ひとことで言うと

  • リターン(収益率)は、投資した金額に対してどれだけ増えたか(減ったか)を割合で表したものです。
  • 割引現在価値は、将来受け取るお金を割引率で割り引いて「今の価値」に直したものです。
  • どちらも、ポートフォリオ理論や証券評価のすべての計算の出発点になります。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「リターンと割引現在価値」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (1) 現代ポートフォリオ理論
協会の学習ポイント 投資のリターンと割引現在価値について理解する。

リターンと割引現在価値とは

投資のリターン(収益率)

投資のリターンとは、一定期間に投資から得られた成果を、期初の投資額に対する割合で表したものです。株式なら「期中に受け取った配当」と「期末と期初の株価の差」を合計し、期初の株価で割ります。こうして求めた1期間の収益率を保有期間収益率といいます。

複数期間のリターンを扱うときは、平均の取り方に注意が必要です。各期の収益率を単純に足して期間数で割る算術平均と、複利で運用したときに毎期平均何%増えたことになるかを表す幾何平均があります。価格が上下に振れると、幾何平均は算術平均より小さくなります。過去の実績を「複利でどれだけ増えたか」で評価するなら幾何平均、1期先の期待値を考えるなら算術平均を使うのが基本です。

割引現在価値

今日の100万円と1年後の100万円は、同じ価値ではありません。今日の100万円は運用すれば1年後に利息分だけ増えるからです。この「お金の時間価値」を考え、将来のキャッシュフローを(1+割引率)のべき乗で割って現在の価値に直したものが割引現在価値(PV)です。逆に、現在の金額を複利で将来に引き延ばしたものを将来価値(FV)といいます。

割引率には、その投資のリスクに見合ったリターン(要求収益率)を使います。リスクが高い資産ほど割引率は高くなり、同じキャッシュフローでも現在価値は小さくなります。株式や債券の理論価格は、将来のキャッシュフローの割引現在価値の合計として求められます。

押さえておきたい公式

R = (P1 − P0 + D) ÷ P0保有期間収益率(P0:期初価格、P1:期末価格、D:期中の配当・利子)
PV = CFt ÷ (1 + r)tt年後のキャッシュフローの割引現在価値。複数あるときは各期の現在価値を合計する
FV = PV × (1 + r)t将来価値(複利)
幾何平均 = [(1 + R1)(1 + R2)…(1 + Rn)]1/n − 1算術平均 = (R1 + … + Rn) ÷ n
記号 意味
r 割引率(要求収益率)
t 受け取りまでの期間(年)
CFt t年後のキャッシュフロー

具体例で確認

① 保有期間収益率:株価1,000円の株式を買い、1年間で配当30円を受け取り、1年後の株価が1,070円になったとします。

  • R = (1,070 − 1,000 + 30) ÷ 1,000 = 10%

② 算術平均と幾何平均:1年目+20%、2年目−10%だったとします。

  • 算術平均:(20% − 10%) ÷ 2 = 5%
  • 幾何平均:(1.2 × 0.9)1/2 − 1 = 1.081/2 − 1 ≒ 3.92%
  • 2年間で実際に増えたのは8%なので、毎年5%ずつ増えたわけではありません。複利の実績を表すのは幾何平均です。

③ 割引現在価値:3年後に受け取る100万円を、割引率5%で現在価値に直します。

  • PV = 1,000,000 ÷ 1.053863,838円
  • 逆に、今の100万円を5%で3年運用した将来価値は 1,000,000 × 1.053 = 1,157,625円です。

試験で問われやすいポイント

  • 保有期間収益率の分子には、値上がり益だけでなく配当・利子も含める点。配当を入れ忘れる計算ミスが狙われます。
  • 算術平均と幾何平均の違い。値動きがあると幾何平均は算術平均以下になり、「+20%、−10%なら平均5%増えた」は誤りです。
  • 割引率が高いほど、また受け取りが先であるほど、現在価値は小さくなるという方向性。
  • 将来価値と現在価値は、(1+r)tを掛けるか割るかの逆の関係にあること。
  • 複数のキャッシュフローは、各期ごとに割り引いてから合計すること。

要点まとめ

  • リターンは(値上がり益+配当・利子)÷期初価格で求める。
  • 複数期間の実績は幾何平均、1期の期待値は算術平均で考えるのが基本。
  • 割引現在価値は将来のキャッシュフローを(1+r)tで割って求める。
  • 割引率が高いほど、期間が長いほど現在価値は小さくなる。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。