利回り曲線の変化とポートフォリオとは?試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・債券分析
ひとことで言うと
- 利回り曲線の変化は、平行移動(シフト)、傾きの変化(スティープ化・フラット化)、曲率の変化(バタフライ)に分けて考えます。
- 平行移動ならポートフォリオのデュレーションで価額変化を見積もれますが、傾きが変わると年限ごとの保有構成によって損益が変わります。
- 同じデュレーションでも、ブレット型とバーベル型では曲線の形の変化に対する損益が異なります。
この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「利回り曲線の変化と価額」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (9) 債券ポートフォリオによる投資戦略 |
| 協会の学習ポイント | 利回り曲線の変化が債券ポートフォリオの価額に与える影響の概要を理解する。 |
利回り曲線の変化と価額とは
利回り曲線(イールドカーブ)は、残存期間ごとの利回りを結んだ線です。実際の金利変動では、すべての年限の利回りが同じだけ動くとは限りません。そのため債券ポートフォリオの価額がどう変わるかは、「全体の金利水準がどれだけ動いたか」と「曲線の形がどう変わったか」の両方で決まります。
変化の3つのパターン
平行移動(パラレル・シフト)は、すべての年限の利回りが同じ幅だけ動く変化です。スティープ化は短期と長期の利回りの差が広がる変化(曲線の傾きが急になる)、フラット化はその差が縮まる変化です。バタフライは、中期の利回りが短期・長期に比べて相対的に動き、曲線の曲がり具合が変わる変化です。実際の金利変動の多くは、平行移動の要素が最も大きく、次に傾きの変化が大きいといわれます。
ブレット型とバーベル型
特定の年限(例えば5年)に集中して保有する構成をブレット型、短期と長期に分けて保有し中期を持たない構成をバーベル型といいます。両者のデュレーションを同じにそろえれば、平行移動に対する価額変化はほぼ同じです。しかし、スティープ化では長期債を多く持つバーベル型が不利になり、フラット化ではバーベル型が有利になります。また、バーベル型は一般にコンベクシティが大きいため、大きな平行移動に対してはわずかに有利になります。
キーレート・デュレーション
曲線の形の変化による影響をとらえるには、年限ごとの金利感応度(キーレート・デュレーション)を使います。ポートフォリオの価額変化を、各年限の感応度と各年限の利回り変化の積の合計として見積もる方法です。
押さえておきたい公式
具体例で確認
ブレット型は5年債(修正デュレーション4.8)だけを保有します。バーベル型は2年債(修正デュレーション1.95)と10年債(同9.0)を持ち、10年債の比率を約40.4%、2年債を約59.6%として、ポートフォリオのデュレーションを同じ4.8にそろえます。
| 金利の変化 | ブレット型 | バーベル型 |
|---|---|---|
| 全年限 +0.2%(平行移動) | −4.8 × 0.2% = 約−0.96% | −(0.596 × 1.95 + 0.404 × 9.0)× 0.2% = 約−0.96% |
| スティープ化(2年 −0.2%、5年 0、10年 +0.2%) | 0% | −(0.596 × 1.95 × (−0.2%) + 0.404 × 9.0 × 0.2%) = 約−0.50% |
| フラット化(2年 +0.2%、5年 0、10年 −0.2%) | 0% | 約+0.50% |
デュレーションが同じでも、曲線の形が変わると損益に差が出ることが分かります(コンベクシティの影響は無視しています)。
試験で問われやすいポイント
- 平行移動・スティープ化・フラット化・バタフライの定義。
- デュレーションが同じなら、平行移動に対する価額変化はほぼ同じになる点。
- スティープ化ではブレット型が、フラット化ではバーベル型が相対的に有利になる、という方向。
- 年限ごとの利回り変化を使った価額変化の計算(ウェイト × デュレーション × 利回り変化の合計)。
- ポートフォリオ・デュレーションだけでは、曲線の形の変化による影響はとらえられない点。
要点まとめ
- 利回り曲線の変化は平行移動・傾き・曲率に分けて考える。
- 平行移動の影響はポートフォリオ・デュレーションで見積もれる。
- 形の変化の影響は年限ごとの構成で決まり、キーレート・デュレーションでとらえる。
- 同じデュレーションでも、ブレット型とバーベル型で損益が異なる。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
