ひとことで言うと

  • 証券化商品は、裏付け資産の種類によってRMBS(住宅ローン担保証券)CMBS(商業用不動産ローン担保証券)ABS(オートローン・リース・カードなどを裏付けとする証券)CLOなどに分かれます。
  • 日本では、住宅金融支援機構が発行する住宅ローン担保証券(機構MBS)が代表的な存在です。
  • 住宅ローン担保証券では、借り手の繰上返済による期限前償還リスクが重要な特徴です。

この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「証券化商品の概要と市場」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/債券分析
大分類 (8) 証券化商品の仕組みと評価
協会の学習ポイント 証券化商品の概要や市場について理解する。

証券化商品の種類と市場とは

証券化商品は、何を裏付け資産にしているかで性質が大きく変わります。多数の小口の債権を集めたものは、個々のデフォルトの影響が分散されやすく、統計的に損失を見積もりやすいという特徴があります。一方、少数の大口の資産を裏付けにしたものは、個別の資産の分析がより重要になります。

RMBS(住宅ローン担保証券)

多数の個人向け住宅ローンを裏付けとする証券です。日本では、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携した長期固定金利の住宅ローン(フラット35)などの債権を裏付けに、住宅ローン担保証券(機構MBS)を定期的に発行しており、国内の証券化商品の中で中心的な存在となっています。借り手から毎月支払われる元利金が、投資家に払い渡される仕組み(パススルー型)が基本です。

期限前償還リスク

住宅ローンの借り手は、多くの場合いつでも繰上返済ができます。金利が下がると、借り手はより低い金利のローンに借り換えるため、繰上返済が増えます。投資家から見ると、金利が下がったときに元本が早く戻ってきて、それを低い金利で運用し直さなければならず、値上がり益も限られます。逆に金利が上がると繰上返済が減り、元本の回収が遅れます。このように、金利の動きが投資家に不利な方向に働く期限前償還リスクがあるため、RMBSの利回りは同年限の国債より高めになります。日本では、期限前償還の程度を表す指標としてPSJ予測統計値などが使われています。

その他の証券化商品

CMBSはオフィスビルや商業施設などへの不動産ローンを裏付けとし、個々の物件の収益力の分析が重要です。ABSはオートローン、リース料、クレジットカード債権、消費者ローン、売掛債権などを裏付けとします。CLOは企業向け貸出債権を裏付けとする証券です。こうした仕組みを重ねた複雑な商品は、2007〜2008年の金融危機で裏付け資産の劣化が見えにくくなるなどの問題が表面化し、その後、情報開示の充実などの見直しが進められてきました。

整理しておきたいポイント

商品 裏付け資産 主な特徴
RMBS 個人向け住宅ローン 小口分散。期限前償還リスクが大きい
CMBS 商業用不動産ローン 大口で、物件の収益力の分析が重要
ABS オートローン、リース、カード債権など 比較的短期の資産が多い
CLO 企業向け貸出債権 企業の信用力と分散度合いが重要

具体例で確認

投資家Aが、平均的な住宅ローン金利が年2%の時期に発行されたRMBSを買ったとします。その後、市場金利が大きく低下し、新しい住宅ローン金利が1%台前半になりました。

  • 借り手の多くが低い金利への借り換えを行い、繰上返済が急増します。
  • 投資家Aには予定より早く元本が戻ってきますが、再投資できる利回りは下がっています。
  • 一般の固定利付債なら金利低下で大きく値上がりするところ、RMBSは元本が早く返ってくる分、値上がりが限定されます(負のコンベクシティ)。

逆に金利が上昇すると、繰上返済が減って元本の回収が遅くなり、実質的な年限が長くなって値下がりの影響が大きくなります。

試験で問われやすいポイント

  • RMBS・CMBS・ABS・CLOなどの名称と裏付け資産の組み合わせ。
  • 金利低下 → 繰上返済増加 → 元本の早期返済と再投資利回りの低下、という期限前償還リスクの方向。
  • 期限前償還リスクのため、RMBSは負のコンベクシティを持ち、国債より利回りが高めになる点。
  • 日本の証券化市場で住宅金融支援機構のMBSが中心的な存在である点。
  • 小口分散の資産と大口の資産で、分析の重点が異なる点。

要点まとめ

  • 証券化商品は裏付け資産によってRMBS・CMBS・ABS・CLOなどに分かれる。
  • 日本では住宅金融支援機構のMBSが代表的。
  • RMBSの特徴は期限前償還リスクと負のコンベクシティ。
  • 金融危機の経験を踏まえ、裏付け資産の情報開示が重視されている。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。