CFA®︎ Level 1「Ethical and Professional Standards(倫理・職業行為基準)」で使われる重要用語を、学習単元(Learning Module)ごとに英語・日本語訳・意味の3点セットで整理しました。全10単元・72語を収録しています。英語の協会テキストを読むときの辞書代わりにお使いください。
単元(LM)一覧
Ethics の重要用語(LM別)
LM1 Ethics and Trust in the Investment Profession(投資業界における倫理と信頼)
Ethics
倫理
何が良い行動・正しい選択かを考える学問であり、行動の指針となる道徳原則と行為規範の集合。個人の価値観に加え、集団が共有する行動基準も含む。
Standards of Conduct
行為基準
倫理規範が掲げる原則を、具体的な行動の最低水準として示したもの。原則を実務で守るべき行為に落とし込む役割を持つ。
Profession
プロフェッション(専門職)
特定の教育・専門知識・行動の枠組みを備え、社会から信頼と承認を得ている職業集団。高い倫理基準を会員に求める点で同業組合や業界団体と異なる。
Situational Influences
状況的影響
金銭・地位・名声や、雇用主・同僚への忠誠など、判断を外から左右する要因。影響の強さが過小評価されやすく、倫理的な判断を覆い隠す原因となる。
Overconfidence Bias
過信バイアス
自分は倫理的に行動できると過大に評価する傾向。自らの道徳性への過信は、状況的影響への警戒を弱め、倫理的でない選択につながり得る。
Legal Standards
法的基準
法令によって特定の行為を要求・禁止するルール・ベースの基準。新しい商品や状況への対応が遅れがちで、法令順守は倫理的行動の最低限にとどまる。
Ethical Decision-Making Framework
倫理的意思決定フレームワーク
Identify・Consider・Decide and act・Reflectの流れで判断を多面的に検討する枠組み。重要な論点の見落としや意図しない結果を抑える目的で用いる。
LM2 Code of Ethics and Standards of Professional Conduct(倫理規範と職業行為基準)
Code of Ethics
倫理規範
CFA協会の会員・受験者が目指すべき行動原則を6項目で示したもの。誠実な行動、顧客利益の優先、独立した判断、資本市場の健全性などを掲げる。
Standards of Professional Conduct
職業行為基準
倫理規範を具体化した7つの基準(I〜VII)と下位項目からなる行動の最低水準。会員・受験者の区別なく適用される。
Professional Conduct Program (PCP)
職業行為プログラム
倫理規範と職業行為基準を執行するCFA協会の仕組み。協会の定款と職業行為手続規則に基づき、職業行為スタッフが違反の疑いを調査する。
Disciplinary Review Committee (DRC)
懲戒審査委員会
職業行為プログラムの運営を監督するCFA協会の委員会。職業行為スタッフによる調査と処分判断の枠組みを統括する。
Professional Conduct Statement
職業行為声明
会員・受験者が倫理規範と職業行為基準の順守を毎年確認する申告書。懲戒歴や係争の有無などの自己申告は、調査の端緒の一つとなる。
Cautionary Letter
注意書
調査の結果、懲戒処分までは要しないと判断された場合に職業行為スタッフが発行する書面。処分なしと懲戒手続の継続の中間に位置する対応である。
Hearing Panel
審問パネル
職業行為スタッフが提案した処分案を当事者が受け入れない場合に、違反の有無と処分内容を審理・決定する合議体。懲戒審査委員会の委員等で構成される。
Revocation of the CFA Charter
チャーターの剥奪
懲戒処分のうち重いものの一つで、CFA称号を使用する権利を取り消す措置。ほかに公開譴責や会員資格・称号使用の停止などがある。
LM3 Guidance for Standard I: Professionalism(基準I:プロフェッショナリズム)
Standard I(A) Knowledge of the Law
基準I(A) 法令の知識
適用される法令・規則を理解して順守し、法令と基準が異なる場合はより厳しい方に従うことを求める基準。違反に故意に関与・加担してはならない。
Standard I(B) Independence and Objectivity
基準I(B) 独立性と客観性
合理的な注意と判断で独立性・客観性を保つことを求める基準。判断を損なうと合理的に予想される贈答・利益・報酬の提供、要求、受領を禁じる。
Standard I(C) Misrepresentation
基準I(C) 不実表示
