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投資信託②基準価額・分配金・目論見書・J-REIT|外務員試験の要点

投資信託② 販売・分配・REIT

結論:投資信託②は「基準価額の計算」「普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の区別」「目論見書・運用報告書の種類」「投資法人の機関と外部委託」が得点源です。

  • 基準価額=純資産総額÷受益権総口数。1口1円で始まる投信は1万口あたりで表示
  • 分配後の基準価額が個別元本を下回った部分は元本払戻金(特別分配金)=非課税。その分、個別元本が減る
  • 交付目論見書はあらかじめ又は同時に交付。請求目論見書は請求があれば直ちに交付
  • 投資法人は使用人を雇えない。資産の運用は資産運用会社、保管は資産保管会社に委託する義務がある
  • 監督役員は執行役員の数+1人以上。導管性要件は配当可能利益の90%超を分配すること

一種・二種の出題範囲

一種◯ 出題範囲二種◯ 出題範囲外務員必携 第3巻

この章は一種・二種で範囲が同じです。二種の方も記事全体が対象です。

▶ この章の解説動画

動画で要点を確認してから、下の本文で数字とひっかけを押さえましょう。ほかの章の動画は YouTube「証券外務員アカデミー」にまとめています。

外務員必携の章別記事の一覧は外務員必携の章別まとめにあります。投資信託の定義・種類・関係者は前編の投資信託①種類と仕組みを先に読んでおくと理解が早くなります。

投資信託の販売

投資信託の受益権の募集は、委託会社から委託を受けた販売会社(証券会社・銀行などの登録金融機関)が取り扱います。委託会社が自ら販売する「直接販売」もあります。

販売時の主なルール

  • 目論見書の交付:募集で取得させるときは、交付目論見書をあらかじめ又は同時に交付する(金融商品取引法15条2項)
  • 適合性の原則:顧客の知識・経験・財産の状況・投資目的に照らして不適当な勧誘をしない
  • 分配金の説明:分配金の一部または全部が元本の払戻しに当たる場合があることを、顧客にわかりやすく説明する
  • 乗換えの勧誘:投資信託の解約・売却と別の投信の購入をセットで勧めるときは、乗換えに関する重要な事項(手数料負担など)を説明する
  • 預金との誤認防止:銀行などで販売するときは、預金ではなく元本保証がないこと、預金保険の対象ではないことなどを説明する

商品タイプ別の購入・換金の方法

タイプ 購入 換金
単位型 募集期間中だけ購入できる(当初の募集価格) 約款で定める方法で解約。クローズド期間中は解約できないものもある
追加型株式投信 いつでも基準価額で購入。申込時点では約定する基準価額がわからない(ブラインド方式)。金額指定・口数指定がある 解約請求(信託財産の一部解約)または買取請求
追加型公社債投信(MRFなど) 1口1円。MRFは証券総合口座の資金の受け皿として自動的に購入される いつでも換金できる
ETF 取引所で市場価格で売買。指値・成行、信用取引が可能 取引所で売却する
外国投信 外国証券取引口座を通じて取引。協会の選別基準を満たすものに限る ファンドの定めに従い換金

追加型株式投信の購入・換金に適用される基準価額は、原則として申込日の基準価額です。ただし海外の資産に投資するファンドは、海外市場の終値を反映させるため翌営業日の基準価額を使うのが一般的です。

基準価額・決算・分配

基準価額

項目 内容
計算式 純資産総額÷受益権総口数
純資産総額 組み入れた株式・債券などを時価評価した資産総額から、負債(未払の信託報酬など)を差し引いた額
表示 1口1円で運用を始めた投信は1万口あたりの価額を公表
算出・公表 一般的な投信は1日に1つの価額を算出し、公表する
分配との関係 分配金を払うと、その分だけ純資産総額と基準価額は下がる

