ひとことで言うと

  • 連結の範囲とは、親会社がどの会社を子会社として連結財務諸表に含めるかという問題です。
  • 日本基準は、議決権の過半数という形式だけでなく、実質的に意思決定機関を支配しているかで判断する支配力基準を採用しています。
  • 子会社は原則としてすべて連結し、支配には至らないが重要な影響を与える関連会社には持分法を適用します。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「連結の範囲」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (8) 企業結合会計
協会の学習ポイント 企業連結の範囲についての考え方を理解する。

連結の範囲とは

連結財務諸表は、親会社と子会社からなる企業集団を一つの組織とみなして作成する財務諸表です。どの会社を子会社とするかによって、売上高や資産・負債の大きさが大きく変わるため、連結の範囲の決め方は重要です。

持株基準から支配力基準へ

かつては議決権の過半数を所有しているかどうかで子会社を判定する持株基準が中心でした。しかし、この方法では、議決権を50%以下に抑えることで実質的に支配している会社を連結から外し、損失や負債を隠すことができてしまいます。そこで現在の日本基準は、他の企業の意思決定機関(株主総会や取締役会など)を支配しているかで判定する支配力基準を採用しています。

子会社と判定される主なケース

  • 自己の計算で議決権の過半数を所有している場合
  • 議決権の40%以上50%以下を所有し、かつ一定の要件を満たす場合(緊密な者・同意している者と合わせて過半数、役員の過半数を派遣、重要な方針を決める契約がある、資金調達額の過半を融資している、など)
  • 議決権が40%未満でも、緊密な者・同意している者と合わせて過半数を持ち、上記のような要件を満たす場合

連結の範囲から除かれる場合

子会社は原則としてすべて連結します。ただし、支配が一時的であると認められる会社や、連結すると利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある会社は連結の範囲に含めません。また、資産・売上高などからみて重要性の乏しい小規模な子会社は、連結の範囲から除くことができます。

関連会社との違い

支配には至らないものの、財務や営業の方針決定に重要な影響を与えることができる会社は関連会社です。議決権の20%以上所有が目安で、関連会社には連結(全部連結)ではなく持分法を適用し、投資額を持分に応じて修正する形で取り込みます。

整理しておきたいポイント

区分 判定の考え方 会計処理
子会社 意思決定機関を支配(支配力基準) 連結(資産・負債・損益を全額合算)
関連会社 方針決定に重要な影響(影響力基準) 持分法(持分相当額を投資勘定で反映)
非連結子会社 子会社だが重要性が乏しいなど 原則として持分法を適用

具体例で確認

親会社P社が、次の3社の株式を保有しているとします。

  • A社:議決権の60%を所有 → 過半数を所有しているため子会社(連結)
  • B社:議決権の45%を所有し、B社の取締役の過半数をP社の役員・従業員が占めている → 40%以上で要件を満たすため子会社(連結)
  • C社:議決権の25%を所有し、役員を1名派遣しているが、支配はしていない → 関連会社(持分法)

B社のように議決権が50%以下でも子会社になり得る点が、支配力基準の特徴です。持株比率だけで判断すると、B社を連結から外してしまうことになります。

試験で問われやすいポイント

  • 日本基準は持株基準ではなく支配力基準を採用している点が基本です。
  • 「議決権が50%以下なら子会社にならない」といった記述は誤りです。40%以上50%以下で一定の要件を満たす場合などを押さえましょう。
  • 子会社は原則として全部連結、関連会社は持分法という処理の違いを区別しましょう。
  • 支配が一時的な会社などを連結から除く扱いや、重要性の乏しい子会社の扱いも確認しておきましょう。
  • 支配力基準が導入された理由(連結外しによる損失隠しの防止)も理解しておくと、説明問題に対応できます。

要点まとめ

  • 連結の範囲は、実質的な支配の有無で判断する支配力基準による。
  • 議決権の過半数所有のほか、40%以上でも一定の要件を満たせば子会社となる。
  • 子会社は原則すべて連結し、関連会社には持分法を適用する。
  • 支配が一時的な会社などは連結の範囲から除かれる。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。