ポートフォリオ・デュレーションとは?試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・債券分析
ひとことで言うと
- ポートフォリオ・デュレーションは、組み入れた債券のデュレーションを時価の比率で加重平均したもので、ポートフォリオ全体の金利リスクを1つの数字で表します。
- 金利の見通しや負債に合わせてこの値を調整することで、金利リスクを管理します。
- ただし、利回り曲線の平行移動・小さな金利変化を前提とした尺度で、曲線の形の変化や大きな変化、時間の経過によるずれなどには注意が必要です。
この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「デュレーションによるリスク管理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (9) 債券ポートフォリオによる投資戦略 |
| 協会の学習ポイント | ポートフォリオ・デュレーションによるリスク管理とその留意点について理解する。 |
デュレーションによるリスク管理とは
債券ポートフォリオには多くの銘柄が含まれますが、金利が変わったときに全体の価額がどれだけ動くかは、ポートフォリオ・デュレーションでおおまかにつかめます。各債券の修正デュレーションを時価ウェイトで加重平均した値で、例えば4.5なら「金利が1%上がると、ポートフォリオの価額は約4.5%下がる」と読みます。
リスク管理での使い方
運用者は、金利上昇が予想されるときはデュレーションを短くして値下がりを抑え、金利低下が予想されるときは長くして値上がり益を狙います。ベンチマーク(指数)を持つ運用では、ベンチマークのデュレーションとの差を一定の範囲に収めることで、金利リスクの取りすぎを防ぎます。年金など負債を持つ投資家は、資産のデュレーションを負債に合わせることで、金利変動による資産と負債の価値のずれを抑えます。金額ベースでは、金利1bpの変化による価額変化(BPV)で管理することも一般的です。デュレーションの調整は、債券の入替えのほか、債券先物や金利スワップなどのデリバティブでも行えます。
留意点
1つめは、デュレーションは利回り曲線の平行移動を前提にしていることです。短期と長期の金利が違う動きをすると、同じデュレーションでも年限構成によって損益が変わるため、年限ごとの感応度(キーレート・デュレーション)での管理が必要になります。2つめは、デュレーションは価格と利回りの関係を直線で近似したもので、金利が大きく動くと誤差が大きくなる点です。これを補うのがコンベクシティです。
3つめは、時間の経過や金利の変化とともにデュレーションそのものが変わることです。負債に合わせて設定しても、放っておくとずれていくため、定期的なリバランスが必要です。4つめは、繰上償還条項付きの債券やRMBSのように、金利によってキャッシュフローが変わる債券では、実効デュレーションを使う必要がある点です。さらに、社債では国債金利の変化とは別にスプレッドの変化による価格変動があり、デュレーションだけでは信用リスクや流動性リスクはとらえられません。
押さえておきたい公式
具体例で確認
時価100億円のポートフォリオが、次の3銘柄でできているとします。
| 銘柄 | 時価 | 修正デュレーション |
|---|---|---|
| 2年債 | 50億円 | 2.0 |
| 5年債 | 30億円 | 5.0 |
| 10年債 | 20億円 | 10.0 |
- ポートフォリオ・デュレーション:0.5 × 2.0 + 0.3 × 5.0 + 0.2 × 10.0 = 4.5
- BPV:4.5 × 100億円 × 0.0001 = 450万円
- 金利が全年限で0.5%上昇した場合の価額変化:−4.5 × 0.5% × 100億円 = 約−2.25億円
金利上昇を警戒してデュレーションを3.0に短くしたい場合、10年債をx億円売って2年債を買うとすると、デュレーションは x × (10.0 − 2.0) ÷ 100 だけ下がるので、4.5 − 0.08x = 3.0 より、x = 18.75億円の入替えが必要です。ただし、この調整後も短期と長期の金利が違う動きをすれば、見積もりどおりにはなりません。
試験で問われやすいポイント
- ポートフォリオ・デュレーションを時価ウェイトで加重平均して求める計算(額面ウェイトではない点)。
- デュレーションを使った価額変化の計算と、目標デュレーションにするための入替え額の計算。
- デュレーションが利回り曲線の平行移動と小さな金利変化を前提にしている点。
- 時間の経過や金利変化でデュレーションが変わり、リバランスが必要になる点。
- オプション付き債券では実効デュレーション、形の変化にはキーレート・デュレーションが必要な点。
要点まとめ
- ポートフォリオ・デュレーションは時価ウェイトによる加重平均。
- 価額変化 ≒ −デュレーション × 利回り変化 × 時価。
- 金利見通し、ベンチマーク、負債に合わせてデュレーションを調整する。
- 平行移動の前提、大きな変化での誤差、時間によるずれ、オプションやスプレッドの影響に注意する。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
