結論:新卒の外務員試験は「研修と並行で受かる設計」にすれば、ほとんどの人が乗り越えられます。そして本当の勝負は、合格したあとの3年間の使い方です。
- 合格率は一種73.1%・二種68.1%(2025年度)。7割取れば合格で、満点は要らない
- 研修中は「毎日1時間+模擬試験2回」で十分に間に合う
- 落ちても約1か月後には受け直せる。1回の不合格でキャリアが決まることはない
- 配属後に「売れるけれど、説明しきれない」壁に当たる。そこで効くのが証券アナリスト(CMA)とCFA®
新卒の外務員試験は、こんな状況で受けることになる
4月に入社して、名刺をもらって、研修が始まる。社会人としてのマナー、商品の説明、コンプライアンス、システムの使い方。その合間に「○月○日までに外務員に合格すること」と言われ、分厚いテキストを渡される。金融機関の新入社員の多くが、同じ春を過ごしています。
このページを読んでいる方も、次のどれかに当てはまるのではないでしょうか。
- 内定者の課題としてテキストが届いたが、開くたびに「受渡日」「約定」「額面」と知らない言葉ばかりで手が止まる
- 日中は研修でへとへと。帰ってから勉強しようと思っても、気づけば寝落ちしている
- 同期が一斉に受けるので、自分だけ落ちたら目立つのが怖い
- 経済学部でも商学部でもない。文学部・理系出身で、周りについていけるか不安
- 「一種まで取っておいて」と言われたが、一種と二種の違いがよく分かっていない
先に安心材料をお伝えすると、外務員試験は7割取れば合格で、2025年度も受験者の7割前後が合格しています。金融の予備知識がゼロの新卒でも、やり方さえ間違えなければ届く試験です。一種と二種の違いは証券外務員とは?にまとめています。
新卒がまず押さえておきたい数字
| 項目 | 一種 | 二種 |
|---|---|---|
| 問題数・時間 | 100問・160分 | 70問・120分 |
| 合格ライン | 440点満点中308点(7割) | 300点満点中210点(7割) |
| 2025年度の合格率 | 73.1% | 68.1% |
| 不合格のとき | 受験日の翌日から30日を経過する日まで再受験できない | 同じ |
| 扱える商品 | 信用取引・デリバティブを含むすべて | 現物株式・債券・投資信託など |
新卒にとっていちばん大事なのは「不合格のとき」の行です。落ちると30日間は受け直せないため、研修期間の締め切りに間に合わなくなることがあります。1回で受かる準備をしてから試験日を入れるのが、結果的に一番の近道です。
研修と並行して1回で受かる進め方
研修中の新卒は、まとまった勉強時間が取れません。だからこそ「どこで点を取るか」を先に決めます。
1. 最初の3日で全体を1周する
いきなり1章から丁寧に読むと、金融商品取引法あたりで力尽きます。最初は分からなくていいので、外務員必携の章別まとめで全15章の結論ボックスだけを読み、「どんな話が出てくる試験なのか」の地図を頭に入れてください。
2. 配点の大きい五肢選択と計算から固める
○×は1問2点、五肢選択は1問10点です。株式・債券・投資信託の計算問題は、パターンが決まっているので練習した分だけ確実に点になります。文系出身で計算が苦手な人ほど、ここを先に片付けると気持ちが楽になります。
3. 平日は1日1時間、同期と問題を出し合う
研修後の1時間と、通勤や昼休みの細切れ時間で十分です。同期がいるのは新卒の特権で、「インサイダー取引の重要事実って何だっけ」と出し合うだけで記憶に残ります。一種4週間・二種3週間の具体的な日割りは勉強法とスケジュールにあります。
4. 試験の1週間前に模擬試験を2回解く
本番と同じ問題数・時間で解くと、時間配分とひっかけの傾向がつかめます。模擬試験は一種・二種とも3回分あるので、1回目で弱点を洗い出し、2回目で7割を超えるか確かめてから本番に臨んでください。
もし落ちてしまったら
合格率が7割ということは、3割の人は1回目で落ちています。同期の前で結果を言うのはつらいですが、外務員に一度落ちたことが、その後のキャリアで話題になることはまずありません。
- 30日の間に、模擬試験で間違えた分野だけをやり直す(全部をやり直す必要はない)
- 本番の画面で時間が足りなかったなら、計算問題を後回しにする順番を決めておく
- 上司や人事には早めに報告し、次の受験日を自分から伝える
「落ちた」ことより、「次にどう取り返したか」のほうが、配属先の上司はよく見ています。
合格して配属されたあとに来る「壁」
外務員に合格して登録を受けると、支店の営業や銀行の窓口で、実際にお客さまと向き合う日々が始まります。そして多くの新人が、1年目のどこかで同じ壁に当たります。