投資分析・推奨・行動などの職業活動について、故意に誤った表示をすることを禁じる基準。重要事項の省略、盗用、変動する投資の成果保証も含む。
Standard I(D) Misconduct
基準I(D) 不正行為
不誠実・詐欺・欺瞞を伴う職業上の行為や、職業上の評判・誠実性・能力を損なう行為を禁じる基準。私生活の行為でも職業上の信用を損なえば対象となる。
Standard I(E) Competence
基準I(E) 専門能力
職業上の責任を果たすのに必要な能力をもって行動し、その能力を維持・向上させることを求める基準。担当分野の知識が不十分なまま業務を行うことはこれに反する。
Dissociation
離脱(ディソシエーション)
違法・非倫理的な活動に関与していると気づいた場合に、その活動から身を引くこと。関与をやめ、必要に応じて上司やコンプライアンス部門に伝える対応を含む。
Plagiarism
盗用
他人の分析・文章・モデルなどを出典を示さずに自分のものとして使う行為。不実表示の典型であり、引用や要約では出典の明示が求められる。
LM4 Guidance for Standard II: Integrity of Capital Markets(基準II:資本市場の健全性)
Standard II(A) Material Nonpublic Information
基準II(A) 重要な未公表情報
投資の価値に影響し得る重要な未公表情報を保有する者に、その情報に基づく取引や、他者に行動させることを禁じる基準。
Materiality
重要性
公表されれば価格に影響する可能性が高いか、合理的な投資家が投資判断の前に知りたいと考えるかで判断する情報の性質。情報源の信頼性も考慮する。
Nonpublic Information
未公表情報
市場に広く伝わっておらず、市場参加者が反応する機会をまだ得ていない情報。一部の者だけに選択的に開示された情報も含まれる。
Mosaic Theory
モザイク理論
公開情報と重要でない未公表情報を組み合わせて導いた結論は、重要な未公表情報に相当する内容であっても利用できるという考え方。
Standard II(B) Market Manipulation
基準II(B) 相場操縦
市場参加者を欺く意図で価格を歪めたり、取引量を人為的に膨らませたりする行為を禁じる基準。意図のない正当な取引戦略は対象外。
Information-Based Manipulation
情報に基づく操作
虚偽や誤解を招く情報を流して価格を動かす相場操縦の類型。噂を流して株価をつり上げ、その後に売り抜ける行為などが該当する。
Transaction-Based Manipulation
取引に基づく操作
見せかけの取引によって価格や出来高を人為的に動かす相場操縦の類型。出来高を膨らませて活発な取引があるように装う行為などが該当する。
Firewall
情報隔壁(ファイアウォール)
重要な未公表情報を扱う部門から他部門への情報伝達を管理する社内の仕組み。部門の物理的分離や人員の兼任回避などで情報の不適切な流出を防ぐ。
Restricted List and Watch List
制限リスト・監視リスト
重要な未公表情報を保有している可能性がある銘柄を管理するリスト。制限リストは取引や推奨を制限し、監視リストは非公開で従業員の取引を監視する。
LM5 Guidance for Standard III: Duties to Clients(基準III:顧客に対する義務)
Standard III(A) Loyalty, Prudence, and Care
基準III(A) 忠実・慎重・注意
顧客に対して忠実義務を負い、合理的な注意と慎重な判断をもって行動することを求める基準。顧客の利益を雇用主や自分の利益より優先する。
Standard III(B) Fair Dealing
基準III(B) 公正な取扱い
投資分析の提供、推奨、投資行動においてすべての顧客を公正かつ客観的に扱うことを求める基準。公正は同一の扱いを意味しない。
Standard III(C) Suitability
基準III(C) 適合性
助言関係において顧客の投資経験、リスク・リターン目標、制約を確認し、ポートフォリオ全体の中で投資が適合するかを判断することを求める基準。
Standard III(D) Performance Presentation
基準III(D) 運用成績の提示
運用成績の情報が公正・正確・完全になるよう合理的な努力をすることを求める基準。成績の誇張や好成績の口座だけの提示を禁じる。
Standard III(E) Preservation of Confidentiality
基準III(E) 守秘義務
現在・過去・見込み顧客の情報の秘密を守ることを求める基準。例外は顧客の違法行為に関わる情報、法律上の開示義務、顧客の許可がある場合。
Investment Policy Statement (IPS)
投資方針書
