本源的価値と時間価値とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・デリバティブ分析
ひとことで言うと
- オプション価格(プレミアム)は、本源的価値と時間価値の2つに分けて考えます。
- 本源的価値は「いま権利を行使したら得られる価値」、時間価値は「満期までにもっと有利になるかもしれない可能性の価値」です。
- 時間価値は満期が近づくにつれて減っていき、満期日にはゼロになります。
この記事では、証券アナリスト1次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「本源的価値と時間価値」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/デリバティブ分析 |
|---|---|
| 大分類 | (3) オプション取引の仕組みと評価 |
| 協会の学習ポイント | オプションの本源的価値と時間価値について理解する。 |
本源的価値と時間価値とは
満期前のオプションは、満期時のペイオフよりも高い価格で取引されるのがふつうです。その理由を説明するのが、「本源的価値+時間価値」という分解です。
本源的価値
本源的価値は、仮にいま権利を行使したときに得られる金額です。コールならmax(S − K, 0)、プットならmax(K − S, 0)で、マイナスにはなりません。イン・ザ・マネー(ITM)のオプションだけが本源的価値を持ち、アット・ザ・マネー(ATM)やアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)の本源的価値はゼロです。
時間価値
時間価値は、オプション価格から本源的価値を差し引いた残りです。満期までの間に原資産価格が有利な方向へ動けば利益が得られ、不利な方向へ動いても損失はプレミアムまでに限られます。この「上振れは取れて下振れは限定される」という非対称性が、時間価値の源泉です。
時間価値の性質
時間価値は、満期までの期間が長いほど、原資産価格のボラティリティが大きいほど大きくなります。また、一般にATM付近で最大になり、深いITMや深いOTMでは小さくなります。満期が近づくと時間価値は減っていき(タイム・ディケイ)、満期日にはオプション価格は本源的価値に一致します。
なお、深いITMのヨーロピアン・プットのように、理論価格が本源的価値を下回る(時間価値がマイナスになる)ケースもあります。すぐに行使できないため、行使価格を受け取るのが満期まで遅れることによる金利分の不利があるからです。
押さえておきたい公式
具体例で確認
株価が1,050円のとき、行使価格1,000円のコールが80円、同じ行使価格のプットが20円で取引されているとします。
| オプション | 本源的価値 | 時間価値 |
|---|---|---|
| コール(価格80円・ITM) | 1,050 − 1,000 = 50円 | 80 − 50 = 30円 |
| プット(価格20円・OTM) | max(1,000 − 1,050, 0) = 0円 | 20 − 0 = 20円 |
OTMのプットは本源的価値がゼロなので、価格20円はすべて時間価値です。このまま株価が動かずに満期を迎えれば、コールは50円、プットは0円まで価値が下がります。
試験で問われやすいポイント
- 本源的価値と時間価値の計算(価格から本源的価値を引いて時間価値を求める)が基本問題として出ます。
- OTM・ATMのオプションの本源的価値はゼロで、価格はすべて時間価値である点を押さえましょう。
- 時間価値はATM付近で最大、満期までの期間が長いほど・ボラティリティが大きいほど大きい、という方向が問われます。
- 満期日には時間価値がゼロになり、価格=本源的価値になります。
- 深いITMのヨーロピアン・プットでは時間価値がマイナスになりうる点が、応用的な正誤問題で狙われます。
要点まとめ
- オプション価格=本源的価値+時間価値
- 本源的価値=いま行使した場合の価値(ITMのみプラス)
- 時間価値は期間・ボラティリティが大きいほど大きく、ATM付近で最大
- 満期に向けて時間価値は減少し、満期日にはゼロになる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
