ひとことで言うと

  • VWAP(出来高加重平均価格)は、その日に市場で成立した取引の価格を、出来高で加重平均した価格です。
  • VWAP法は、自分の平均約定価格をVWAPと比べ、買いならVWAPより高く、売りならVWAPより安く約定した分を取引コストとして評価する方法です。
  • 計算が簡単な一方で、未約定分の機会費用を反映しない、操作されやすいなどの限界があります。

この記事では、証券アナリスト2次「株式分析」の学習ポイントのひとつ「VWAP法による取引コスト分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/株式分析
大分類 (6) ポートフォリオにおけるトレーディングと最良執行
協会の学習ポイント VWAP(出来高加重平均価格)法による取引コストの分析手法について理解する。

VWAP法とは

VWAPは、ある期間(通常は1日)に市場で行われたすべての取引について、約定価格に出来高のウエイトを付けて平均した価格です。「その日に市場参加者が平均的に売買した価格」と考えることができます。VWAP法は、このVWAPを基準価格として、自分の執行がどれだけ有利・不利だったかを測る取引コスト分析の手法です。

VWAP法の長所

VWAPは市場データから容易に計算でき、わかりやすいため、実務で広く使われています。その日の平均的な価格と比べるため、1日の中で急がずに執行するような流動性トレーダーやパッシブ運用の注文を評価するのに向いています。また、VWAP型のアルゴリズム取引と組み合わせて、執行の良し悪しを確認する基準としても用いられます。

VWAP法の限界

第一に、自分の注文が当日の出来高の大部分を占める場合、VWAP自体が自分の約定価格に引き寄せられ、コストが小さく見えてしまいます。第二に、トレーダーが約定のタイミングを調整するなどしてVWAPに合わせることができ、評価を操作(ゲーミング)されやすい面があります。第三に、約定しなかった分の機会費用や、売買の決定から発注までの遅延コストを反映しません。第四に、複数日にわたる注文や、情報に基づく急ぎの注文の評価には向きません。さらに、市場全体の値動きの影響も調整されません。こうした限界を補うのが、決定時点を基準とするIS法です。

押さえておきたい公式

VWAP = Σ(Pi × Qi) ÷ ΣQi当日の各約定価格Piを出来高Qiで加重平均
買いのコスト = (平均約定価格 − VWAP) ÷ VWAP正ならVWAPより不利に買ったことを示す
売りのコスト = (VWAP − 平均約定価格) ÷ VWAP正ならVWAPより不利に売ったことを示す

具体例で確認

ある銘柄の当日の取引が、100円で1,000株、102円で3,000株、101円で2,000株、103円で4,000株だったとします。この日に5,000株を平均102.3円で買ったケースを評価します。

  1. 売買代金の合計:100×1,000 + 102×3,000 + 101×2,000 + 103×4,000 = 1,020,000円
  2. 出来高の合計:10,000株
  3. VWAP:1,020,000 ÷ 10,000 = 102.0円
  4. コスト:(102.3 − 102.0) ÷ 102.0 ≒ 0.29%(金額では0.3円×5,000株=1,500円)

VWAPより0.3円高く買ったため、市場の平均的な買い手よりも不利な執行だったと評価されます。ただし、この例では自分の5,000株が当日の出来高10,000株の半分を占めており、VWAP自体が自分の取引の影響を強く受けている点に注意が必要です。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「インプリメンテーション・ショートフォール法とVWAP法による取引コスト分析を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 取引データからVWAPを計算し、執行コストを求める問題が典型です。計算過程を示す記述式にも備えましょう。
  • 買いと売りでコストの符号の向きが逆になる点がひっかけになりやすいです。
  • 自分の注文の出来高シェアが大きいとVWAPが自分の約定価格に近づき、コストが過小評価される点が問われやすいです。
  • VWAP法は機会費用や遅延コストを反映せず、操作されやすいという限界を、IS法との比較で説明させる形に注意しましょう。

要点まとめ

  • VWAPは当日の約定価格を出来高で加重平均した価格
  • 買いは平均約定価格がVWAPより高いほど、売りは低いほどコストが大きい
  • 計算が簡単で、急がない注文の評価に向いている
  • 出来高シェアが大きい注文の評価、機会費用の反映、操作への耐性に限界がある

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。