因子分析とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 因子分析は、観測される多くの変数の背後に、少数の目に見えない共通因子があると考え、その構造を推定する手法です。
- 各変数は「共通因子 × 因子負荷 + その変数だけの独自因子」で表され、分散は共通性と独自分散に分かれます。
- 変数を合成して要約する主成分分析とは、モデルの向き(因子が変数を生み出す)が逆です。
この記事では、証券アナリスト2次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「因子分析の原理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (12) 多変量解析 |
| 協会の学習ポイント | 因子分析の原理について理解する。 |
因子分析とは
たとえば多数の銘柄のリターンが互いに相関しているのは、景気・金利・為替のような共通の要因が各銘柄に影響しているからだ、と考えることができます。因子分析は、このように観測できない少数の共通因子が複数の観測変数を生み出していると仮定し、その因子が各変数にどれだけ影響しているか(因子負荷)を推定する手法です。
標準化した変数 xi について、m個(m は変数の数 p より少ない)の共通因子 f1, …, fm を使って、xi = li1f1 + … + limfm + ei と表します。lij が因子負荷、ei はその変数だけに固有の独自因子です。通常、共通因子は平均0・分散1で互いに無相関、独自因子は共通因子とも他の独自因子とも無相関と仮定します。
共通性と独自分散
この仮定のもとで、変数 xi の分散(標準化なら1)は、共通因子で説明される部分 hi2 = Σ lij2(共通性)と、独自因子による部分 ψi(独自分散)に分かれます。また、異なる2変数の相関(共分散)は共通因子だけで生まれ、1因子モデルなら rij = li × lj となります。つまり因子分析は、変数間の相関構造を少数の因子で説明するモデルです。
主成分分析との違い
主成分分析は変数の重み付き和で合成変数を作り、全分散をできるだけ説明することを目指します。一方、因子分析は変数を「共通部分+独自部分」に分け、共通部分(相関)の説明を目指します。また因子分析では、因子を回転させても同じ相関構造を再現できる(回転の不定性)ため、解釈しやすいように因子軸を回転させることが一般的です。
押さえておきたい公式
具体例で確認
3つの標準化変数が1つの共通因子で説明され、因子負荷がそれぞれ 0.8、0.7、0.6 だとします。
- 共通性:0.82 = 0.64、0.72 = 0.49、0.62 = 0.36
- 独自分散:1 − 共通性 = 0.36、0.51、0.64
- モデルが示す相関:r12 = 0.8×0.7 = 0.56、r13 = 0.8×0.6 = 0.48、r23 = 0.7×0.6 = 0.42
変数1は変動の64%が共通因子で説明される一方、変数3は36%にとどまり、独自の要因の影響が大きいことがわかります。
| 観点 | 主成分分析 / 因子分析 |
|---|---|
| モデルの向き | 変数から合成変数を作る / 因子が変数を生み出す |
| 説明の対象 | 全分散 / 共通部分(相関構造) |
| 独自の要因 | 考えない / 独自因子を明示 |
| 解の一意性 | 固有ベクトルで決まる / 回転の不定性がある |
試験で問われやすいポイント
- 因子分析のモデル式と、共通因子・独自因子・因子負荷の意味。
- 共通性=因子負荷の2乗和、独自分散=1−共通性(標準化変数)の計算。
- 1因子モデルで変数間の相関が因子負荷の積になること(rij = lilj)。
- 主成分分析との違い(モデルの向き、説明対象、独自因子、回転の不定性)を問う正誤問題。
- 記述式では、両手法の違いや共通性の意味を文章で説明させる問題に備えましょう。
要点まとめ
- 因子分析は、観測変数の背後にある少数の共通因子を推定する手法です。
- 各変数の分散は共通性(因子負荷の2乗和)と独自分散に分かれます。
- 変数間の相関は共通因子によって生まれると考え、R=LL’+Ψで表します。
- 主成分分析とはモデルの向きと説明対象が異なり、因子には回転の不定性があります。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
