寡占と独占的競争とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 寡占市場では、企業が互いの出方を読み合って行動するため、ゲーム理論やクールノー・モデルなどで分析します。
- 独占的競争は、製品差別化で短期的には価格支配力を持てるものの、参入が自由なため長期的には超過利潤がゼロになる市場です。
- 企業は価格戦略(価格差別など)や、広告・品質・ブランドといった非価格競争でも競い合います。
この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「不完全競争市場の企業の競争」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析 |
|---|---|
| 大分類 | (1) 市場メカニズムと企業行動 |
| 協会の学習ポイント | 不完全競争市場における企業の競争(寡占市場の競争、製品差別化と独占的競争、価格戦略、非価格競争)について説明できる。 |
不完全競争市場の企業の競争とは
完全競争と独占の中間にある市場を不完全競争市場といい、寡占と独占的競争が代表です。現実の多くの産業はこちらに当てはまるため、企業分析を行う証券アナリストにとっても身近なテーマです。
寡占市場の競争
寡占市場では、1社の値下げや増産が他社の売上に直接影響します。そこで各社は「相手がどう反応するか」を考えながら戦略を決めます。この読み合いを分析する道具がゲーム理論です。どの企業も、相手の戦略を前提にすれば自分の戦略を変える動機がない状態をナッシュ均衡といいます。
数量で競争すると考えるのがクールノー・モデルで、均衡の価格と生産量は独占と完全競争の中間になります。価格で競争すると考えるベルトラン・モデルでは、同質財なら値下げ競争の結果、価格が限界費用まで下がります。また、「値下げには他社も追随するが、値上げには追随しない」と企業が予想すると需要曲線が屈折し、価格が硬直的になるという屈折需要曲線の考え方もあります。
製品差別化と独占的競争
飲食店や衣料品のように、多数の企業がデザインや品質、立地で製品を差別化している市場が独占的競争です。各企業は自社製品について右下がりの需要曲線を持ち、短期にはMR=MCで超過利潤を得られます。しかし参入が自由なので、新規参入によって各社の需要が減り、長期には需要曲線が平均費用曲線に接する点でP=ACとなり、超過利潤はゼロになります。このとき平均費用の最低点より少ない量しか生産しないため、過剰生産能力が生じるとされます。
価格戦略と非価格競争
価格戦略の代表は価格差別で、同じ財でも需要の弾力性が異なる顧客層に別々の価格をつけます(学割やシニア割引、時間帯別料金など)。弾力性の低い層には高く、高い層には安くするのが利潤を増やす方向です。ほかに、新規参入を防ぐためにあえて低めの価格をつける参入阻止価格などもあります。一方、価格以外で差をつける非価格競争には、広告、品質改良、ブランド構築、アフターサービスなどがあり、製品差別化を強めて価格競争を避ける役割があります。
整理しておきたいポイント
| モデル・概念 | 前提 | 結論 |
|---|---|---|
| クールノー・モデル | 各社が数量を選ぶ | 価格・数量は独占と完全競争の中間 |
| ベルトラン・モデル | 各社が価格を選ぶ(同質財) | 価格=限界費用まで低下 |
| 屈折需要曲線 | 値下げのみ追随される | 価格が硬直的になる |
| 独占的競争(長期) | 製品差別化+参入自由 | P=AC、超過利潤ゼロ、過剰生産能力 |
| 価格差別 | 顧客層を分けられ転売できない | 弾力性が低い層ほど高価格 |
具体例で確認
例1:囚人のジレンマ型の価格競争
A社とB社が「高価格を維持」か「値下げ」を選ぶとします。両社とも高価格なら各50の利益、片方だけ値下げすれば値下げした側が70・しなかった側が20、両社とも値下げなら各30の利益です。相手がどちらを選んでも、自社は値下げしたほうが利益が大きい(50より70、20より30)ため、両社とも値下げを選び、各30というナッシュ均衡に落ち着きます。両社がそろって高価格を維持すれば各50を得られたのに、それが実現しない点が囚人のジレンマです。
例2:クールノー均衡
需要曲線P = 100 − Q、2社の限界費用がともに10とします。クールノー均衡では各社30ずつ生産し、合計60、価格は40になります。独占なら生産量45・価格55、完全競争なら生産量90・価格10なので、寡占はその中間の結果になります。
試験で問われやすいポイント
- 寡占の本質は企業間の相互依存関係で、ゲーム理論(ナッシュ均衡・囚人のジレンマ)で分析する点が問われやすいです。
- クールノー(数量競争)は独占と完全競争の中間、ベルトラン(価格競争・同質財)はP=MCという違いを押さえましょう。
- 独占的競争の長期均衡は超過利潤ゼロ・P=AC(接点)・過剰生産能力で、完全競争の長期均衡(AC最低点)との違いが狙われます。
- 価格差別では需要が非弾力的な顧客ほど高い価格をつけるという方向に注意しましょう。
- 広告や品質改良などの非価格競争が製品差別化を強める手段であることも確認しておきましょう。
要点まとめ
- 寡占は相互依存関係にあり、ゲーム理論やクールノー・ベルトランで分析する
- 囚人のジレンマでは、各社の合理的な選択が全体として不利な結果を招く
- 独占的競争は長期に超過利潤ゼロ、過剰生産能力を持つ
- 価格差別は弾力性の低い層に高価格、非価格競争は差別化を強める
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