投資信託にかかるコスト

コスト いつ ポイント
購入時手数料 購入時 販売会社が受け取る。無料(ノーロード)もある
運用管理費用(信託報酬) 保有中(日々) 年率で定め、信託財産から間接的に差し引かれる。委託会社・受託会社・販売会社で配分
信託財産留保額 主に換金時 販売会社の収入ではなく、信託財産に留保される。残る受益者との公平のための費用。設定されていないファンドもある

例題1(解約代金) 基準価額が1万口あたり12,000円、信託財産留保額が0.3%の追加型株式投信を100万口解約します。解約価額と解約代金(税引前)を求めなさい。

解約価額(1万口あたり)=12,000×(1−0.003)=11,964円

解約代金=11,964×(1,000,000÷10,000)=11,964×100=1,196,400円

このあと、個別元本を上回る部分(譲渡益)に税金がかかります。

決算と分配:普通分配金と元本払戻金(特別分配金)

投資信託は決算ごとに、約款の方針に従って分配金を支払います(分配しないこともあります)。追加型株式投信の分配金は、受益者ごとの個別元本(買ったときの基準価額。購入時手数料は含まない)と、分配後の基準価額を比べて、2つに分かれます。

区分 どの部分か 課税 個別元本
普通分配金 分配金のうち、個別元本を上回る部分(運用で得た利益) 課税(配当所得、20.315%) 変わらない
元本払戻金(特別分配金) 分配後の基準価額が個別元本を下回る場合、その下回った部分 非課税 元本払戻金の分だけ減る

分配後の基準価額が個別元本以上なら、分配金は全額が普通分配金です。元本払戻金は「元本の一部が戻ってきただけ」なので利益ではなく、非課税になります。

例題2(分配金の内訳) 個別元本10,000円の受益者がいます。決算日の分配前の基準価額は10,300円で、1万口あたり500円の分配金が支払われました。普通分配金・元本払戻金と、分配後の個別元本を求めなさい。

分配後の基準価額=10,300−500=9,800円(個別元本10,000円を下回る)

元本払戻金(特別分配金)=10,000−9,800=200円(非課税)

普通分配金=500−200=300円(課税)

分配後の個別元本=10,000−200=9,800円

換金・償還

  • 解約請求:販売会社を通じて委託会社に信託契約の一部解約を請求する。解約価額は基準価額から信託財産留保額を差し引いた額
  • 買取請求:販売会社に受益権を買い取ってもらう方法。取扱いの有無は販売会社・ファンドによる
  • 償還:信託期間が終わると償還金が支払われる。純資産が小さくなった場合などに、約款の定めにより期間の途中で終了する繰上償還もある。信託期間を定めない無期限のファンドもある

投資信託の課税

種類 分配金 解約・償還・売却の差益
公募株式投資信託 普通分配金は配当所得、20.315%。元本払戻金は非課税 譲渡所得等として申告分離課税、20.315%
公社債投資信託(公募) 利子所得、20.315% 譲渡所得等として申告分離課税、20.315%
ETF・J-REIT 配当所得、20.315% 上場株式と同様に譲渡所得等

20.315%は所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%の合計です。2016年から公社債投信も上場株式等と同じグループになり、損益通算や特定口座の対象になっています。NISAや損益通算の詳細は証券税制①所得税とNISAで扱います。

ディスクロージャー:目論見書と運用報告書

目論見書

種類 中身 交付のルール
交付目論見書(投資信託説明書) ファンドの目的・特色、投資リスク、運用実績、手続・手数料など投資判断に重要な情報 取得させる前にあらかじめ又は同時に交付する義務
請求目論見書 ファンドの沿革、経理状況など詳しい情報 投資家から請求があったときに直ちに交付する。交付目論見書に請求できる旨を記載

