CFA®︎ Level 2「Corporate Finance(コーポレート・ファイナンス)」で使われる重要用語を、学習単元(Learning Module)ごとに英語・日本語訳・意味の3点セットで整理しました。全4単元・39語を収録しています。英語の協会テキストを読むときの辞書代わりにお使いください。
単元(LM)一覧
Corporate Finance の重要用語(LM別)
LM1 Analysis of Dividends and Share Repurchases(配当と自社株買いの分析)
Special Dividend
特別配当
業績が好調な時期などに、通常配当とは別に一時的に支払う配当。継続的な支払いを約束しない点で通常配当と異なる。
Stock Dividend
株式配当
現金の代わりに新株を既存株主に持株数に応じて交付するもの。株式数と株価が比例して変わるだけで、株主の富や財務比率は変わらない。
Dividend Irrelevance Theory
配当無関連命題(MM理論)
税や取引コストのない完全市場では、株主が保有株の売却で自家製配当を作れるため、配当政策は企業価値に影響しないとする理論。
Bird-in-the-Hand Argument
手中の鳥理論
確実な配当を不確実な将来の値上がり益より高く評価するとし、配当の増加が株主の要求収益率を下げて株価を高めるとする考え方。
Dividend Signaling
配当のシグナリング効果
情報を多く持つ経営者の配当変更が、将来の見通しを示す情報として受け取られること。増配は正、減配は負のシグナルとなりやすい。
Imputation Tax System
インピュテーション方式
法人段階で課された税額を株主の配当課税から控除できる税制。配当に回った利益の実効税率は株主の限界税率に等しくなる。
Target Payout Adjustment Model
目標配当性向調整モデル
予想利益に目標配当性向を掛けた水準に向けて、前期の配当を調整係数の割合だけ段階的に近づけて配当を決めるモデル。安定配当政策を表す。
Constant Dividend Payout Ratio Policy
一定配当性向政策
毎期の利益に一定の配当性向を掛けて配当額を決める方針。配当が利益に連動するため、安定配当政策より配当の変動が大きい。
Dutch Auction
ダッチ・オークション
企業が買付価格の範囲を示して株主から売却希望価格を募り、目標株数を取得できる最も低い価格で一律に買い付ける自社株買いの方法。
FCFE Coverage Ratio
FCFEカバレッジ・レシオ
FCFEを配当と自社株買いの合計で割った比率。株主還元を事業が生む現金でどれだけ賄えるかを示し、1を下回ると賄えていない。
LM2 Environmental, Social, and Governance (ESG) Considerations in Investment Analysis(投資分析におけるESGの考慮)
Concentrated Ownership
集中型所有
少数の株主や株主グループが株式の多くを保有し、経営を支配できる所有構造。支配株主は過半数株主の場合も少数株主の場合もある。
Principal–Principal Problem
プリンシパル・プリンシパル問題
集中型所有のもとで、支配株主と少数株主の間に生じる利害対立。分散型所有で中心となる株主と経営者の対立とは区別される。
Vertical (Pyramid) Ownership
垂直的(ピラミッド型)所有
企業や株主グループが、ある会社を通じて別の会社を支配する多層的な所有構造。少ない出資で多くの会社を支配でき、支配関係を複雑にする。
Horizontal Ownership
水平的所有(株式持ち合い)
企業どうしが相互に株式を保有し合う所有構造。事業上の関係を強める一方、経営の規律を弱め支配関係を見えにくくすることがある。
Dual-Class Shares
複数種類株式(デュアル・クラス株式)
議決権の数が異なる複数の種類の株式を発行する構造。少ない出資比率で支配株主が議決権の過半を握ることを可能にする。
Two-Tier Board
二層制取締役会
非業務執行者で構成する監督役会と、経営者で構成する執行役会を分けた取締役会の構造。両者を1つの取締役会に置くのが一層制である。
CEO Duality
CEOデュアリティ
CEOが取締役会の議長を兼ねること。経営を監督する立場と執行する立場が重なるため、取締役会の監督機能が弱まる懸念がある。
Materiality (ESG)
マテリアリティ(ESGの重要性)
企業の事業運営、財務業績、証券の評価に影響すると見込まれるESG上の問題。環境・社会の論点は業種によって大きく異なる。
ESG Integration
ESG統合
ESG要因を財務分析や評価の過程に組み込むこと。株式分析では機会の発見とリスク低減の両面、債券分析では主に下方リスクの評価に用いる。
