金利先渡契約(FRA)とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・デリバティブ分析
ひとことで言うと
- 金利先渡契約(FRA:Forward Rate Agreement)は、将来の一定期間に適用する金利をいま約定しておく店頭取引です。
- 元本は交換せず、約定金利(FRA金利)と実際の参照金利との差額だけを受け払いします。
- 将来の借入コストを固定したい借り手はFRAの買い、運用利回りを固定したい資金の出し手はFRAの売りを使います。
この記事では、証券アナリスト1次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「金利先渡契約(FRA)」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/デリバティブ分析 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 金利・通貨を対象としたデリバティブ |
| 協会の学習ポイント | 金利先渡契約(FRA)の仕組みと利用方法について理解する。 |
金利先渡契約(FRA)とは
FRAは、「3か月後から6か月後までの3か月間」のように、将来のある期間に適用される金利を現時点で決めておく契約です。取引所ではなく金融機関との相対で結ぶ店頭(OTC)デリバティブで、金利を対象にした先渡取引と考えるとわかりやすいです。
ポイントは、元本(想定元本)そのものは受け渡さないことです。期間が始まる時点で参照金利(TIBORなどの短期金利)が確定したら、約定したFRA金利との差に想定元本と期間を掛けた金額だけを受け払いします。
期間の表し方
FRAは「3×6(スリー・バイ・シックス)」のように表します。これは「3か月後にスタートし、6か月後に終わる3か月間の金利」を意味します。1つ目の数字が金利期間の開始時点、2つ目が終了時点です。
買い手と売り手
FRAの買い手は固定金利(FRA金利)を払い、参照金利を受け取る立場です。金利が上がると差額を受け取れるので、将来お金を借りる予定の企業が金利上昇リスクをヘッジするときに使います。反対に売り手は金利が下がると差額を受け取るので、将来資金を運用する予定の投資家が利回り低下に備えるときに使います。
差額決済は期間の「始め」に行う
本来、金利は期間の終わりに支払われます。しかしFRAでは、参照金利が確定する期間の開始時点で差額を決済するのが一般的です。そのため、期間終了時の差額を参照金利で割り引いた金額を受け払いします。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| L | 期間開始時点で確定した参照金利(年率) |
| RFRA | 契約時に約定したFRA金利(年率) |
| τ | 金利期間の長さ(年換算。3か月なら約0.25) |
FRA金利の理論値は、短期と長期のスポット金利から計算されるフォワード・レートです。無裁定の考え方により、「3か月だけ運用してその後3か月をFRA金利で運用する」結果が「6か月間まとめて運用する」結果と等しくなるように決まります。
具体例で確認
A社は3か月後から1億円を3か月間、変動金利で借りる予定があるとします。金利上昇が心配なので、FRA金利1.0%で3×6のFRAを買いました(τ=0.25)。
- 3か月後、参照金利が1.4%に上昇して確定しました。
- 期間終了時点の差額:1億円 × (1.4% − 1.0%) × 0.25 = 100,000円
- 期間開始時点で決済するので割り引く:100,000 ÷ (1 + 0.014 × 0.25) ≒ 99,651円をA社が受け取ります。
A社は実際の借入では1.4%の利息を払いますが、FRAで受け取る差額と合わせると、実質的な借入金利は約定した1.0%に固定されます。逆に金利が0.8%に下がっていれば、A社は差額を支払い、やはり実質1.0%になります。金利が下がったときの恩恵は受けられない点が、オプションとの違いです。
試験で問われやすいポイント
- FRAは元本を交換せず差額だけを決済する店頭取引である、という基本的な仕組みが問われやすいです。
- 「3×6」などの表記がどの期間の金利かを正しく読み取れるかが確認されます。
- 金利上昇に備える借り手は買い、金利低下に備える運用者は売りという立場の対応は、取り違えやすいので注意しましょう。
- 決済額の計算では、期間開始時点の決済なら参照金利で割り引くステップを忘れないことが大切です。
- FRA金利がスポット金利から求めるフォワード・レートと整合的に決まる、という無裁定の考え方も押さえておきましょう。
要点まとめ
- FRAは将来の一定期間に適用する金利をいま決めておく店頭の金利先渡取引です。
- 想定元本は受け渡さず、参照金利とFRA金利の差額だけを受け払いします。
- 借り手は買いで借入コストを、運用者は売りで運用利回りを固定できます。
- 決済は期間開始時点で行うことが多く、そのときは差額を割り引きます。
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