顧客の投資目的と制約を文書化したもの。適合性判断の土台となり、少なくとも年1回および顧客の状況に重要な変化があったときに見直す。
Client Brokerage
顧客のブローカレッジ
顧客の取引から生じる売買委託手数料。顧客の資産とみなされ、その顧客の利益になる調査やサービスの取得にのみ使うことができる。
Composite
コンポジット
運用目的や戦略が類似する複数の口座をまとめた集合。単一口座ではなくコンポジット単位で成績を示すことで、恣意的な成績提示を防ぐ。
Global Investment Performance Standards (GIPS)
グローバル投資パフォーマンス基準
運用成績の算出と提示に関する世界共通の自主基準。成績の公正な比較を可能にするもので、職業行為基準上の順守は義務ではないが推奨される。
LM6 Guidance for Standard IV: Duties to Employers(基準IV:雇用主に対する義務)
Standard IV(A) Loyalty
基準IV(A) 忠実義務(雇用主)
雇用に関する事項で雇用主の利益のために行動し、技能の提供を怠ることや機密情報の漏えいなど、雇用主に損害を与える行為を避けることを求める基準。
Standard IV(B) Additional Compensation Arrangements
基準IV(B) 追加的報酬の取決め
雇用主の利益と競合し、または利益相反を生むと合理的に予想される報酬・利益を、関係者全員の書面同意なしに受け取ることを禁じる基準。
Standard IV(C) Responsibilities of Supervisors
基準IV(C) 監督者の責任
監督下の者が法令と倫理規範・基準を順守するよう合理的な努力をすることを求める基準。業務を他者に委任しても監督責任は免れない。
Independent Practice
独立業務
雇用主の業務と競合し得る形で個人として報酬を得て行う業務。サービスの内容・期間・報酬を雇用主に伝え、同意を得てから行う必要がある。
Whistleblowing
内部告発
雇用主の違法・非倫理的な行為を明らかにすること。顧客や市場の誠実性を守る目的であれば雇用主への忠実義務の例外として正当化され得るが、私利目的は認められない。
Noncompete Agreement
競業禁止契約
退職後に一定期間、元雇用主と競合する業務を行うことを制限する契約。契約がない場合、退職後に公開情報を用いて旧顧客に連絡すること自体は妨げられない。
Compliance Officer
コンプライアンス・オフィサー
社内で法令・倫理規範の順守体制を運用する担当者。明確な順守手続とともに、十分な権限を持つ者を任命することが監督体制の要となる。
LM7 Guidance for Standard V: Investment Analysis, Recommendations, and Actions(基準V:投資分析・推奨・行動)
Standard V(A) Diligence and Reasonable Basis
基準V(A) 勤勉と合理的根拠
投資分析・推奨・行動において勤勉さ・独立性・徹底性を発揮し、適切な調査に裏付けられた合理的かつ十分な根拠を持つことを求める基準。
Standard V(B) Communication with Clients and Prospective Clients
基準V(B) 顧客・見込み顧客とのコミュニケーション
投資プロセスの形式と一般原則、その重要な変更、重要な限界とリスクを顧客に伝え、事実と意見を区別して示すことを求める基準。
Standard V(C) Record Retention
基準V(C) 記録の保存
投資分析・推奨・行動などを裏付ける適切な記録を作成・維持することを求める基準。記録は会社の財産であり、規制上の定めがなければ少なくとも7年間の保存が推奨される。
Third-Party Research
第三者リサーチ
他社や外部機関が作成したリサーチ。依拠する場合は、その前提・厳密さ・適時性・客観性を確認する合理的な努力が必要となる。
External Manager Selection
外部運用者の選定
運用の一部を外部の運用会社に委ねる際の選定と評価。倫理規範や順守手続、情報の質、表明した戦略の順守状況などを確認する必要がある。
Group Research and Decision Making
グループによるリサーチと意思決定
複数人で推奨を決める場合、個人が結論に反対でも、手続が合理的で十分な根拠があれば報告書に名前を載せてよいとする考え方。
Distinguishing Fact from Opinion
事実と意見の区別
顧客への伝達で、確認された事実と将来予想などの意見を明確に分けて示すこと。予想を事実のように表示すると基準V(B)に反する。
LM8 Guidance for Standard VI: Conflicts of Interest(基準VI:利益相反)
