確定給付企業年金(DB)の投資政策とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- 確定給付企業年金(DB)は、将来の給付額をあらかじめ約束する年金で、運用で不足が生じれば母体企業が掛金で穴埋めします。
- そのため投資政策は、資産だけでなく年金負債(将来の給付)と、母体企業の負担能力を意識して策定します。
- 予定利率、積立状況、成熟度、流動性、法令上のルールや受託者責任が主な運用制約になります。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「DB年金の投資政策と制約」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (2) 投資政策とアセット・アロケーション |
| 協会の学習ポイント | 確定給付企業年金(DB)の投資政策策定と運用制約について理解する。 |
DB年金の投資政策とは
確定給付企業年金は、加入者に将来の給付額(またはその算定方法)を約束する制度です。給付の原資は、企業が拠出する掛金と、その運用収益です。運用がうまくいかず積立不足が生じると、母体企業が追加の掛金で補う必要があります。つまり、運用リスクを最終的に負うのは加入者ではなく母体企業です。この点が、加入者自身が運用リスクを負う確定拠出年金(DC)との大きな違いです。
投資政策の策定
DB年金では、将来の給付を現在価値に割り引いた年金負債と、保有する年金資産のバランス(積立状況)が重要です。掛金は一定の予定利率で運用できることを前提に計算されるため、運用目標は予定利率を意識して設定されることが一般的です。そのうえで、目標を達成できる範囲でリスクを抑えた政策アセット・ミックスを定め、運用の基本方針としてまとめます。
主な運用制約
リスク許容度は、①積立比率が高く余裕があるか、②母体企業の業績や財務が安定し追加拠出に耐えられるか、③加入者の年齢構成(成熟度)、などによって変わります。成熟度が高い年金は、給付支払いが多く実質的な投資期間が短いため、流動性を確保し、大きな損失を避ける必要があります。また、年金の運用には法令やガイドラインに基づくルールがあり、運用の基本方針を定めて分散投資に努めることや、運用に携わる者が加入者等のために忠実かつ慎重に行動する受託者責任を果たすことが求められます。
押さえておきたい公式
具体例で確認
A社とB社の年金は、どちらも年金負債が100億円です。A社は年金資産120億円(積立比率1.2)で母体企業の財務も安定しており、加入者は若い世代が中心です。B社は年金資産90億円(積立比率0.9)で、退職者の割合が高く毎年の給付支払いが多い状況です。
- A社:積立に余裕があり、母体企業の負担能力も高く、投資期間も長いため、比較的高いリスク許容度で株式などの比率を高めに設定しやすいと考えられます。
- B社:すでに10億円の積立不足があり、流動性の必要も大きいため、大きな損失はさらなる追加拠出につながります。リスクを抑え、負債の動きに近い債券の比率を高めるなどの方針が検討されます。
試験で問われやすいポイント
- DBでは運用リスクを母体企業が負う点を、DCとの対比で説明できるようにしましょう。
- リスク許容度を決める要因(積立状況、母体企業の財務、成熟度)と、その方向(高い/低い)が問われやすいです。
- 予定利率と運用目標、年金負債との関係を整理しておきましょう。
- 事例の年金について、投資目的と制約を記述させたり、適切な資産配分の方向性を論じさせたりする形に備えましょう。
- 受託者責任や分散投資といった運用上のルールの趣旨も確認しておきましょう。
要点まとめ
- DBは給付を約束し、運用リスクは最終的に母体企業が負う。
- 投資政策は年金負債と積立状況を意識して策定する。
- リスク許容度は積立比率、母体企業の財務力、成熟度で変わる。
- 流動性、法令上のルール、受託者責任が主な運用制約。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