交付目論見書は、同じ銘柄をすでに持っていて交付不要に同意した人や、同居者がすでに受け取っている人など、一定の場合には交付しなくてよいとされています。

運用報告書

種類 中身 提供の方法
交付運用報告書 運用報告書に記載すべき事項のうち重要なもの(運用経過、今後の方針、費用など) 知れている受益者に提供
運用報告書(全体版) 運用状況の全体 約款の定めにより、ウェブサイトへの掲載など電磁的方法で提供できる。受益者から求められれば交付

運用報告書を作るのは委託会社で、計算期間の末日ごとに作成します。2023年の法改正(2025年施行)で、投信法14条は運用報告書の「交付」義務から、電磁的方法を含む「情報の提供」義務に改められました。また委託会社は、提供した情報を遅滞なく内閣総理大臣に届け出ます。

投資法人(J-REIT)

投資法人は、投資を目的として設立される社団(法人)で、会社型投資信託にあたります。代表的なものが、不動産に投資して賃料収入などを分配するJ-REIT(不動産投資法人)です。

設立と登録

項目 内容 根拠
設立企画人 規約を作成し、全員が署名・記名押印する。少なくとも1人は、投資対象と同種の資産を運用する金融商品取引業者など 投信法66条
規約 投資主の請求により投資口の払戻しをするかどうか、最低純資産額などを定める 投信法67条
最低純資産額 5,000万円以上(政令で定める額) 投信法67条4項
登録 内閣総理大臣の登録を受けなければ、資産の運用を行えない 投信法187条
能力の制限 資産の運用以外の行為を営業としてできない。本店以外の営業所を設けたり、使用人を雇用したりできない 投信法63条

投資法人の機関

機関 員数・役割
投資主総会 投資主(投資家)で構成する最高意思決定機関。規約で定めれば、出席せず議決権も行使しない投資主を議案に賛成したものとみなす(みなし賛成)ことができる
執行役員 1人又は2人以上。投資法人の業務を執行し、投資法人を代表する
監督役員 執行役員の員数に1を加えた数以上。執行役員の職務の執行を監督する
役員会 執行役員と監督役員で構成。重要な業務執行の承認などを行う
会計監査人 計算書類などを監査する

執行役員が1人なら監督役員は2人以上、執行役員が2人なら3人以上必要です。会社法の取締役会・監査役と取り違えないようにしましょう。株式会社の機関は株式会社法概論②で比較できます。

外部への業務委託

投資法人は使用人を雇えないため、実際の業務はすべて外部に委託します。

委託先 委託する業務 ポイント
資産運用会社 資産の運用 登録投資法人は委託しなければならない(198条)。委託契約は原則として投資主総会の承認が必要
資産保管会社 資産の保管 委託義務あり(208条)。信託会社等や、有価証券等管理業務を行う金融商品取引業者など
一般事務受託者 投資口の募集、名簿管理、機関の運営、計算・会計など 資産の運用・保管以外の事務を担う

クローズドエンド型と販売・換金

J-REITは、規約で投資主の請求による投資口の払戻しをしないと定めたクローズドエンド型です。投資家は払戻しを求められない代わりに、投資口が金融商品取引所に上場されているため、市場で売却して換金します。上場後の投資口は上場株式と同じように売買でき、指値・成行注文や信用取引も可能です。投資法人は資金調達のために新たな投資口の発行や投資法人債の発行もできます。上場の基準は取引所定款・諸規則①上場制度を参照してください。

分配と導管性要件

投資法人は法人なので本来は法人税がかかりますが、一定の要件を満たせば、投資主に支払った分配金を損金に算入でき、実質的に法人税がかからなくなります。これを導管性要件といいます。

項目 内容
主な要件 その事業年度の配当等の額が、配当可能利益の額の90%を超えること(租税特別措置法67条の15)
効果 支払配当を損金に算入できる(法人税の二重課税を避ける)
投資主の課税 分配金は配当所得(20.315%)。上場株式の配当と違い、配当控除は適用されない

「90%以上」ではなく「90%超」です。数字の後ろの「超」と「以上」の入れ替えに注意してください。

試験に出るひっかけ(○×問題)

