【CFA®︎ L3 Private Markets Pathway LM1】Private Investments and Structures を要点解説|プライベート市場の特徴・投資手法とストラクチャー・DPI/RVPI/TVPI

Learning Module 1「Private Investments and Structures(プライベート投資とストラクチャー)」は、パブリック投資とプライベート投資の違い、直接投資やリミテッド・パートナーシップなどの投資手法とストラクチャー、DPI・RVPI・TVPIといったプライベート特有のパフォーマンス指標、そして戦略的資産配分におけるプライベート市場のリスクとリターンを扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM1のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM1には4つのLOSがあります。
- LOS 1:プライベート投資とパブリック投資の特徴を対比し、プライベート市場とパブリック市場の特性を論じるcontrast the features of private and public investments, and discuss characteristics of private and public markets
- LOS 2:プライベート投資の手法とストラクチャー、およびそれらの用途を論じるdiscuss private investment methods and structures and their uses
- LOS 3:パブリック市場とプライベート市場のパフォーマンスの違いを論じ、払込資本に対する分配額(DPI)、払込資本に対する残存価値(RVPI)、払込資本に対する総価値(TVPI)を含むパフォーマンス指標を計算・解釈し、その使い方を論じるdiscuss the difference between public and private market performance, and calculate, interpret, and discuss the use of performance metrics including distributed to paid-in, residual value to paid-in, and total value to paid-in
- LOS 4:戦略的資産配分の一部として、プライベート市場とパブリック市場に投資する場合のリスクとリターンを比較するcompare the risk and return of investing in private markets and public markets as part of a strategic asset allocation
LM1のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- パブリック投資は成熟した発行体の債券・株式に対する非支配的なポジションが中心。プライベート投資は企業のライフサイクル全体にわたる支配的持分や大きな少数持分、プライベート不動産・インフラまで含む
- パブリック市場は随時売買できるのに対し、プライベート市場は流動性が低く、取引は相対交渉で行われる
- プライベート投資の手法には、十分な専門性を持つ大規模投資家による直接投資と、クローズドエンド型のリミテッド・パートナーシップなどを通じた間接投資がある
- プライベートのストラクチャーは、バイアウト用の買収会社や、不動産・インフラの特別目的事業体など、用途ごとに組成・調整される
- パブリック市場は観測価格にもとづく期間リターンで評価するが、プライベート市場は流動性の低さ、不規則なキャッシュフロー、長い投資期間のため、IRRやリターン倍率など保有期間全体の複利ベースの指標で評価する
- リターン倍率は、投資家の払込資本に対する実現リターンと未実現リターンの割合を示す
- プライベート市場の高い期待リターンと分散効果は、長く流動性の低い不確実な投資サイクルと、企業のライフサイクルや資産タイプにまたがる広い投資機会に由来する
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:パブリック投資とプライベート投資の特徴
パブリック投資は取引所などで日常的に売買される上場証券で、価格が観測でき流動性も高いのが特徴です。一方、プライベート投資は非上場で、価格は交渉・推計にもとづき、支配的な持分を長期保有して価値創造を図る点が異なります。
- 資産価格:パブリックは取引・観測可能、プライベートは交渉・推計
- 流動性:パブリックはほぼ自由に売買、プライベートは売却禁止・制限あり
- 投資プロセス:パブリックはオープンエンドで銘柄選択、プライベートはクローズドエンドでデュー・デリジェンス→価値創造→エグジット
- 運用者のスキル:プライベートは経営・技術面の経験や法務・財務分析が重要
- オルタナティブ投資とプライベート投資は同義ではない(上場REITやヘッジファンドのように公開証券を使うオルタナティブもある)
LOS 2:プライベート投資の手法とストラクチャー
投資手法には、投資家が自ら案件に投資する直接投資、ファンドと並走する共同投資(co-investment)、ファンドを通じた間接投資があります。代表的な器はGP(無限責任組合員)とLP(有限責任組合員)から成るクローズドエンド型のリミテッド・パートナーシップで、案件ごとに買収会社や特別目的事業体(SPE)などが組成されます。
- 直接投資:最大級で専門性のある投資家向け、コントロールと手数料面で有利だが体制負担が大きい
- 共同投資:ファンドの案件にLPが追加出資、手数料を抑えつつ個別案件に厚く投資
- ファンド投資(LP出資):GPに運用を委ね、分散と専門性を得る。ファンド・オブ・ファンズはさらに分散するが手数料が二重
- ストラクチャー例:バイアウトの買収会社、不動産・インフラの特別目的事業体
- 資金はコミットメント(出資約束)→キャピタル・コールで払込→分配という流れ
LOS 3:パフォーマンス指標(DPI・RVPI・TVPI)
プライベート・ファンドは期間ごとの観測価格がないため、IRRと払込資本に対する倍率で成果を測ります。DPIは実現済みの分配、RVPIは未実現の残存価値(NAV)、両者の合計がTVPIです。
- DPI=累積分配額÷払込資本(実現リターン、キャッシュで戻った割合)
- RVPI=残存価値(NAV)÷払込資本(未実現部分)
- TVPI=DPI+RVPI(総価値の倍率)
- 倍率は投資期間の長さ(時間価値)を反映しないため、IRRと併用
- ファンド初期はDPIが低くRVPIの比重が大きい。時間とともにDPIへ移行
- NAVは推計値のため、RVPIには評価の不確実性が伴う
LOS 4:戦略的資産配分におけるリスクとリターン
プライベート市場は流動性の低さに対するプレミアムや価値創造による高い期待リターン、企業のライフサイクルや資産タイプの広さによる分散効果が期待されます。ただし評価額は推計ベースで平滑化されやすく、見かけのボラティリティや相関が過小に表れる点に注意が必要です。
- 高リターンの源泉:長期・低流動性・高い不確実性、広い投資機会
- 分散効果:観測リターンの相関ではなく、ライフサイクルの段階や資産タイプの違いにもとづく
- 評価の平滑化により、リスク・相関が過小評価されやすい
- 資金のコール・分配のタイミングが不確実(Jカーブ、未払込コミットメントの管理)
- 手数料・流動性リスク・運用者間のリターン格差の大きさも考慮
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