ひとことで言うと

  • 財務情報は、財務諸表などに金額で示される情報です。会計基準に沿って作られ、監査も受けるため比較しやすいのが特徴です。
  • 非財務情報は、経営戦略、事業リスク、ガバナンス、ESG(環境・社会・ガバナンス)など、主に文章や金額以外の指標で示される情報です。
  • 非財務情報は将来の業績を読み解くヒントになりますが、比較可能性や信頼性には注意が必要です。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅱ「財務分析」の学習ポイントのひとつ「財務情報と非財務情報」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (1) 証券アナリストと財務分析
協会の学習ポイント 財務情報と非財務情報の違い、分析に利用するときの留意点を理解する。

財務情報と非財務情報とは

企業を分析するとき、財務諸表の数字だけでは見えないことがたくさんあります。たとえば「なぜ利益が増えたのか」「今後も伸びるのか」「どのようなリスクを抱えているのか」といった問いに答えるには、数字以外の情報が欠かせません。これが非財務情報です。

財務情報の特徴

財務情報は、貸借対照表・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書などに示される金額情報です。会計基準というルールに沿って作成され、上場会社であれば公認会計士・監査法人の監査を受けます。そのため、企業間や期間の比較がしやすく、信頼性も高いといえます。ただし、過去の結果を示すものが中心で、ブランドや人材など数字に表れにくい価値は反映されにくいという限界があります。

非財務情報の特徴

非財務情報には、経営方針・経営戦略、経営者による業績の分析(MD&A)、事業等のリスク、コーポレート・ガバナンス、従業員や人的資本、気候変動への対応などのサステナビリティ情報が含まれます。有価証券報告書の「事業の状況」などの記述情報や、統合報告書などで開示されます。有価証券報告書にもサステナビリティに関する記載欄が設けられるなど、非財務情報の開示は拡充が進んでいます。

分析に利用するときの留意点

非財務情報は、将来の業績や企業価値に影響する要因を理解するのに役立つ一方、次のような点に注意が必要です。第一に、記載内容や指標の定義が企業ごとに異なり、比較可能性が低いことがあります。第二に、財務諸表ほど厳密な監査や保証を受けていないことが多く、信頼性の確認が必要です。第三に、企業が自社に有利な情報を強調する可能性があります。非財務情報は、財務情報の数字と結びつけて「その取り組みが将来の売上・利益・リスクにどう影響するか」という視点で読むことが大切です。

整理しておきたいポイント

比較の観点 財務情報 非財務情報
主な内容 資産・負債・利益・キャッシュ・フローなどの金額 戦略、リスク、ガバナンス、人的資本、環境対応など
作成ルール 会計基準に準拠 開示府令などで項目は定められるが記載の自由度が高い
比較可能性 高い 低くなりやすい
信頼性の担保 財務諸表監査 監査・保証の範囲は限定的なことが多い
時間軸 過去の実績が中心 将来の見通しや方針を含む

具体例で確認

同じ業界のE社とF社は、今期の営業利益率がともに8%でした。財務情報だけでは差が見えません。

そこで有価証券報告書の記述情報を読むと、E社は「主力製品の原材料を特定の1社から調達しており、供給が止まるリスクがある」と事業等のリスクに記載していました。一方F社は、調達先を分散していることに加え、温室効果ガス排出の削減目標と、そのための設備投資計画を示していました。

この情報から、アナリストは「E社は供給リスクが顕在化すると利益が大きく落ち込む可能性がある」「F社は今後設備投資が増え、減価償却費やフリー・キャッシュ・フローに影響が出そうだ」といった仮説を立て、将来の財務予測に反映させます。非財務情報は、このように数字の予測を補強する材料として使うのが基本です。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「財務情報と非財務情報の違い、分析に利用するときの留意点を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 財務情報と非財務情報の定義と具体例の区別(MD&A、事業等のリスク、ガバナンス、ESGなど)。
  • 財務情報は比較可能性・信頼性が高いが過去情報中心、という特徴。
  • 非財務情報の留意点(比較可能性が低い、保証が限定的、自社に有利な情報の強調)。
  • 非財務情報は将来の財務数値やリスクとの関連で読むべきという考え方。
  • 有価証券報告書の中で非財務情報が記載される主な箇所。

要点まとめ

  • 財務情報は会計基準にもとづく金額情報で、比較しやすく監査も受ける。
  • 非財務情報は戦略・リスク・ガバナンス・ESGなど数字以外の情報。
  • 非財務情報は将来予測に役立つが、比較可能性と信頼性に注意する。
  • 非財務情報は財務数値への影響と結びつけて読む。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。