ひとことで言うと

  • 市場構造とは、売り手の数・製品の違い・参入のしやすさなどから見た「市場のタイプ」のことです。
  • 代表的なタイプは完全競争・独占的競争・寡占・独占の4つで、競争の強さが異なります。
  • 競争が弱いほど企業は価格を自分で決めやすくなり(価格支配力)、資源配分の効率性は下がりやすくなります。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「市場構造と競争」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (1) 市場メカニズムと企業行動
協会の学習ポイント 市場構造と競争について説明できる。

市場構造とは

同じ「市場」でも、農産物のように無数の生産者がいる市場と、数社しか存在しない通信や自動車の市場とでは、企業の行動がまったく違います。この違いを整理する枠組みが市場構造です。主に、①売り手(企業)の数、②製品が同質か差別化されているか、③新規参入・退出が自由か、④価格や品質についての情報が行き渡っているか、といった観点で分類します。

プライス・テイカーとプライス・メイカー

完全競争市場の企業は、市場全体から見てとても小さいため、自分の生産量を変えても市場価格に影響を与えられません。このような企業をプライス・テイカー(価格受容者)といいます。一方、独占企業や寡占企業は、生産量を調整することで価格に影響を与えられるプライス・メイカーです。これが市場構造による最も大きな違いです。

競争の度合いと効率性

完全競争では価格が限界費用に等しくなり、社会全体の余剰が最大になる(効率的な資源配分)とされます。独占や寡占では、企業が生産量を絞って価格を限界費用より高くするため、社会的な損失(死荷重)が生じやすくなります。こうした理由から、多くの国で競争を維持するための競争政策(日本では独占禁止法など)が設けられています。

参入障壁

独占や寡占が続く背景には参入障壁があります。巨額の設備投資が必要なこと(規模の経済)、特許や免許などの法的な制約、ブランドや流通網、重要な原材料の支配などが代表例です。

整理しておきたいポイント

市場構造 企業数 製品 参入・退出 価格支配力
完全競争 非常に多い 同質 自由 なし(プライス・テイカー)
独占的競争 多い 差別化 自由 ややあり
寡占 少数 同質または差別化 障壁あり あり(相互依存)
独占 1社 代替財なし 障壁が高い 大きい

具体例で確認

  • 完全競争に近い例:取引所で売買される農産物や、多数の参加者がいる金融市場。個々の参加者は市場価格を受け入れて取引します。
  • 独占的競争の例:飲食店や美容室。店は多く参入も自由ですが、味や立地、サービスで差別化しているため、ある程度自分で価格を決められます。
  • 寡占の例:携帯通信やビール、自動車など、少数の大手が市場の大半を占める業界。ある社の値下げは他社の売上に直接影響するため、各社は互いの出方を読みながら行動します。
  • 独占の例:特許で守られた医薬品や、地域で1社が供給するインフラ事業など。

証券アナリストが企業を分析するとき、その企業がどのような市場構造にいるかは、価格決定力や利益率の持続性を判断する手がかりになります。

試験で問われやすいポイント

  • 完全競争の条件(多数の売り手と買い手・同質の財・参入退出の自由・完全情報)がそろって問われやすいです。
  • 完全競争企業はプライス・テイカー、独占・寡占企業は価格支配力を持つという対比を押さえましょう。
  • 寡占の特徴は企業間の相互依存関係(他社の反応を考慮して行動する)であることが狙われます。
  • 独占的競争は製品差別化があるが参入は自由という組み合わせを、寡占と混同しないよう注意しましょう。
  • 参入障壁の具体例(規模の経済・特許・許認可など)を選ばせる問題にも備えましょう。

要点まとめ

  • 市場構造は企業数・製品差別化・参入障壁・情報で分類する
  • 完全競争→独占的競争→寡占→独占の順に競争が弱まる
  • 競争が弱いほど価格支配力が大きく、死荷重が生じやすい
  • 独占・寡占の背景には参入障壁がある

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。