ひとことで言うと

  • 国際ポートフォリオでは、各資産が「どの市場(国・地域)のリスク」「どの通貨のリスク」を持っているかを分けてとらえることが大切です。
  • 外国資産の自国通貨建てリターンは、現地通貨建てのリターン為替のリターン(と両者の交差項)に分解できます。
  • 為替ヘッジを使えば、市場のエクスポージャーはそのままに、通貨のエクスポージャーだけを調整できます。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「国際ポートフォリオのエクスポージャー」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (6) 国際証券投資と為替管理、資産配分
協会の学習ポイント 国際証券ポートフォリオにおけるエクスポージャーの管理と分析手法について理解する。

国際ポートフォリオのエクスポージャーとは

エクスポージャーとは、ポートフォリオが特定のリスク要因の変動にどれだけさらされているかを示すものです。国内だけの運用では、株式・債券・業種・スタイルなどのエクスポージャーを管理すれば十分でしたが、国際投資では国・地域通貨という2つの軸が加わります。

市場エクスポージャーと通貨エクスポージャー

たとえば、日本の投資家が米国株式を為替ヘッジなしで保有すると、米国株式市場の変動(市場エクスポージャー)と、ドル円レートの変動(通貨エクスポージャー)の両方にさらされます。為替ヘッジを行うと、米国株式市場のエクスポージャーは残ったまま、ドルのエクスポージャーだけを減らすことができます。このように、市場と通貨のエクスポージャーは別々に管理できることが国際投資のポイントです。

なお、企業の所在国と実際の事業の収益源は一致するとは限りません。多国籍企業の株式は、上場している国以外の経済や通貨の影響も受けるため、エクスポージャーの分析では収益の地域構成なども参考にされます。

リターンとリスクの分解

外国資産の自国通貨建てリターンは、現地通貨建てリターンと為替リターンの組合せで表されます。リスク(分散)も、現地市場のリスク、為替のリスク、両者の相関の3つの要素から成り立ちます。現地資産と為替の相関がマイナスであれば、為替が加わってもリスクはそれほど増えず、場合によっては分散効果が働きます。

分析と管理の手法

実務では、ポートフォリオ全体について、国・地域別、通貨別、資産クラス別のウェイトをベンチマークと比較し、どこでどれだけの乖離(アクティブ・エクスポージャー)を取っているかを把握します。さらに、パフォーマンスを「国・地域の配分効果」「銘柄選択効果」「通貨効果」などに要因分解して、どの判断が成果に結びついたかを分析します。通貨エクスポージャーは、為替予約などを使って証券の運用とは切り離して調整することもできます。

押さえておきたい公式

R自国通貨 = (1 + RL)(1 + RFX) − 1 ≒ RL + RFX交差項 RL×RFX は小さいので省略して近似することが多い
σ2自国通貨 ≒ σL2 + σFX2 + 2ρσLσFX
RL、σL 現地通貨建てのリターンとその標準偏差
RFX、σFX 外貨の自国通貨に対する変化率とその標準偏差
ρ 現地通貨建てリターンと為替変化率の相関係数

具体例で確認

日本の投資家が、米国株式(ヘッジなし)に投資したとします。

  • 現地通貨建てリターン+8%、ドルが円に対して+5%の場合:1.08×1.05 − 1 = 13.4%(近似では13%)
  • 現地通貨建てリターン+8%、ドルが円に対して−5%の場合:1.08×0.95 − 1 = 2.6%

次に、米国株式の標準偏差を18%、ドル円の標準偏差を10%、相関係数を−0.2とすると、円建ての標準偏差は √(0.182 + 0.102 + 2×(−0.2)×0.18×0.10) ≒ 約18.8%です。相関がゼロなら約20.6%になるので、マイナスの相関が為替リスクの上乗せを抑えていることがわかります。

ポートフォリオ全体で、国内株式50%、米国株式30%(ヘッジなし)、欧州株式20%(半分をヘッジ)であれば、市場エクスポージャーは日本50%・米国30%・欧州20%、通貨エクスポージャーは円60%・ドル30%・ユーロ10%と整理できます。

試験で問われやすいポイント

  • 自国通貨建てリターンの分解(現地リターン、為替リターン、交差項)の計算。
  • 自国通貨建てリスクが、現地リスク・為替リスク・相関で決まることと、その計算。
  • 市場エクスポージャーと通貨エクスポージャーを分けて管理できること、為替ヘッジが通貨エクスポージャーのみを変えること。
  • 国・地域配分効果、銘柄選択効果、通貨効果によるパフォーマンスの要因分解。
  • 2次の記述式では、ポートフォリオの国別・通貨別エクスポージャーを計算させたり、円建てリターン・リスクを求めさせたりする形が考えられます。

要点まとめ

  • 国際ポートフォリオは、市場(国・地域)と通貨の2つの軸でエクスポージャーをとらえる。
  • 自国通貨建てリターン ≒ 現地リターン + 為替リターン。
  • 自国通貨建てリスクは、現地リスク・為替リスク・相関で決まる。
  • 為替ヘッジで、市場エクスポージャーを残したまま通貨エクスポージャーを調整できる。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。