事業部制と持株会社とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・コーポレート・ファイナンス
ひとことで言うと
- 会社の組織は、機能ごとに分ける職能別組織から、事業ごとに分ける事業部制、さらに独立性を高めたカンパニー制、事業を子会社化して束ねる持株会社へと発展してきました。
- 右に行くほど各事業の自律性と責任が高まり、意思決定が速くなる一方、全社的な調整やシナジーは難しくなります。
- 日本では1997年の独占禁止法改正で純粋持株会社が解禁され、「〇〇ホールディングス」が広がりました。
この記事では、証券アナリスト1次「コーポレート・ファイナンス」の学習ポイントのひとつ「会社の組織形態」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅱ/コーポレート・ファイナンス |
|---|---|
| 大分類 | (1) 株式会社のしくみ |
| 協会の学習ポイント | 株式会社の形態(事業部制や持株会社等)の種類や特徴について理解する。 |
事業部制と持株会社とは
企業が成長し、扱う製品や地域が増えてくると、組織の形も変えていく必要があります。代表的な組織形態を、分権化の度合いが低いものから順に見ていきましょう。
職能別組織
開発・製造・販売・経理など、仕事の機能ごとに部門を分ける形です。専門性を高めやすく、規模の経済も働きますが、利益に責任を持つのは実質的に社長だけで、事業が多くなると意思決定がトップに集中して遅くなります。単一事業の企業に向いた形です。
事業部制
製品・地域・顧客などの事業ごとに事業部をつくり、各事業部が開発から販売までを担って利益責任(プロフィット・センター)を負う形です。現場に近いところで素早く判断でき、事業部長の育成にもつながります。一方、事業部ごとに同じ機能を持つ重複や、自部門の短期利益を優先するセクショナリズムが生じやすくなります。
カンパニー制
事業部制をさらに進め、各事業を社内の独立会社のように扱う形です。損益だけでなく、資産や負債、社内資本金などを割り当てて投資効率(資本の使い方)まで責任を負わせる点が特徴です。ただし法的には一つの会社のままです。
持株会社
各事業を法的に別会社(子会社)とし、その株式を持つ会社がグループ全体を統括する形です。自らは事業を行わずグループ経営に専念する純粋持株会社と、自らも事業を行う事業持株会社があります。事業ごとに人事制度や意思決定を変えやすく、M&Aや事業の売却も行いやすいのが利点です。一方で、子会社の独立性が高まるほどグループとしての一体感やシナジーが弱まりやすく、持株会社の統治力が問われます。
整理しておきたいポイント
| 形態 | 主なメリット | 主なデメリット |
|---|---|---|
| 職能別組織 | 専門性の向上、規模の経済、機能の重複が少ない | トップに意思決定が集中、多角化に不向き |
| 事業部制 | 事業ごとの利益責任が明確、迅速な判断、経営者育成 | 機能の重複、セクショナリズム、短期志向 |
| カンパニー制 | 資産・資本まで含めた責任で投資効率を意識させる | 全社最適との調整が難しい、法的には一体のまま |
| 持株会社 | 事業ごとの柔軟な制度設計、M&Aや再編がしやすい | グループの一体感・シナジーが弱まるおそれ、管理コスト |
具体例で確認
家電メーカーH社は、創業時は一つの製品だけを作っていたため職能別組織でした。やがてテレビ・冷蔵庫・エアコンと製品が増えると、各製品の損益が見えにくくなったため、製品ごとの事業部制に移行しました。さらに事業ごとに必要な投資額や収益性が大きく異なってきたため、各事業に資産と社内資本金を割り当てるカンパニー制を導入し、資本コストを上回るリターンを求めるようにしました。
その後、成長性の低い事業の売却や他社との統合を検討するようになったH社は、持株会社「H社ホールディングス」の下に各事業を子会社としてぶら下げる体制に移行しました。子会社ごとの売却や提携がしやすくなり、グループ全体の事業ポートフォリオの入れ替えを機動的に進められるようになりました。
試験で問われやすいポイント
- 各組織形態のメリットとデメリットの組み合わせが問われやすいです。
- 事業部制は利益責任、カンパニー制は資産・資本まで含めた責任という違いを押さえましょう。
- カンパニー制は社内の区分で法的には一つの会社、持株会社の傘下は法的に別会社という点がひっかけになりやすいです。
- 純粋持株会社と事業持株会社の違いと、日本で純粋持株会社が1997年に解禁された背景を確認しておきましょう。
要点まとめ
- 職能別組織は機能ごと、事業部制は事業ごとに分ける
- 事業部制は利益責任、カンパニー制は資本効率まで責任を負う
- 持株会社は各事業を子会社化し、再編やM&Aを行いやすい
- 分権化が進むほど自律性は高まるが、全社的なシナジーは得にくくなる
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