LM3 Cost of Capital: Advanced Topics(資本コスト:発展的トピック)
Weighted Average Cost of Capital (WACC)
加重平均資本コスト(WACC)
負債・優先株・普通株の各資本コストを、目標資本構成の比率で加重平均した値。負債コストは税引後で用い、投資判断や企業評価の割引率となる。
Synthetic Credit Rating
合成格付け
格付けのない企業について、財務比率などから推定した格付け。同格付けの債券利回りを用いて負債コストを推定する際に使う。
Equity Risk Premium (ERP)
株式リスク・プレミアム(ERP)
株式市場全体の期待リターンがリスクフリー・レートを上回る部分。過去データによる方法と、将来予想に基づく方法で推定する。
Survivorship Bias
生存者バイアス
存続している企業や市場のデータだけを用いることで生じる偏り。過去データに基づく株式リスク・プレミアムを過大に推定させる要因となる。
Build-Up Approach
ビルドアップ法
リスクフリー・レートに株式リスク・プレミアム、規模プレミアム、企業固有のリスク・プレミアムなどを積み上げて株主資本コストを推定する方法。
Bond Yield Plus Risk Premium Approach
債券利回り+リスク・プレミアム法
自社が発行する債券の利回りに、株式が負債より高いリスクを負う分のプレミアムを上乗せして株主資本コストを推定する方法。
Size Premium
規模プレミアム
小規模な企業の株式に対して追加的に求められる収益率。非上場企業や小型企業の株主資本コストを推定する際に加算する。
Specific-Company Risk Premium
企業固有のリスク・プレミアム
特定の企業に固有のリスクを反映して株主資本コストに上乗せするプレミアム。非上場企業の評価で、比較企業では捉えきれないリスクを反映する。
Asset Beta (Unlevered Beta)
資産ベータ(アンレバード・ベータ)
財務レバレッジの影響を除いた、事業リスクだけを反映するベータ。比較企業の株式ベータから求め、対象企業の資本構成でリレバーして使う。
Country Risk Premium (CRP)
カントリー・リスク・プレミアム
新興国などへの投資に伴う追加的なリスクを反映して、株式の要求収益率に上乗せするプレミアム。国債の利回りスプレッドなどから推定する。
LM4 Corporate Restructuring(企業再編)
Synergy
シナジー
統合によって、個々の企業の価値の合計を上回る価値が生まれること。売上の増加による売上シナジーと、費用の削減によるコスト・シナジーがある。
Divestiture
事業売却
事業や資産を他社に売却して対価を受け取る再編行動。経営資源の集中、成長性や収益性の向上、リスク低減を目的とし、税負担が生じ得る。
Spin-Off
スピンオフ
子会社の株式を既存株主に分配して独立した企業とする再編。現金の受取りは生じず、株主は両社の株式を保有することになる。
Comparable Company Analysis
比較会社分析
類似する上場企業のEV/EBITDAやP/Eなどの倍率を対象企業の指標に当てはめて価値を推定する方法。支配権プレミアムは含まない。
Comparable Transaction Analysis
比較取引分析
過去の類似したM&A取引で成立した倍率を用いて対象企業の価値を推定する方法。取引倍率には支配権プレミアムが含まれる。
Premiums Paid Analysis
プレミアム分析
過去の類似した買収で、公表前の株価に対して支払われたプレミアムの水準を参考に、対象企業の買収価格を推定する方法。
Pro Forma Financial Statements
プロフォーマ財務諸表
再編が実行されたと仮定して作成する見積りの財務諸表。再編がEPS、レバレッジ、WACCなどに与える影響を推定するために用いる。
Accretive / Dilutive Transaction
アクリーティブ/ダイリューティブな取引
買収などの再編の結果、取得企業のEPSが増加する取引をアクリーティブ、減少する取引をダイリューティブと呼ぶ。
Conglomerate Discount
コングロマリット・ディスカウント
多角化した企業の市場価値が、各事業を個別に評価した価値の合計(SOTP)を下回ること。スピンオフや事業売却の動機となる。
Sale-Leaseback
セール・アンド・リースバック
保有する資産を売却し、同じ資産を買い手から賃借して使い続ける取引。資産保有を見直すバランスシート再編の手法の一つである。
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