問1. 分配後の基準価額が個別元本を下回った場合、その下回った部分の分配金は元本払戻金(特別分配金)として非課税となる。

答え:○ 元本払戻金の分だけ個別元本は減額されます。

問2. 信託財産留保額は、換金時に販売会社が手数料として受け取るものである。

答え:× 信託財産に留保され、ファンドに残る受益者のために使われます。販売会社の収入ではありません。

問3. 請求目論見書は、投資家から請求があった場合に直ちに交付しなければならない。

答え:○ 交付目論見書はあらかじめ又は同時に交付、請求目論見書は請求があれば直ちに交付です。

問4. 投資法人は、資産の運用に関する業務を行わせるため、使用人を雇用することができる。

答え:× 投資法人は使用人を雇用できません。資産の運用は資産運用会社に委託しなければなりません。

問5. 投資法人の監督役員の員数は、執行役員の員数以上であればよい。

答え:× 執行役員の員数に1を加えた数以上が必要です。

問6. 投資法人が導管性要件を満たすには、配当可能利益の額の90%以上を分配すればよい。

答え:× 90%を「超える」分配が必要です。

問7. J-REITはクローズドエンド型であり、投資家は投資口の払戻しを請求できないため、取引所で売却して換金する。

答え:○ 規約で払戻しをしない旨を定め、上場によって換金性を確保しています。

問8. 基準価額は、純資産総額を受益権総口数で割って求める。

答え:○ 1口1円で始まる投信は1万口あたりで表示します。

この章の論点は外務員試験の模擬試験(一種・二種 各3回分・全問解答解説つき)でも出題しています。要点を読んだら、本番形式の問題で理解を確かめてください。

外務員の次に取る資格

分配金の仕組みやREITの収益構造を正しく説明できることは、投資信託を扱う外務員の基本です。その先で、ファンドの評価やポートフォリオの組み方まで説明できるようになりたい人には、証券アナリスト(CMA)やCFA®の学習が役立ちます。

販売会社や運用会社で働く人が、外務員の次に取っている資格はこちらで紹介しています。
【金融機関×CFA】銀行・証券・保険・アセマネ勤務の方がCFA®試験に挑む理由

よくある質問

Q. 普通分配金と元本払戻金(特別分配金)はどう区別しますか?

A. 分配後の基準価額と個別元本を比べます。分配後の基準価額が個別元本以上なら全額が普通分配金です。個別元本を下回る場合、その下回った部分が元本払戻金(非課税)で、残りが普通分配金(課税)です。元本払戻金の分だけ個別元本は減ります。

Q. 交付目論見書と請求目論見書の違いは何ですか?

A. 交付目論見書は投資判断に重要な情報をまとめたもので、取得させる前にあらかじめ又は同時に交付します。請求目論見書はより詳しい情報を載せたもので、投資家から請求があったときに直ちに交付します。

Q. 投資法人にはどのような機関がありますか?

A. 投資主総会、執行役員(1人又は2人以上)、監督役員(執行役員の員数に1を加えた数以上)、役員会、会計監査人を置かなければなりません。

Q. J-REITに法人税がかからないのはなぜですか?

A. 配当可能利益の額の90%を超えて分配するなどの導管性要件を満たすと、支払った分配金を損金に算入できるためです。投資主が受け取る分配金は配当所得として課税されますが、配当控除は適用されません。

参考(2026年9月確認):e-Gov法令検索「投資信託及び投資法人に関する法律」第14条・第63条・第66条・第67条・第93条・第95条・第187条・第198条・第208条、「金融商品取引法」第15条、「租税特別措置法」第67条の15、資産運用業協会(旧投資信託協会)「基準価額と分配金」「投資信託のコスト」「投資信託の税金」、金融庁「金融商品取引契約に係る顧客交付書面のデジタル化について」。例題の数値は学習用に作成したものです。税制・制度は改正されることがあるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。