ひとことで言うと

  • 費用に占める固定費の割合が大きい企業ほど、売上高の変化に対して営業利益が大きく変動します。これを営業レバレッジといいます。
  • 営業レバレッジ係数 = 限界利益 ÷ 営業利益 で表され、「営業利益の変化率 = 売上高の変化率 × 係数」の関係があります。
  • 営業レバレッジ係数は安全余裕率の逆数にもなります。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「費用構造と利益変動」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (10) 財務分析の基礎
協会の学習ポイント 費用構造が利益変動に与える影響を理解する。

営業レバレッジとは

企業の費用構造、つまり費用のうち固定費と変動費がどのような割合になっているかは、利益の変動しやすさに大きく影響します。売上高が増えても固定費は増えないため、固定費の割合が大きい企業ほど、売上増加の効果が利益に大きく表れます。逆に売上高が減少したときも固定費は減らないので、利益は大きく落ち込みます。このように、固定費がてこ(レバー)のように働いて利益の変動を増幅させる効果を営業レバレッジと呼びます。

営業レバレッジ係数

営業レバレッジの大きさは営業レバレッジ係数(DOL)で測ります。これは、売上高が1%変化したときに営業利益が何%変化するかを示す倍率で、限界利益 ÷ 営業利益 で計算できます。たとえば係数が4であれば、売上高が10%増えると営業利益は40%増え、売上高が10%減ると営業利益は40%減ります。

損益分岐点との関係

営業レバレッジ係数は、安全余裕率の逆数と一致します。売上高が損益分岐点に近い(安全余裕率が小さい)企業ほど、営業利益が小さく係数が大きくなり、わずかな売上の変化でも利益が大きく振れます。設備産業など固定費の大きい業種は、好況期には利益が大きく伸びる一方、不況期には赤字に陥りやすいという特徴があり、事業リスクが高いと評価されます。

押さえておきたい公式

営業レバレッジ係数 = 限界利益 ÷ 営業利益 = (売上高 - 変動費) ÷ (売上高 - 変動費 - 固定費)
営業利益の変化率 = 売上高の変化率 × 営業レバレッジ係数変動費率と固定費が一定であることが前提
営業レバレッジ係数 = 1 ÷ 安全余裕率

具体例で確認

売上高と営業利益が同じで、費用構造だけが異なる2社を比べます。

項目 A社(固定費小) B社(固定費大)
売上高 1,000 1,000
変動費 600 300
限界利益 400 700
固定費 300 600
営業利益 100 100
営業レバレッジ係数 4倍 7倍
売上10%増加後の営業利益 140(+40%) 170(+70%)

売上高が10%増えると、A社の営業利益は1,100 - 660 - 300 = 140、B社は1,100 - 330 - 600 = 170となり、どちらも「10% × 係数」の変化率と一致します。売上高が10%減った場合は、A社が40%減、B社が70%減となり、固定費の大きいB社のほうが下振れも大きくなります。

安全余裕率で確認すると、A社は損益分岐点750で安全余裕率25%(逆数4)、B社は損益分岐点約857で安全余裕率約14.3%(逆数7)です。

試験で問われやすいポイント

  • 固定費の割合が大きいほど、売上高の変化に対する利益の変動が大きくなるという方向性。
  • 営業レバレッジ係数 = 限界利益 ÷ 営業利益 の計算と、変化率の関係を使った営業利益の予測。
  • 営業レバレッジ係数が安全余裕率の逆数になること。
  • 損益分岐点に近いほど係数が大きくなる点。
  • 財務レバレッジ(資本構成による利益変動)との区別。営業レバレッジは費用構造による営業利益の変動です。

要点まとめ

  • 固定費が大きいほど、売上高の変化で営業利益が大きく変動する(営業レバレッジ)。
  • 営業レバレッジ係数 = 限界利益 ÷ 営業利益。
  • 営業利益の変化率 = 売上高の変化率 × 営業レバレッジ係数。
  • 係数は安全余裕率の逆数で、損益分岐点に近いほど大きい。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。