ひとことで言うと

  • 現物取引は、手元の資金で株式を買い、手元の株式を売るふつうの取引です。
  • 信用取引は、証券会社に担保(委託保証金)を差し入れ、お金を借りて株を買ったり(信用買い)、株を借りて売ったり(信用売り)する取引です。
  • 信用取引は手元資金の約3.3倍まで取引でき、値下がりでも利益を狙えますが、損失も大きく膨らみます。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「現物取引と信用取引」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/株式分析
大分類 (1) 資本市場の仕組みと株式投資
協会の学習ポイント 株式取引の基礎(現物取引、信用取引)を理解する。

現物取引と信用取引とは

現物取引

現物取引は、買うときは代金を全額支払い、売るときは自分が保有している株式を引き渡す取引です。損失は最大でも投資した金額までで、株式を保有している限り配当や株主優待、議決権などの株主の権利も得られます。値下がりしても売らずに持ち続けることができ、期限もありません。

信用取引の仕組み

信用取引では、投資家が証券会社に委託保証金(現金や、一定の掛け目で評価した株式など)を差し入れ、それを担保に証券会社から資金や株式を借りて売買します。

  • 信用買い(買い建て):証券会社からお金を借りて株を買います。後で株を売って借りたお金を返す(反対売買)か、代金を支払って株を引き取る(現引き)ことで決済します。借りたお金には金利がかかります。
  • 信用売り(売り建て、空売り):証券会社から株を借りて売ります。後で株を買い戻して返す(反対売買)か、手持ちの株を渡す(現渡し)ことで決済します。株を借りる費用(貸株料など)がかかります。

委託保証金は約定代金の30%以上が必要とされているため、手元資金の約3.3倍(1÷0.3)までの取引が可能になります。これをレバレッジ効果といいます。

制度信用取引と一般信用取引

信用取引には2種類あります。制度信用取引は、対象銘柄や返済期限(最長6か月)、品貸料などが取引所のルールで決められているものです。証券会社が資金や株式を調達するときは、証券金融会社との貸借取引が利用されます。一方、一般信用取引は、返済期限や金利などの条件を証券会社と投資家の間で決めるもので、制度信用の対象外の銘柄も扱えます。

追加保証金(追証)

株価が不利な方向に動いて評価損がふくらむと、委託保証金の実質的な価値が目減りします。保証金の維持率が一定水準(法令上は約定代金の20%。証券会社によってはより高い水準を設定)を下回ると、投資家は追加保証金(追証)を差し入れなければなりません。差し入れができなければ、ポジションは強制的に決済されることがあります。

押さえておきたい公式

委託保証金 ≧ 約定代金 × 30%最大の建玉(ポジション)の目安=委託保証金 ÷ 0.3(約3.3倍)
保証金維持率 =(委託保証金 − 評価損)÷ 建玉の約定代金この率が一定水準を下回ると追証が必要になる(手数料・金利などは考慮しない単純化した形)

具体例で確認

委託保証金100万円で、株価1,000円の株式を3,000株(約定代金300万円)信用買いしたとします。手数料や金利は無視して考えます。

  • 取引できる上限:100万円÷0.3≒333万円なので、300万円の信用買いは可能です。
  • 株価が10%上昇(1,100円):利益は30万円。保証金100万円に対して+30%のリターンです(現物で100万円分買っていれば+10%)。
  • 株価が10%下落(900円):損失は30万円で、保証金に対して−30%です。
  • 株価が20%下落(800円):評価損は60万円。維持率は(100−60)÷300≒13.3%となり、20%を下回るため追証が必要になります。

また、株価1,500円の株式を2,000株(300万円)信用売りし、1,200円で買い戻した場合は、(1,500−1,200)×2,000株=60万円の利益になります。値下がり局面でも利益を狙えるのが信用売りの特徴です。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「株式取引の基礎(現物取引・信用取引)を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 信用買いは「資金を借りて買う」、信用売りは「株を借りて売る」。借りるものの取り違えが狙われやすいです。
  • レバレッジは利益だけでなく損失も拡大させる点。「信用取引の損失は保証金の範囲内に限られる」といった記述は誤りになりやすいです。
  • 制度信用取引(取引所のルール、返済期限6か月)と一般信用取引(証券会社と投資家で条件を決定)の違いは混同しやすい論点です。
  • 決済方法(反対売買・現引き・現渡し)と、追証が発生する仕組みが問われやすいです。
  • 保証金の計算では、約定代金に対する比率で考える点に注意しましょう。

要点まとめ

  • 現物取引は自己資金で売買し、損失は投資額まで。
  • 信用取引は委託保証金を担保に資金や株を借りて売買する。
  • 保証金は約定代金の30%以上で、約3.3倍のレバレッジが効く。
  • 制度信用と一般信用の違い、追証の仕組みを押さえる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。