ポートフォリオの期待リターンと分散とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- ポートフォリオの期待リターンは、各資産の期待リターンを投資比率で加重平均したものです。
- ポートフォリオの分散は、各資産の分散だけでなく、資産どうしの共分散の項も含めて計算します。
- そのため、ポートフォリオの標準偏差は、ふつう各資産の標準偏差の加重平均より小さくなります。
この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「ポートフォリオの期待値と分散」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (1) 現代ポートフォリオ理論 |
| 協会の学習ポイント | ポートフォリオ・リターンの期待値とその分散(および標準偏差)について理解する。 |
ポートフォリオの期待リターンと分散とは
ポートフォリオとは、複数の資産を組み合わせたものです。ポートフォリオ理論では、組み合わせた全体の期待リターンとリスク(分散・標準偏差)を、個々の資産の情報から計算します。ここで扱う計算は、後の効率的フロンティアやCAPMの土台になる最重要の論点です。
期待リターンは単純な加重平均
ポートフォリオの期待リターンは、各資産の期待リターンに投資比率(ウェイト)を掛けて合計したものです。投資比率は合計が1(100%)になるように決めます。期待リターンについては、組み合わせても「足し算以上・以下」の効果は生じません。
なお、個々の資産の期待リターン自体は、将来の景気などのシナリオごとのリターンに発生確率を掛けて合計する方法で求めることもあります。
分散には共分散が入る
一方、ポートフォリオの分散は単純な加重平均にはなりません。2資産の場合、「資産1の分散×比率の2乗」「資産2の分散×比率の2乗」に加えて、「2×比率×比率×共分散」の項が入ります。共分散は、2つの資産のリターンが同じ方向に動くか、逆方向に動くかを表す指標で、相関係数と各資産の標準偏差の積で表せます。
相関係数が1より小さければ、一方が下がるときに他方がそれほど下がらない(または上がる)ことで値動きが一部打ち消し合い、ポートフォリオのリスクは個別資産のリスクの加重平均より小さくなります。これが分散投資の効果です。資産の数が増えると、分散の計算では個々の分散よりも共分散の項の数が圧倒的に多くなり、ポートフォリオのリスクは主に資産間の共分散で決まるようになります。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| wi | 資産iへの投資比率 |
| σi | 資産iの標準偏差 |
| σ12 | 資産1と資産2の共分散 |
| ρ12 | 資産1と資産2の相関係数(−1〜+1) |
具体例で確認
資産A(期待リターン8%、標準偏差15%)に60%、資産B(期待リターン12%、標準偏差25%)に40%投資し、両者の相関係数を0.3とします。
- 期待リターン:0.6 × 8% + 0.4 × 12% = 9.6%
- 共分散:0.3 × 0.15 × 0.25 = 0.01125
- 分散:0.62 × 0.152 + 0.42 × 0.252 + 2 × 0.6 × 0.4 × 0.01125
= 0.0081 + 0.0100 + 0.0054 = 0.0235 - 標準偏差:√0.0235 ≒ 15.33%
標準偏差の加重平均は 0.6 × 15% + 0.4 × 25% = 19%ですが、実際のポートフォリオの標準偏差は約15.33%にとどまっています。相関係数が1未満であることによる分散投資の効果です。
試験で問われやすいポイント
- 期待リターンは加重平均だが、標準偏差は加重平均にならない(相関係数が1のときだけ一致する)点。
- 分散の式の共分散の項に「2×」を付け忘れるミス、比率を2乗し忘れるミスに注意しましょう。
- 共分散と相関係数の変換(σ12 = ρσ1σ2)。問題文でどちらが与えられているかを確認します。
- 最後に平方根を取って標準偏差に直す手順。分散のまま答える誤りに注意しましょう。
- 資産数が多いポートフォリオでは、リスクは主に共分散で決まるという考え方。
要点まとめ
- ポートフォリオの期待リターンは各資産の期待リターンの加重平均。
- 分散は各資産の分散に共分散の項(2w1w2σ12)を加えて求める。
- 共分散=相関係数×両資産の標準偏差。
- 相関係数が1未満なら、標準偏差は加重平均より小さくなる。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
