ひとことで言うと

  • 負債は、過去の取引などの結果として、将来お金やサービスを引き渡さなければならない義務です。
  • 借入金や買掛金は原則として債務額で計上し、社債を額面と異なる金額で発行したときは償却原価法で帳簿価額を調整します。
  • 貸借対照表では、正常営業循環基準と1年基準で流動負債・固定負債に分けて表示します。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「負債の会計処理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (3) 企業会計の仕組み
協会の学習ポイント 負債の会計処理の要点を理解する。

負債の会計処理とは

ASBJの概念フレームワークでは、負債を「過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源を放棄もしくは引き渡す義務、またはその同等物」と定義しています。借入金・社債・買掛金のように契約で金額が決まっている確定債務のほか、将来の支出に備える引当金や、将来の有形固定資産の除去に関する資産除去債務なども負債に含まれます。

いつ計上するか

借入金はお金を借りたとき、買掛金は商品を受け取ったとき、というように、義務が生じた時点で計上します。未払費用のように、サービスは受けたが支払いが済んでいないものも、発生主義にもとづき期末に負債として計上します。

いくらで計上するか

金銭債務は原則として債務額(将来支払う約束の金額)で計上します。ただし社債を額面より低い(または高い)金額で発行し、その差額が金利の調整としての性格をもつ場合は、差額を償還期限までの期間にわたって少しずつ帳簿価額に加減し、利息費用として配分します。これが償却原価法で、原則は利息法、継続適用を条件に定額法も認められます。

表示と注記

負債は、仕入債務など営業取引から生じたものを流動負債とする正常営業循環基準と、それ以外は決算日の翌日から1年以内に支払期限が来るかで分ける1年基準によって、流動負債と固定負債に区分します。また、他社の借入に対する債務保証のように、現時点では負債として計上しない偶発債務は注記で開示されます。

押さえておきたい公式

毎期の償却額(定額法) = (額面金額 − 発行価額) ÷ 償還期間帳簿価額は毎期この額だけ増え、償還時に額面金額に一致する
社債利息(費用) = クーポン支払額 + 償却額

具体例で確認

B社は額面100億円、期間5年、クーポン年1%の社債を98億円で発行しました(定額法で償却原価法を適用)。

  • 毎期の償却額:(100 − 98)÷ 5 = 0.4億円
  • 1年目の社債利息:クーポン1億円 + 償却額0.4億円 = 1.4億円
  • 1年目末の社債の帳簿価額:98 + 0.4 = 98.4億円
  • 5年目末には帳簿価額が100億円となり、額面で償還します。

実際に払う利息は年1億円ですが、割り引いて発行した分も実質的な金利負担と考え、期間に配分して費用にしているわけです。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「負債と引当金の会計処理の要点を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 負債の定義(過去の事象の結果としての義務)と、確定債務・引当金・資産除去債務などの範囲。
  • 社債の発行差額を償却原価法で処理し、償却額が利息費用に含まれること。原則は利息法である点。
  • 流動・固定の区分基準(正常営業循環基準と1年基準)の適用順序。
  • 債務保証などの偶発債務は、原則として計上せず注記で開示する点。
  • 計算問題では、帳簿価額の推移と各期の利息費用を問われやすいです。

要点まとめ

  • 負債は将来経済的資源を引き渡す義務で、確定債務・引当金などを含む。
  • 金銭債務は債務額で計上し、社債の発行差額は償却原価法で配分する。
  • 流動・固定は正常営業循環基準と1年基準で区分する。
  • 偶発債務は注記で確認する。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。