百分率貸借対照表と回転率とは?試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・財務分析
ひとことで言うと
- 百分率貸借対照表は、総資産(=負債・純資産合計)を100%として、各項目を構成比で表した貸借対照表です。
- 資本回転率は「売上高 ÷ 資産(資本)」で、資産が売上を生む効率を示します。回転率が高いほど、少ない資産で多くの売上を上げています。
- 回転期間(資産 ÷ 1日当たり売上高など)は回転率の逆数で、資金が寝ている期間を表します。
この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅱ「財務分析」の学習ポイントのひとつ「百分率貸借対照表と回転率」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅱ/財務分析 |
|---|---|
| 大分類 | (10) 財務分析の基礎 |
| 協会の学習ポイント | 百分率貸借対照表を作成し、資本回転率を使った分析ができる。 |
百分率貸借対照表と資本回転率とは
百分率貸借対照表(構成比貸借対照表)とは、貸借対照表の各項目を総資産で割り、総資産を100%として表示したものです。資産の側では「どんな資産にどれだけ資金を投じているか(資産構成)」、負債・純資産の側では「資金をどこから調達しているか(資本構成)」が一目で分かります。流動資産と固定資産の比率、自己資本比率などを企業間や年度間で比べるのに便利です。
資本回転率
資本回転率は、売上高を資産(資本)の額で割った比率で、投下された資金が1年間に何回売上として回収されたかを表します。総資産回転率(売上高÷総資産)は企業全体の効率を、売上債権回転率・棚卸資産回転率・有形固定資産回転率などは、個々の資産の効率を示します。棚卸資産回転率は、在庫が原価で計上されていることから、売上原価を分子に使う方法もあります。
回転期間
回転率の逆数に日数(または月数)を掛けたものが回転期間です。売上債権回転期間は「売上から代金回収までの日数」、棚卸資産回転期間は「在庫として手元にある日数」の目安になります。回転期間が長くなっていれば、回収の遅れや在庫の滞留が疑われ、資金繰りの悪化の兆しとして注意が必要です。
ROAとのつながり
総資産回転率は、デュポン分析で「ROA = 売上高利益率 × 総資産回転率」として登場する効率性の指標です。百分率損益計算書で利益率を、百分率貸借対照表と回転率で効率性を分析すれば、ROAの動きを両面から説明できます。
押さえておきたい公式
具体例で確認
売上高12,000億円の企業の貸借対照表(期中平均とみなす、単位:億円)を百分率にし、回転率を求めます。
| 項目 | 金額(構成比) | 回転率・回転期間 |
|---|---|---|
| 現金・預金 | 1,000(10%) | ― |
| 売上債権 | 2,000(20%) | 6.0回・約61日 |
| 棚卸資産 | 1,500(15%) | 8.0回・約46日 |
| その他流動資産 | 500(5%) | ― |
| 有形固定資産 | 4,000(40%) | 3.0回 |
| 投資その他の資産 | 1,000(10%) | ― |
| 総資産 | 10,000(100%) | 1.2回・約304日 |
負債・純資産の側は、仕入債務1,500(15%)、短期借入金1,000(10%)、長期借入金2,500(25%)、純資産5,000(50%)とします。自己資本比率は50%です。
売上債権回転率は 12,000 ÷ 2,000 = 6回、回転期間は 365 ÷ 6 ≒ 61日(約2か月)です。棚卸資産は売上高基準で8回(約46日)、売上原価を9,000とすれば原価基準で6回になります。仮に翌期、売上高が変わらないまま売上債権が3,000に増えれば、回転率は4回、回転期間は約91日に延び、回収条件の悪化を疑うきっかけになります。
試験で問われやすいポイント
- 各資産の回転率・回転期間の計算。回転率と回転期間は逆数の関係にある点を押さえましょう。
- 棚卸資産回転率の分子に売上高を使うか売上原価を使うかで値が変わる点。問題文の指定に従います。
- 回転期間が長くなる(回転率が下がる)ことの意味:回収の遅れ、在庫の滞留、資産効率の低下。
- 百分率貸借対照表から自己資本比率や資産構成を読み取る問題、総資産回転率とROAの関係も確認しておきましょう。
要点まとめ
- 百分率貸借対照表は、総資産を100%として資産構成と資本構成を示したもの。
- 資本回転率 = 売上高 ÷ 資産。高いほど資産を効率よく使っている。
- 回転期間 = 365 ÷ 回転率。長くなれば資金の滞留を示す。
- 総資産回転率は、売上高利益率とともにROAを決める要素。
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
