ひとことで言うと

  • 顧客に金融商品を勧める営業業務(投資推奨)で、特に重要になる職業行為基準のまとまりです。
  • 中心は適合性の確認リスクや手数料の十分な説明不実表示・断定的判断の提供の禁止利益相反の回避です。
  • 販売の実績よりも、顧客にとって適切かどうかを優先して行動することが求められます。

この記事では、証券アナリスト2次「職業倫理・行為基準」の学習ポイントのひとつ「営業業務で重要な基準」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 職業倫理・行為基準
大分類 (3) 重要な行為基準の理解と具体的な業務における適切な行動と判断
協会の学習ポイント 投資推奨において重要な職業行為基準について説明できる。‥主に金融商品の営業業務

営業業務で重要な職業行為基準とは

証券会社や銀行などで金融商品を顧客に勧める営業業務は、顧客と直接向き合い、投資の意思決定に大きな影響を与える仕事です。日本証券アナリスト協会の「証券アナリスト職業行為基準」のうち、この場面では特に守るべき基準があります。2次試験では、『証券アナリスト職業行為基準 実務ハンドブック』の事例のように、販売の現場で何が問題になり、どう行動すべきかを判断できることが求められます。

適合性の確認

商品を勧める前に、顧客の投資目的、財産の状況、知識・経験、リスク許容度などを確認し、それに合った商品を推奨します。販売目標のために、顧客に合わない商品を勧めることは許されません。顧客の状況が変われば、推奨内容も見直します。

リスクや商品性の十分な説明

顧客が理解したうえで判断できるよう、商品の仕組み、元本割れの可能性、手数料などのコスト、流動性などを分かりやすく説明します。複雑な商品ほど丁寧な説明が必要です。良い面だけを強調し、リスクをあいまいにする説明は、誤解を招く表示にもつながります。

不実表示と断定的判断の提供の禁止

「絶対に値上がりします」「元本は保証されているのと同じです」といった断定的な表現や、事実と異なる説明、重要な事項の省略は禁じられます。見通しを示す場合は、それが予想であることを明確にします。

利益相反の回避と公平な取扱い

手数料を稼ぐ目的で必要以上に売買を繰り返させること(いわゆる回転売買)や、会社が売りたい商品を顧客の利益より優先して勧めることは、顧客の利益を損なう利益相反の典型です。また、顧客の取引を自己や会社の取引より優先し、特定の顧客だけを有利に扱わないことも求められます。顧客から得た情報の守秘も重要です。

整理しておきたいポイント

基準 営業業務での意味 典型的な違反例
適合性の確認 顧客の属性・目的に合う商品を勧める 元本重視の顧客に高リスク商品を集中販売
十分な説明 仕組み・リスク・手数料を理解できるよう説明 手数料や元本割れリスクを説明しない
不実表示・断定的判断の禁止 事実を正確に伝え、予想は予想として示す 「必ず儲かる」と勧誘する
利益相反の回避 顧客の利益を会社・自分の利益より優先 手数料目的の回転売買
守秘義務 顧客の情報を適切に管理する 顧客の取引内容を他の顧客に話す

具体例で確認

営業担当のGさんは、月末の販売目標に届かず焦っています。投資経験の少ない会社員Hさんに、仕組みの複雑な仕組債を「銀行預金より利回りが高く、ほぼ安全です」と説明し、Hさんが以前購入した投資信託を解約して乗り換えるよう勧めました。

  • 適合性:投資経験の少ないHさんに複雑な商品を勧めており、適合性の確認が不十分です。
  • 説明と表示:「ほぼ安全」は元本割れの可能性を軽く見せる断定的・誤解を招く表現で、手数料やリスクの説明も欠けています。
  • 利益相反:販売目標のための乗り換え勧誘は、顧客の利益より自分や会社の利益を優先している疑いがあります。
  • 適切な対応:Hさんの目的と知識を確認し、理解できる商品を選び、リスク・コスト・乗り換えの損得を丁寧に説明したうえでHさん自身に判断してもらいます。

試験で問われやすいポイント

  • 営業の事例では、適合性・説明・不実表示・利益相反のどれに問題があるかを特定させる形が典型です。
  • 「販売目標の達成」は顧客の利益より優先される理由にならない点を押さえましょう。
  • 予想を示すこと自体はよいが、断定的に伝えたりリスクを省略したりすることは問題になる、という区別が問われやすいです。
  • 回転売買や不要な乗り換え勧誘は、利益相反の観点から説明できるようにしておきます。
  • 2次の記述式では、問題点と理由、適切な行動をセットで書くことが大切です。職業倫理の足切りを意識して確実に得点しましょう。

要点まとめ

  • 営業業務では、まず顧客の適合性を確認して商品を勧める。
  • 仕組み・リスク・手数料を顧客が理解できるよう十分に説明する。
  • 不実表示や断定的判断の提供は禁止。予想は予想として示す。
  • 回転売買など、自分や会社の利益を顧客より優先する行為をしない。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。