日本基準とIFRSの違いとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・財務分析
ひとことで言うと
- 日本基準は当期純利益を業績の中心に置き、その他の包括利益のリサイクリングを重視します。
- IFRSは資産・負債の定義と評価を出発点とし、包括利益を含む財政状態と業績の全体像を重視する傾向があります。
- のれんの償却の有無、開発費の資産計上、経常利益・特別損益の表示などに具体的な違いが表れます。
この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「日本基準とIFRSの基本的な違い」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅱ/財務分析 |
|---|---|
| 大分類 | (3) 企業会計の仕組み |
| 協会の学習ポイント | 日本基準とIFRSの基本的な違いを理解する。 |
日本基準とIFRSの基本的な違いとは
日本の上場企業は、日本基準のほか、要件を満たせばIFRS(国際財務報告基準)などを任意に適用できます。同じ業種でも採用する基準によって利益の数字が変わるため、比較する際には基準の違いを理解しておく必要があります。
考え方の違い
日本基準では、ASBJの概念フレームワークが示すように、投資のリスクから解放された成果である当期純利益を最も重要な業績指標と位置づけています。その他の包括利益に計上した評価差額も、売却などで実現したときには純利益に振り替える(リサイクリング)ことが基本です。
IFRSは、資産・負債の定義を中心に据える資産負債アプローチの性格が強く、公正価値による測定も広く取り入れています。包括利益を含めた全体を業績と捉え、一部の項目(たとえば、公正価値の変動をその他の包括利益で表示すると選択した資本性金融商品)は、売却してもリサイクリングしません。
規則主義と原則主義
日本基準は比較的詳細なルールや数値基準を設ける傾向があるのに対し、IFRSは原則主義で、細かな数値基準を少なくし、企業の判断と注記での説明を重視する傾向があります。
整理しておきたいポイント
| 論点 | 日本基準 | IFRS |
|---|---|---|
| 重視する利益 | 当期純利益 | 包括利益を含む全体 |
| のれん | 20年以内で規則的に償却+減損 | 償却せず、毎年の減損テスト |
| OCIのリサイクリング | 原則として行う | 項目によっては行わない |
| 開発費 | 発生時に費用処理 | 要件を満たせば無形資産に計上 |
| 損益計算書の表示 | 経常利益、特別損益の区分がある | 経常利益の区分はなく、異常項目の区分表示は禁止 |
| 減損損失の戻入れ | 行わない | のれん以外は一定の場合に戻し入れる |
具体例で確認
H社は他社を買収し、のれんを100億円計上しました。のれんの価値は毎年の減損テストでも下がっていないとします。
- 日本基準(20年で償却):毎年 100 ÷ 20 = 5億円ののれん償却額が費用となり、営業利益や純利益を押し下げます。
- IFRS:償却しないため、減損がなければ費用は発生しません。
買収の多い企業では、同じ実態でも日本基準の方が利益が小さく見えることがあります。一方、IFRSでは業績が悪化したときに多額の減損が一度に出ることもあります。基準をまたいで比較するときは、こうした違いを調整して考えることが大切です。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「日本基準とIFRSの基本的な違いを理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 日本基準は当期純利益重視、IFRSは資産・負債と包括利益重視という基本的な考え方の違い。
- のれん:日本基準は償却+減損、IFRSは非償却+減損テスト。
- リサイクリングの扱いの違い(IFRSには組み替えない項目がある)。
- IFRSには経常利益の概念がなく、特別損益のような異常項目の区分表示が禁止されている点。
- 開発費や減損の戻入れなど、個別の処理の違い。
要点まとめ
- 日本基準は当期純利益を中心に、リサイクリングを重視する。
- IFRSは資産負債アプローチと原則主義の性格が強い。
- のれん、開発費、表示区分、減損の戻入れなどで違いがある。
- 基準が異なる企業を比べるときは違いを調整して考える。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
