ひとことで言うと

  • CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は、特定の企業や国(参照体)の信用リスクを売買するデリバティブです。
  • プロテクションの買い手が定期的に保証料を払い、参照体にクレジット・イベントが起きると、売り手が損失相当額を支払います。
  • 種類には1社を対象とするシングルネームCDSと、複数社をまとめたCDSインデックスがあります。

この記事では、証券アナリスト2次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「CDSの仕組み・種類・パラメータ」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/デリバティブ分析
大分類 (5) クレジット・デリバティブ
協会の学習ポイント CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の仕組みや種類、パラメータを理解する。

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)とは

CDSは、債券や貸出の「信用リスク」だけを切り出して取引する代表的なクレジット・デリバティブです。仕組みは保険に似ていて、プロテクション(保証)の買い手は、想定元本に一定の料率(CDSスプレッド、プレミアム)を掛けた保証料を定期的に支払います。参照体が破綻するなどのクレジット・イベントが起きた場合、プロテクションの売り手は、想定元本から回収できる価値を差し引いた損失分を買い手に支払います。

プロテクションの買い手は信用リスクを手放し(ショート・クレジット)、売り手は社債を保有するのと似た信用リスクを引き受けます(ロング・クレジット)。買い手は参照体の債券を保有していなくても取引できる点が、一般的な保険との大きな違いです。

主な契約条件(パラメータ)

CDSの契約では、参照体(どの企業・国の信用リスクか)、想定元本期間(5年が代表的)、スプレッド(年率の保証料率。ベーシス・ポイントで表示)、クレジット・イベントの定義、決済方法などを決めます。クレジット・イベントには、一般に破産、支払不履行、契約によってはリストラクチャリング(債務条件の変更)などが含まれます。

クレジット・イベント後の決済には、買い手が対象債券を額面で売り手に引き渡す現物決済と、債券の市場価値との差額を支払う現金決済があります。現在の主要市場では、オークションで決めた最終価格にもとづいて決済する方法が広く使われています。また、主要な市場では保証料を100bpなどの標準クーポンにそろえ、実際のスプレッドとの差を契約時の一時金(アップフロント)で調整する慣行が定着しています。

シングルネームとインデックス

シングルネームCDSは1つの参照体を対象とします。CDSインデックスは、多数の参照体を等しいウエイトで組み入れたもので、北米のCDX、欧州やアジアのiTraxxなどが知られています。インデックスでは、構成銘柄の1社にクレジット・イベントが起きると、その銘柄のウエイト分だけ決済され、残りの銘柄で契約が続きます。市場全体の信用リスクをまとめてヘッジしたり、見通しを取引したりするのに使われます。

押さえておきたい公式

保証料(各期) = 想定元本 × スプレッド × 期間の長さ
プロテクションの支払額 = 想定元本 × (1 − 回収率)(1 − 回収率)を損失率(LGD)と呼ぶ
用語 意味
参照体 信用リスクの対象となる企業・国など
スプレッド 年率で表した保証料率(例:100bp = 1%)
回収率 クレジット・イベント後に債権から回収できる割合
クレジット・イベント 補償の支払いが発生する事由(破産、支払不履行など)

具体例で確認

投資家Cは、D社を参照体とする期間5年、想定元本10億円、スプレッド100bp(年1%)、四半期払いのCDSでプロテクションを買いました。

  1. 四半期ごとの保証料:10億円 × 1% × 0.25 = 250万円
  2. 年間の保証料:250万円 × 4 = 1,000万円
  3. 3年目にD社が破綻し、オークションで決まった回収率が40%だった場合、売り手からの支払額:10億円 × (1 − 0.40) = 6億円

クレジット・イベントが起きた時点で保証料の支払いは終わりますが、前回の支払日からの経過分の保証料(経過保証料)は買い手が支払うのが一般的です。

試験で問われやすいポイント

  • プロテクションの買い手=保証料を払い信用リスクを移す側、売り手=保証料を受け取り信用リスクを負う側という役割と、それぞれのクレジットに対するポジションの向きが問われやすいです。
  • 補償額が想定元本 × (1 − 回収率)で決まり、回収率が高いほど支払額が小さくなるという関係を押さえましょう。
  • 保証料の計算(想定元本 × スプレッド × 期間)はbp表示の換算ミスに注意しましょう。
  • シングルネームCDSとCDSインデックスの違い、現物決済と現金決済の違いを説明できるようにしておきましょう。
  • 記述式では、CDSが債券を保有しなくても信用リスクだけを取引できる点を、保険との違いとして述べられるようにしておきましょう。

要点まとめ

  • CDS=保証料と引き換えに、参照体のクレジット・イベント時の損失を補償してもらう取引
  • 買い手は信用リスクを移転(ショート)、売り手は信用リスクを引き受け(ロング)
  • 主なパラメータは参照体・想定元本・期間・スプレッド・回収率・クレジット・イベント・決済方法
  • シングルネームCDSは1社、CDSインデックスは多数の参照体をまとめて対象にする

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。