- 「この投資信託、何に投資しているの?」と聞かれて、パンフレットの言葉以上に説明できない
- 「なぜ今この銘柄なの?」への答えが、会社のレポートの受け売りになってしまう
- 先輩が決算書をさっと読んで話を組み立てているのを見て、自分との差を感じる
これは能力の問題ではありません。外務員資格は「金融商品を販売してよい」という入場券で、商品を分析して選ぶ力までは試験の範囲に入っていないからです。外務員で学んだ株式・債券・財務諸表は、その先を学ぶための入り口にすぎません。
新卒が描ける「外務員の次」のキャリア
その壁を越える手段として、多くの金融機関の若手が選んでいるのが、日本証券アナリスト協会の証券アナリスト(CMA)と、その国際版にあたるCFA®です。どちらも、企業分析・債券・デリバティブ・ポートフォリオ運用を体系的に学ぶ資格で、外務員で触れた内容をそのまま深掘りする形になります。
| 時期 | 資格の目安 | 仕事で起こること |
|---|---|---|
| 入社〜半年 | 外務員(二種→一種、または一種) | 研修を終え、支店・窓口に配属される |
| 1〜2年目 | 証券アナリスト1次 | お客さまに「なぜこの商品か」を自分の言葉で説明できるようになる |
| 3〜5年目 | 証券アナリスト2次、またはCFA® | 社内公募や異動で、運用・リサーチ・法人部門などを目指す材料になる |
新卒にとって、この順番には2つの利点があります。
1つ目は、時間があるのは今だけということです。結婚や子育て、管理職になると、夜や週末にまとまった勉強時間を取るのは一気に難しくなります。外務員の勉強で「毎日1時間」の習慣ができた今が、次の資格に取りかかるいちばん楽なタイミングです。
2つ目は、実務経験の要件が自然にたまることです。証券アナリスト(CMA)は、2次試験の合格に加えて3年以上の実務経験(証券投資の相談業務や資産運用、法人向けの投融資・与信審査など)があると協会の検定会員になれます。金融機関で働いていれば、業務内容によっては入社後の年数がそのまま要件の対象になります。CFA®もLevel Iは大学卒業(または卒業見込み)で受験でき、資格の認定には実務経験が必要です。
証券アナリスト(CMA)の1次試験の範囲や勉強の進め方は、姉妹サイトで解説しています。
証券アナリスト1次試験の概要
銀行・証券・保険・アセマネで働く人が、どんな理由でCFA®を選んでいるかはこちらです。
【金融機関×CFA】銀行・証券・保険・アセマネ勤務の方がCFA®試験に挑む理由
CMAとCFA®のどちらが自分に合うかは、次に目指す資格で比べています。まずは目の前の外務員に集中して、合格したらこのページを思い出してください。
異業種から金融機関に転職して受ける方は、異業種から金融に転職した人の証券外務員もあわせてどうぞ。
外務員資格が活きる仕事と、その先に広がる金融キャリアは、求人票の例とともに証券外務員資格が活きる仕事で紹介しています。
よくある質問
Q. 新卒は一種と二種のどちらから受けるべきですか?
A. 会社から指示があればそれに従ってください。指示がなければ一種をおすすめします。二種を持っていなくても一種を受けられ、一種なら信用取引・デリバティブまで扱えるので、配属先を選びません。
Q. 研修中でも本当に間に合いますか?
A. 平日1時間と週末の数時間で、一種なら4週間、二種なら3週間が目安です。配点の大きい五肢選択と計算問題から固め、試験の1週間前に模擬試験を2回解けば、7割の合格ラインに届きます。
Q. 外務員に落ちたら、配属や評価に影響しますか?
A. 扱いは会社によって違いますが、合格率は7割前後で、1回目で落ちる人も珍しくありません。受験日の翌日から30日を経過する日までは受け直せないので、その間に弱点だけをやり直し、次の受験日を早めに上司に伝えましょう。
Q. 外務員の次に取るなら、証券アナリストとCFA®のどちらがいいですか?
A. 国内の金融機関で日本語のまま専門性を示すなら証券アナリスト(CMA)、外資系や海外、運用会社を視野に入れるならCFA®が向いています。どちらも外務員で学んだ株式・債券・財務諸表の知識が土台になります。
参考(2026年9月20日確認):日本証券業協会「外務員資格試験」「よくある質問」、日本証券アナリスト協会「資格・教育体系」「CMA2次試験合格すると」、CFA Institute「CFA® Program Policies」。受験料・合格率・資格要件は変わることがあるため、受験前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。
