値には乱数による誤差があり、その大きさ(標準誤差)は試行回数の平方根に反比例して小さくなります。
この記事では、証券アナリスト2次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「モンテカルロの仕組みと手順」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (14) シミュレーション手法 |
| 協会の学習ポイント | シミュレーション、特に、モンテカルロシミュレーションの基本的な仕組みや手順について理解する。 |
モンテカルロ・シミュレーションとは
シミュレーションとは、現実の仕組みを数式やモデルで表し、条件を変えながらコンピューター上で「疑似的に何度も試す」ことです。中でもモンテカルロ・シミュレーションは、不確実な入力変数を乱数で発生させる方法で、解析的に(公式で)答えを出すのが難しい問題でも、結果の分布を近似的に求められるのが特徴です。証券分析では、オプションなどデリバティブの価格計算、ポートフォリオのリスク評価(VaR)、年金・資産運用の長期見通し、投資プロジェクトの評価などで使われます。
基本的な手順
- モデル化:評価したい結果(例:ポートフォリオ価値、NPV)と、それを決める入力変数との関係を式で表します。
- 確率分布の設定:不確実な入力変数ごとに確率分布とパラメータ(平均・標準偏差など)、変数間の相関を決めます。
- 乱数の発生:コンピューターで一様乱数を発生させ、設定した分布に従う値に変換します(逆関数法など)。
- 結果の計算:発生させた入力値をモデルに入れて、1回分の結果を計算します。
- 反復:3〜4を何千回・何万回とくり返します。
- 集計・分析:得られた結果の平均、標準偏差、パーセンタイル、損失となる確率などを求めます。
精度と試行回数
モンテカルロの推定値は乱数に依存するため、同じ設定でも実行ごとに少しずつ値が変わります。平均の推定値の標準誤差は s÷√N(sは結果の標準偏差、Nは試行回数)なので、精度を2倍にする(誤差を半分にする)には試行回数を4倍にする必要があります。計算量を抑えるために、対称変量法や制御変量法といった分散減少法が使われることもあります。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| Xi | i回目の試行の結果 |
| N | 試行回数 |
| s | 試行結果の標準偏差 |
| u | 0〜1の一様乱数 |
| F−1 | 目的とする分布の累積分布関数の逆関数 |
具体例で確認
例1:乱数を分布に従う値に変換する
ある変数が平均100、標準偏差10の正規分布に従うとします。一様乱数としてu=0.975が出たら、標準正規分布でこの累積確率に対応する値はz=1.96なので、x = 100 + 10 × 1.96 = 119.6 となります。uが0.5ならz=0でx=100です。
例2:試行回数と精度
1万回の試行で結果の標準偏差がs=20だったとき、平均の標準誤差は 20 ÷ √10,000 = 0.2 です。これを0.1に半減させたいなら、試行回数は4倍の4万回が必要になります。
試験で問われやすいポイント
- モンテカルロの手順を順番に説明させる問題に備え、「モデル化→分布設定→乱数発生→計算→反復→集計」を言えるようにしましょう。
- 標準誤差が1÷√Nで減る関係(誤差半減には試行4倍)が計算で問われやすいです。
- 一様乱数を逆関数法で正規分布などの値に変換する考え方も押さえておきましょう。
- 解析解がない複雑な問題(経路依存型のオプションなど)に向いているという使いどころが問われます。
- 記述式では、結果が入力の分布の仮定に左右されることや、試行回数による誤差があることを説明させる形も考えられます。
要点まとめ
- 不確実な変数に分布を与え、乱数でシナリオを多数発生させて結果の分布を得る
- 手順はモデル化→分布設定→乱数発生→計算→反復→集計
- 推定誤差は s÷√N で、精度2倍には試行回数4倍が必要
- 解析的に解けない複雑な問題に強い
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
