リスク回避度とリスク許容度とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- リスク回避度は、投資家がリスクをどれだけ嫌うかの度合いです。回避度が高いほど、同じリスクを取るのにより大きなリターンの上乗せを求めます。
- リスク許容度は、どれだけリスクを受け入れられるかの度合いで、リスク回避度の逆数として表されることがあります。
- リスク回避度が高い投資家ほど、リスク資産への配分は小さくなります。
この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「リスク回避度とリスク許容度」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (1) 現代ポートフォリオ理論 |
| 協会の学習ポイント | 投資家のリスク回避度(およびリスク許容度)について理解する。 |
リスク回避度とリスク許容度とは
リスク回避的な投資家であっても、リスクの嫌い方の強さは人によって違います。この強さを数値で表したものがリスク回避度です。リスク回避度が高い投資家は、少しのリスクでも大きな見返り(リスク・プレミアム)を要求し、リスク回避度が低い投資家は、比較的小さな見返りでもリスクを受け入れます。
効用関数から見たリスク回避度
理論的には、リスク回避度は効用関数の曲がり具合(凹の度合い)で表されます。代表的なのがアロー=プラットの絶対的リスク回避度で、効用関数の2階微分を1階微分で割り、マイナスを付けたものです。富Wを掛けたものを相対的リスク回避度といいます。効用関数の曲がり方が大きいほど、リスク回避度は高くなります。
平均・分散の効用関数とリスク回避度
ポートフォリオ理論の計算では、効用を「期待リターンからリスクのペナルティを差し引いたもの」として U = E(R) − ½Aσ2 と表すことがよくあります。このAがリスク回避度で、Aが大きいほど分散(σ2)1単位あたりの効用の減り方が大きくなります。Aが0ならリスク中立的です。
リスク許容度は、リスク回避度の逆数(1/A)として定義されることがあります。実務では、投資家の年齢、資産額、収入の安定性、投資期間などの「リスクを取れる能力」と、心理的な「リスクを取る意欲」の両面からリスク許容度を判断し、投資政策に反映させます。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| A | リスク回避度 |
| E(R)、σ | リスク資産の期待リターン、標準偏差 |
| Rf | 安全資産の利子率 |
具体例で確認
期待リターン10%、標準偏差20%のリスク資産と、利子率3%の安全資産があるとします。効用を U = E(R) − ½Aσ2 で測ります(%は小数で計算)。
| 投資家 | リスク資産の効用 | 安全資産の効用 | 判断 |
|---|---|---|---|
| A = 2 | 0.10 − ½ × 2 × 0.04 = 0.06 | 0.03 | リスク資産を選ぶ |
| A = 6 | 0.10 − ½ × 6 × 0.04 = −0.02 | 0.03 | 安全資産を選ぶ |
両者を組み合わせられる場合の最適なリスク資産の比率は、
- A = 2:(0.10 − 0.03) ÷ (2 × 0.04) = 87.5%
- A = 6:(0.10 − 0.03) ÷ (6 × 0.04) ≒ 29.2%
同じ投資機会でも、リスク回避度が高い投資家ほどリスク資産を少なく持つことがわかります。
試験で問われやすいポイント
- リスク回避度が高いほど、要求するリスク・プレミアムが大きく、リスク資産への配分が小さくなるという方向性。
- U = E(R) − ½Aσ2 で、σではなく分散σ2を使う点、%を小数に直して計算する点。
- A = 0 はリスク中立、A > 0 がリスク回避的であること。
- リスク許容度はリスク回避度の逆数として扱われることがある点。
- アロー=プラットの絶対的・相対的リスク回避度の定義(効用関数の曲率)。
要点まとめ
- リスク回避度はリスクを嫌う強さ、リスク許容度は受け入れられる度合い。
- 平均・分散の効用関数では U = E(R) − ½Aσ2 のAがリスク回避度。
- リスク回避度が高いほどリスク資産への最適配分は小さくなる。
- 実務では能力と意欲の両面からリスク許容度を判断する。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
