ひとことで言うと

  • リバランスは、値動きで崩れた資産配分を基本ポートフォリオ(政策資産配分)に戻す操作です。
  • 定期リバランスは「毎月・毎四半期など決まった時点で戻す」、乖離幅リバランスは「許容乖離幅を超えたら戻す」方法です。
  • 戻し先(リバランス目標)を基本配分そのものにするか、許容幅の境界や中間にするかで、取引コストと追随の精度が変わります。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「リバランスの手法」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (2) 投資政策とアセット・アロケーション
協会の学習ポイント リバランスの概念と手法(定期リバランスと乖離幅リバランス、許容乖離幅、リバランス目標など)の内容や特性について理解する。

リバランスの手法とは

基本ポートフォリオを決めても、各資産の値動きが異なるため、時間がたつと実際の配分は目標から離れていきます。たとえば株式が大きく上昇すると株式の比率が上がり、ポートフォリオ全体のリスクは当初の想定より高くなります。これを元に戻すのがリバランスで、どのタイミングで、どこまで戻すかによって手法が分かれます。

定期リバランス(カレンダー・リバランス)

毎月末、四半期末、年1回など、あらかじめ決めた時点ごとに配分を目標に戻す方法です。ルールが単純で管理しやすく、運用の規律を保ちやすいのが長所です。一方で、乖離がわずかでも取引してしまう(ムダなコスト)ことや、次の点検日までの間に大きく乖離しても放置されることが短所です。

乖離幅リバランス(パーセンテージ・レンジ・リバランス)

資産ごとに許容乖離幅(例:株式の目標60%に対して±5%)を決め、実際の比率がその幅を超えたときにだけリバランスする方法です。市場の動きに応じて必要なときだけ取引するため、コストとリスク管理のバランスをとりやすい一方、配分を常時監視する体制が必要です。

許容乖離幅の決め方

許容乖離幅は一律ではなく、次のような要因で広くしたり狭くしたりします。

  • 取引コストが高い資産(流動性の低い資産など)ほど幅を広くする。
  • その資産のボラティリティが高いほど、放置したときに配分が大きくずれやすいため幅を狭くする考え方がある。
  • 他の資産との相関が高いと、一緒に動くため配分のずれが起きにくく、幅を広くしやすい。
  • 投資家のリスク許容度が低い(目標からのずれを嫌う)ほど幅を狭くする。

リバランス目標(どこまで戻すか)

乖離幅を超えたときの戻し先には、①目標配分そのものに戻す、②許容幅の境界まで戻す、③目標と境界の中間まで戻す、といった選択肢があります。目標に完全に戻すと追随の精度は高まりますが取引量は大きくなり、境界まで戻すだけなら取引量は小さいものの、すぐにまた幅を超えやすくなります。

整理しておきたいポイント

項目 定期リバランス 乖離幅リバランス
実施のきっかけ 決められた日付 許容乖離幅を超えたとき
長所 単純で規律を保ちやすい 必要なときだけ取引し、乖離も抑えやすい
短所 不要な取引や、点検日間の大きな乖離の放置 継続的な監視が必要
設計上の論点 頻度(月次・四半期・年次) 許容乖離幅の広さ、リバランス目標

具体例で確認

1億円を株式60%(6,000万円)・債券40%(4,000万円)で運用し、株式の許容乖離幅を±5%(55〜65%)とします。債券の価格は変わらないものとします。

  • 株式が20%上昇:株式7,200万円、合計1億1,200万円で、株式比率は約64.3%。65%以内なので、乖離幅リバランスでは取引しません(定期リバランスの点検日なら60%に戻します)。
  • 株式が30%上昇:株式7,800万円、合計1億1,800万円で、株式比率は約66.1%。許容幅を超えたのでリバランスします。
  • 目標(60%)まで戻す:1億1,800万円×60%=7,080万円なので、株式を720万円売って債券を買います。
  • 境界(65%)まで戻す:1億1,800万円×65%=7,670万円なので、売却は130万円で済みますが、次に少し上昇するとまた幅を超えます。

試験で問われやすいポイント

  • 定期リバランスと乖離幅リバランスの定義と、それぞれの長所・短所の比較。
  • 許容乖離幅を広く(狭く)すべき条件の方向。取引コスト、ボラティリティ、相関、リスク許容度との関係は取り違えやすい論点です。
  • リバランス目標を「目標配分」「境界」「中間」にした場合の取引量と追随精度のトレードオフ。
  • 値上がりした資産を売り、値下がりした資産を買う逆張り的な取引になる点(コンスタント・ミックス戦略との関係)。
  • 2次の記述式では、配分比率の計算と売買金額を計算過程とともに示させたり、手法の選び方の理由を説明させたりする形が考えられます。

要点まとめ

  • リバランスは崩れた配分を基本ポートフォリオに戻し、リスクを当初の水準に保つための操作。
  • 定期リバランスは日付基準、乖離幅リバランスは許容乖離幅を超えたときに実施。
  • 許容乖離幅はコスト・ボラティリティ・相関・リスク許容度で調整する。
  • 戻し先(リバランス目標)の選び方で、取引コストと追随精度のバランスが変わる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。