Standard VI(A) Disclosure of Conflicts
基準VI(A) 利益相反の開示
独立性・客観性を損なう、または顧客・見込み顧客・雇用主への義務を妨げると合理的に予想される事項を、十分かつ公正に開示することを求める基準。
Standard VI(B) Priority of Transactions
基準VI(B) 取引の優先順位
顧客と雇用主のための取引を、会員・受験者が受益所有者である取引より優先させることを求める基準。個人の投資自体は禁じていない。
Standard VI(C) Referral Fees
基準VI(C) 紹介手数料
商品・サービスの推奨に関して他者から受け取る、または他者に支払う報酬・利益を、雇用主・顧客・見込み顧客に開示することを求める基準。
Beneficial Ownership
受益所有
名義にかかわらず、取引から経済的な利益を得る立場にあること。本人口座のほか家族口座なども含まれ、顧客である家族の口座は他の顧客と同様に扱う。
Front-Running
先回り取引
顧客の注文を知りながら、その執行前に自分の口座で同じ銘柄を売買する行為。顧客に不利益を与え、取引の優先順位に反する。
Blackout Period
ブラックアウト期間
顧客取引の前後など、従業員の個人取引を禁止する一定の期間。個人取引が顧客取引に先行・干渉することを防ぐ目的で設ける。
Preclearance
事前承認
従業員が個人取引を行う前に、コンプライアンス部門などの承認を得る手続。保有報告や取引確認書の写しの提出とあわせて利益相反を管理する。
LM9 Guidance for Standard VII: Responsibilities as a CFA Institute Member or CFA Candidate(基準VII:CFA協会会員・受験者としての責任)
Standard VII(A) Conduct as Participants in CFA Institute Programs
基準VII(A) CFA協会プログラムへの参加者としての行動
CFA協会やCFA称号の評判・誠実性、協会プログラムの誠実性・有効性・安全性を損なう行為を禁じる基準。試験での不正や機密情報の漏えいが該当する。
Standard VII(B) Reference to CFA Institute, the CFA Designation, and the CFA Program
基準VII(B) CFA協会・CFA称号・CFAプログラムへの言及
CFA協会の会員資格、CFA称号の保有、CFAプログラムの受験について、その意味を誤って表示したり誇張したりすることを禁じる基準。
CFA Institute Membership
CFA協会会員資格
CFA協会の会員としての地位。年会費の支払いと職業行為声明の提出によって維持され、これを欠くと現在の会員であると名乗ることはできない。
Candidate in the CFA Program
CFAプログラム受験者
次の試験に登録しているか、試験結果を待っている者。受験中である事実のみを表示でき、称号取得を示唆する表示は認められない。
Partial Designation
部分的な称号
「CFA Level II」のように、一部のレベルの合格を称号のように示す表示。CFA称号に部分的な段階は存在しないため、このような表示は認められない。
CFA Marks
CFA商標
「CFA」「Chartered Financial Analyst」などの称号表示。形容詞として用い、名詞的な用法や特別な書体での強調、優れた運用成績を連想させる使い方は認められない。
LM10 Application of the Code and Standards: Level I(倫理規範・基準の適用:Level I)
Stakeholders
利害関係者
ある判断や行為によって影響を受ける顧客・雇用主・市場参加者などの関係者。誰にどのような義務を負うかを整理することが評価の出発点となる。
Identify
Identify(特定)
倫理的意思決定フレームワークの要素の一つ。関連する事実、利害関係者と負う義務、関わる倫理原則、利益相反を洗い出す段階。
Consider
Consider(検討)
倫理的意思決定フレームワークの要素の一つ。状況的影響、上司やコンプライアンス部門など追加的な指針、取り得る代替案を検討する段階。
Decide and Act
Decide and act(判断と行動)
倫理的意思決定フレームワークの要素の一つ。特定・検討の結果を踏まえて結論を出し、実際に行動に移す段階。
Reflect
Reflect(振り返り)
倫理的意思決定フレームワークを締めくくる要素。結果が想定どおりだったか、その理由は何かを振り返り、今後の判断の改善につなげる段階。
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