ポートフォリオ・デュレーションとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・債券分析
ひとことで言うと
- 複数の債券を持つポートフォリオのデュレーションは、各債券のデュレーションを時価の構成比で加重平均して求めます。
- 金利が変化したときのポートフォリオの価額変化は、「−ポートフォリオ・デュレーション × 利回り変化 × 時価総額」で見積もれます。
- ただし、すべての年限の金利が同じ幅で動く(平行移動する)ことが前提の近似です。
この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「ポートフォリオの価額変化」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 債券のリターンと金利リスクの分析 |
| 協会の学習ポイント | 債券ポートフォリオの金利変化による価額変化を理解する。 |
債券ポートフォリオの価額変化とは
ポートフォリオ・デュレーション
年金基金や投資信託などは、残存期間やクーポンの異なる多くの債券をまとめて保有しています。1本ずつ価格変化を計算することもできますが、ポートフォリオ全体の金利リスクを1つの数字で把握できると便利です。そこで、各債券の修正デュレーションを、ポートフォリオ全体の時価に占める各債券の時価の割合で加重平均したものをポートフォリオ・デュレーションとして使います。額面ではなく時価で重み付けする点がポイントです。
価額変化の見積もり
ポートフォリオ・デュレーションが分かれば、金利がΔy 変化したときのポートフォリオ全体の価額の変化率は「−ポートフォリオ・デュレーション × Δy」で見積もれます。これに時価総額を掛ければ、金額での変化が分かります。より精度を上げたいときは、同じように時価で加重平均したポートフォリオ・コンベクシティを使って、2次の補正項を加えます。
前提と注意点
この計算は、すべての債券の利回りが同じ幅で変化する(利回り曲線が平行移動する)ことを前提にしています。実際には、短期金利と長期金利が違う幅で動く(スティープ化・フラット化)こともあり、その場合は同じデュレーションのポートフォリオでも価額の変化が異なります。また、デュレーションは近似なので、利回り変化が大きいと誤差が出ます。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| Di、DP | 各債券・ポートフォリオの修正デュレーション |
| CP | ポートフォリオのコンベクシティ(時価加重平均) |
| V | ポートフォリオの時価総額 |
| Δy | 利回りの変化幅(平行移動を仮定) |
具体例で確認
時価総額100億円のポートフォリオが、次の2銘柄で構成されているとします。
- A債:時価60億円、修正デュレーション3、コンベクシティ12
- B債:時価40億円、修正デュレーション8、コンベクシティ80
ポートフォリオ・デュレーション:0.6 × 3 + 0.4 × 8 = 5.0
利回りが0.5%上昇した場合:価額の変化率は −5.0 × 0.005 = −2.5%で、金額にすると −2.5% × 100億円 = −2.5億円です。銘柄ごとに計算しても、A債 −3 × 0.005 × 60億円 = −0.9億円、B債 −8 × 0.005 × 40億円 = −1.6億円で、合計 −2.5億円と一致します。
コンベクシティで補正:ポートフォリオ・コンベクシティは 0.6 × 12 + 0.4 × 80 = 39.2。補正項は 1/2 × 39.2 × 0.0052 ≒ +0.049%なので、価額の変化は約 −2.451%、つまり約 −2.45億円となります。
試験で問われやすいポイント
- 時価の構成比でポートフォリオ・デュレーションを求める計算。額面や銘柄数で平均しないように注意しましょう。
- ポートフォリオ・デュレーションから、金利変化による価額変化(率・金額)を求める問題。
- コンベクシティも時価で加重平均し、2次の補正項に使えること。
- 利回り曲線の平行移動が前提で、形状が変わる場合は見積もりが外れるという限界。
要点まとめ
- ポートフォリオ・デュレーションは各債券のデュレーションの時価加重平均。
- 価額変化 ≒ −ポートフォリオ・デュレーション × Δy × 時価総額。
- コンベクシティも時価加重平均して補正に使える。
- 利回り曲線の平行移動を前提とした近似である。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
