ひとことで言うと

  • レポートや投資推奨を作って提供するアナリスト業務で、特に重要になる職業行為基準のまとまりです。
  • 中心は独立性と客観性の保持合理的な根拠事実と意見の区別利害関係の開示未公開の重要な情報の扱い、顧客の公平な取扱いです。
  • 発行会社や所属会社からの圧力に左右されず、すべての受け手に公正な情報を届けることが求められます。

この記事では、証券アナリスト2次「職業倫理・行為基準」の学習ポイントのひとつ「アナリスト業務で重要な基準」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 職業倫理・行為基準
大分類 (3) 重要な行為基準の理解と具体的な業務における適切な行動と判断
協会の学習ポイント 投資情報の提供において重要な職業行為基準について説明できる。‥主にアナリスト業務

アナリスト業務で重要な職業行為基準とは

アナリスト業務とは、企業や業界を調査・分析し、レポートや投資推奨の形で投資情報を提供する仕事です。日本証券アナリスト協会の「証券アナリスト職業行為基準」のうち、この業務で特に意識すべき基準がいくつかあります。2次試験では、『証券アナリスト職業行為基準 実務ハンドブック』の事例のように、具体的な業務場面でどの基準が問題になり、どう行動すべきかを判断できることが求められます。

独立性と客観性の保持

アナリストの評価は、発行会社、所属会社の投資銀行部門や営業部門、大口顧客などから影響を受けやすい立場にあります。「買い推奨にしてほしい」という圧力や、判断に影響しうる過度な贈答・接待を受けて評価を変えれば、レポートの価値は失われます。自らの調査にもとづき、独立した客観的な判断を保つことが最も重要です。

合理的な根拠と事実・意見の区別

投資推奨は十分な調査・分析にもとづく合理的な根拠が必要です。また、レポートでは確認された事実とアナリストの予想・評価を明確に区別し、前提やリスクなど重要な事項を伝えます。根拠となった調査の記録を保存しておくことも求められます。

利害関係の開示と未公開情報の扱い

自分や所属会社が推奨銘柄を保有している、発行会社と引受けなどの取引関係がある、といった利害関係は開示します。また、取材などで未公開の重要な情報を得た場合は、推奨や伝達に使ってはなりません。公開情報を積み上げる分析(モザイク理論)とは区別して考えます。

公平な取扱い

レポートの内容や評価の変更は、特定の顧客だけに先に伝えるのではなく、すべての顧客に公平に提供されるようにします。一部の顧客だけが先回りして取引できる状態は、他の顧客の利益を損ないます。

整理しておきたいポイント

基準 アナリスト業務での意味 典型的な違反例
独立性と客観性 圧力や利益供与に左右されず評価する 発行会社の要望で評価を引き上げる
合理的な根拠 十分な調査・分析にもとづき推奨する 会社説明を検証せずに推奨する
事実と意見の区別 予想・評価を意見として示す 予想を確定事実のように書く
利害関係の開示 保有や取引関係を受け手に伝える 保有銘柄を開示せず推奨する
未公開情報の扱い 重要な未公開情報を推奨・伝達に使わない 取材で得た未公表情報で評価を変える
公平な取扱い 評価変更を全顧客に公平に伝える 大口顧客だけに事前に伝える

具体例で確認

アナリストFさんはZ社の評価を「中立」から「売り」に引き下げる予定です。それを知ったZ社のIR担当者から「売り推奨を出すなら今後の取材は受けられない」と言われ、さらに社内の営業担当からは「大口顧客にだけ先に伝えてほしい」と頼まれました。

  • 独立性と客観性:取材制限をほのめかされても、分析の結果として妥当な評価を変えてはいけません。圧力があった事実は上司やコンプライアンス部門に報告します。
  • 公平な取扱い:評価変更は定められた方法で全顧客に同時に提供し、特定の顧客にだけ先に伝えることはしません。
  • 根拠と開示:「売り」とした根拠を示し、予想であることや前提条件、利害関係があればそれも明記します。

試験で問われやすいポイント

  • 事例の中から「独立性・客観性」「合理的な根拠」「利害関係の開示」「未公開情報」「公平な取扱い」のどれが問題かを特定できるかが問われます。
  • 発行会社や社内他部門からの圧力、贈答・接待が独立性を損なう場面は、典型的な出題テーマです。
  • 評価変更を一部の顧客に先行して伝える行為は、公平な取扱いの観点から問題になります。
  • 2次の記述式では、問題となる行為とその理由、とるべき適切な行動をセットで書けるように準備しましょう。
  • 職業倫理には一定の基準点(いわゆる足切り)があるため、業務ごとの重要基準を整理しておくことが得点の安定につながります。

要点まとめ

  • アナリスト業務では独立性と客観性の保持が最も重要。
  • 推奨は合理的な根拠にもとづき、事実と意見を区別して示す。
  • 利害関係は開示し、未公開の重要な情報は推奨・伝達に使わない。
  • レポートや評価変更は、すべての顧客に公平に提供する。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。