ひとことで言うと

  • 損益分岐点分析などを行うには、費用合計を変動費固定費に分ける必要があります(固変分解)。
  • 勘定科目ごとに判断する費目別精査法(個別費用法)と、売上高と費用のデータから推定する総費用法・最小二乗法(回帰分析)などがあります。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「変動費と固定費への分解」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (10) 財務分析の基礎
協会の学習ポイント 費用合計を変動費と固定費に分解する方法を理解する。

変動費と固定費の分解とは

損益分岐点分析や営業レバレッジの分析は、費用を変動費と固定費に分けられることが前提です。しかし、損益計算書では費用が売上原価や販売費及び一般管理費といった機能別に表示されており、変動費・固定費の区分は示されていません。そこで、分析者が何らかの方法で費用を分解する必要があります。これを固変分解といいます。

費目別精査法(個別費用法・勘定科目法)

費用を勘定科目ごとに検討し、原材料費や外注加工費、販売手数料などは変動費、減価償却費や賃借料、固定的な人件費などは固定費というように、一つひとつ振り分ける方法です。実務的で分かりやすい一方、変動費と固定費の両方の性質を持つ準変動費(電力料など)の扱いに判断が入りやすく、外部の分析者は内訳情報を十分に得られないこともあります。

総費用法(高低点法など)

2期間(または最も売上高の高い時点と低い時点)の売上高と総費用を比べ、売上高の増減に対する費用の増減の割合を変動費率とみなす方法です。変動費率が分かれば、総費用から変動費を差し引いて固定費を求められます。計算は簡単ですが、2点のデータだけに依存するため、その期間に特殊な要因があると結果が大きくゆがみます。

最小二乗法(回帰分析)

複数期間の売上高と総費用のデータを使い、「総費用 = 固定費 + 変動費率 × 売上高」という直線を最小二乗法で当てはめて推定する方法です。すべてのデータを使うので2点法より客観的ですが、その期間に費用構造(設備規模や価格水準など)が変化していると、推定結果が実態と合わなくなる点に注意が必要です。

押さえておきたい公式

変動費率 = (総費用の増減額) ÷ (売上高の増減額)総費用法(高低点法)の場合
固定費 = 総費用 - 変動費率 × 売上高
総費用 = a + b × 売上高a:固定費、b:変動費率を回帰分析(最小二乗法)で推定

具体例で確認

ある企業の5期間の売上高と総費用が次のとおりだったとします。

売上高 総費用
1 800 790
2 900 860
3 1,000 900
4 1,100 960
5 1,200 1,000

高低点法:売上高が最も高い期(1,200、1,000)と最も低い期(800、790)を使うと、変動費率 =(1,000 - 790)÷(1,200 - 800)= 210 ÷ 400 = 0.525、固定費 = 1,000 - 0.525 × 1,200 = 370 となります。

最小二乗法:5期分すべてを使って回帰直線を求めると、変動費率は0.52、固定費は382と推定されます。使うデータによって結果が少しずつ異なることが分かります。

試験で問われやすいポイント

  • 固変分解の代表的な方法(費目別精査法、総費用法・高低点法、最小二乗法)の名称と特徴。
  • 2期間のデータから変動費率と固定費を求める計算。
  • 各方法の長所と短所(主観が入る、2点に依存する、費用構造の変化に弱いなど)。
  • 回帰式の切片が固定費、傾きが変動費率にあたるという対応関係。

要点まとめ

  • 損益分岐点分析の前提として、費用を変動費と固定費に分解する必要がある。
  • 費目別精査法は勘定科目ごとに判断する方法で、準変動費の扱いに判断が入る。
  • 総費用法は売上高と費用の増減から変動費率を求める簡便な方法。
  • 最小二乗法は複数期間のデータに回帰直線を当てはめ、切片を固定費、傾きを変動費率とする。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。