ひとことで言うと

  • 引当金は、将来の支出や損失のうち当期に原因があるものを、当期の費用として見積もって計上するしくみです。
  • 計上には4つの要件(将来の特定の費用・損失、当期以前の事象に起因、発生の可能性が高い、金額を合理的に見積もれる)をすべて満たす必要があります。
  • 貸倒引当金のような評価性引当金と、賞与引当金などの負債性引当金に分けられます。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「引当金」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (3) 企業会計の仕組み
協会の学習ポイント 引当金の会計処理の要点を理解する。

引当金とは

引当金は、発生主義と費用収益対応の考え方にもとづき、将来に現金が出ていく費用や損失であっても、その原因が当期にあるなら当期の費用として計上するための会計処理です。たとえば、当期に販売した製品について翌期以降に無償修理が見込まれる場合、その修理費用は当期の売上に対応する費用と考えられます。

計上の4要件

企業会計原則注解18では、次の4つの要件をすべて満たす場合に、当期の負担に属する金額を費用または損失として引当金に繰り入れるとしています。

  1. 将来の特定の費用または損失であること
  2. その発生が当期以前の事象に起因していること
  3. 発生の可能性が高いこと
  4. その金額を合理的に見積もることができること

発生の可能性が低い偶発的な損失は、引当金として計上せず、必要に応じて注記で開示します。

処理の流れ

期末に「○○引当金繰入額」を費用として計上し、相手勘定として引当金を計上します。翌期以降に実際に支出や損失が生じたときは、引当金を取り崩して充当します。見積りと実績の差額は、原則として会計上の見積りの変更として、差額が判明した期の損益で処理します。

IFRSとの違い

IFRSでは、引当金の計上に「過去の事象の結果としての現在の債務」が必要です。そのため、日本基準で見られる修繕引当金のように、外部に対する債務がない引当金は、IFRSでは原則として計上できません。

整理しておきたいポイント

区分 性格 主な例
評価性引当金 資産の価値を減らす(資産から控除して表示) 貸倒引当金
負債性引当金(債務性あり) 条件付きで支払義務がある負債 賞与引当金、製品保証引当金、退職給付引当金
負債性引当金(債務性なし) 法的義務はないが将来の支出に備える 修繕引当金、特別修繕引当金

具体例で確認

C社は当期に製品を1,000百万円販売しました。過去の実績から、売上高の2%程度の無償修理が翌期に発生すると見込まれます。

  • 当期末:製品保証引当金繰入額 1,000 × 2% = 20百万円を費用計上し、製品保証引当金20百万円を負債に計上します。
  • 翌期に実際の修理費15百万円を支払ったとき:引当金を15百万円取り崩して充当するため、翌期の損益には影響しません。
  • 残りの5百万円は、保証期間の終了などで不要になれば取り崩し(戻入れ)を行います。

引当金がなければ、当期は利益が大きく、翌期は修理費で利益が小さくなり、各期の業績が実態を正しく示さなくなります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「負債と引当金の会計処理の要点を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 引当金の4要件。特に「発生の可能性が高い」「合理的に見積もれる」を満たさないものは計上できない点。
  • 評価性引当金(貸倒引当金)と負債性引当金の区別、各例の分類。
  • 修繕引当金のような債務性のない引当金が日本基準では認められる一方、IFRSでは原則として認められない点。
  • 引当金は見積りにもとづくため、利益調整に使われうるという分析上の留意点。
  • 繰入れ(費用)と取崩し(充当)の処理の流れ。

要点まとめ

  • 引当金は当期に原因のある将来の費用・損失を当期に計上するしくみ。
  • 4要件をすべて満たすときに計上する。
  • 評価性引当金と負債性引当金に分かれる。
  • IFRSは現在の債務を要件とし、日本基準より計上範囲が狭い。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。