ひとことで言うと

  • ASBJ(企業会計基準委員会)の討議資料「財務会計の概念フレームワーク」は、会計基準の土台となる基本的な考え方をまとめたものです。
  • 財務報告の目的を、投資家が企業の将来の成果を予測し、企業価値を評価するのに役立つ情報の開示と位置づけています。
  • 資産・負債・純資産・包括利益・純利益などを定義し、「投資のリスクからの解放」という考え方で純利益を重視しています。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「ASBJの概念フレームワーク」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (3) 企業会計の仕組み
協会の学習ポイント ASBJの「概念フレームワーク」を理解する。

ASBJの概念フレームワークとは

概念フレームワークは、個々の会計基準を作るときの前提となる考え方を体系的に整理したものです。それ自体は具体的な会計処理を定める会計基準ではなく、討議資料として公表されています。新しい取引が生じたときにどう考えるべきかの指針となり、基準同士の整合性を保つ役割があります。

財務報告の目的と会計情報の質的特性

財務報告の目的は、投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つよう、企業の財務状況を開示することとされています。そのための会計情報の基本的な特性は意思決定有用性であり、それを支える特性として意思決定との関連性信頼性が挙げられます。さらに、すべての特性の前提となる一般的制約として内的整合性比較可能性が示されています。

財務諸表の構成要素

概念フレームワークは、まず資産と負債を定義し、それとの関係で純資産や利益を定義します。一方で、純利益を独立した重要な指標として位置づけている点が特徴です。純利益は、投資のリスクから解放された(事業の成果として確定した)部分を示すものとされ、その他の包括利益のうちリスクから解放された部分は純利益に組み替えられます(リサイクリング)。こうして純利益と包括利益の両方が、資本取引を除いて純資産の変動とつながる関係(クリーン・サープラス関係)が保たれます。

整理しておきたいポイント

構成要素 概念フレームワークの考え方(要旨)
資産 過去の取引・事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源
負債 過去の取引・事象の結果として、経済的資源を放棄・引き渡す義務またはその同等物
純資産 資産と負債の差額
株主資本 純資産のうち、報告主体の所有者である株主に帰属する部分
包括利益 特定期間の純資産の変動額のうち、所有者との直接的な取引によらない部分
純利益 特定期間に生じた、リスクから解放された投資の成果で、所有者に帰属する部分

具体例で確認

G社は、ある期に本業などで当期純利益50を計上しました。また、保有するその他有価証券の時価が上がり、評価差額(税効果考慮後)が20生じました。

  • 評価差額20は、売却していないため投資のリスクから解放されておらず、純利益ではなくその他の包括利益になります。
  • 包括利益 = 50 + 20 = 70
  • 翌期にこの有価証券を売却して利益が確定すると、その部分は純利益に計上され、同額がその他の包括利益から取り除かれます(組替調整)。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「ASBJの「概念フレームワーク」を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 財務報告の目的が「投資家の意思決定に役立つ情報の開示」である点。
  • 質的特性の関係:意思決定有用性を、意思決定との関連性と信頼性が支え、内的整合性と比較可能性が一般的制約となる。
  • 資産・負債の定義と、純資産が差額として定義されること。
  • 純利益を「リスクから解放された投資の成果」とする考え方と、リサイクリング。
  • 概念フレームワークは会計基準ではなく討議資料である点。

要点まとめ

  • 概念フレームワークは会計基準の土台となる考え方を示す討議資料。
  • 目的は投資家の企業価値評価に役立つ情報の開示。
  • 意思決定有用性を関連性・信頼性などの特性が支える。
  • 純利益と包括利益を併存させ、純利益を重視する。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。