ひとことで言うと

  • 最適ポートフォリオは、効率的フロンティアと投資家の無差別曲線が接する点のポートフォリオです。
  • 効率的フロンティアは誰にとっても同じですが、無差別曲線の形はリスク回避度によって異なるため、最適ポートフォリオは投資家ごとに違います。
  • リスク回避度が高い投資家ほど、フロンティアの左下(低リスク・低リターン)の点を選びます。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「最適ポートフォリオの決定」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (1) 現代ポートフォリオ理論
協会の学習ポイント 投資家のリスク回避度と最適ポートフォリオの決定方法について理解する。

最適ポートフォリオとは

効率的フロンティアは「選ぶ価値のあるポートフォリオの候補」を示してくれますが、その中からどれを選ぶかまでは教えてくれません。最終的な選択には、投資家自身の好み、つまりリスク回避度が必要です。

無差別曲線との接点

投資家の好みは、期待リターンと標準偏差の平面上に描いた無差別曲線で表されます。同じ曲線上の点はどれも同じ効用で、左上にある曲線ほど効用が高くなります。投資家はできるだけ左上の無差別曲線に到達したいのですが、実際に選べるのは効率的フロンティア上の点だけです。

そのため、効率的フロンティアにちょうど接する無差別曲線が、到達できる最も高い効用を表し、その接点が最適ポートフォリオになります。数式で考えると、効用 U = E(R) − ½Aσ2 を効率的フロンティア上で最大にする点を探すことと同じです。

リスク回避度と最適点の位置

リスク回避度が高い投資家の無差別曲線は傾きが急なので、フロンティアの左下寄り(最小分散ポートフォリオに近い点)で接します。リスク回避度が低い投資家の無差別曲線は傾きが緩やかなので、右上寄り(高リスク・高リターンの点)で接します。

なお、ここでの議論はリスク資産だけで構成されるポートフォリオを前提にしています。安全資産を組み合わせられる場合は、まずリスク資産の最適な組み合わせ(接点ポートフォリオ)が全員共通に決まり、投資家ごとの違いは安全資産との配分だけになります(分離定理)。

押さえておきたい公式

最大化:U = E(RP) − ½ × A × σP2効率的フロンティア上のポートフォリオの中で、効用Uが最大となる点が最適ポートフォリオ
要素 決まり方
効率的フロンティア 資産の期待リターン・分散・相関から客観的に決まる(全員共通)
無差別曲線 投資家のリスク回避度で決まる(人によって異なる)
最適ポートフォリオ 両者の接点

具体例で確認

資産X(期待リターン8%、標準偏差15%)と資産Y(期待リターン12%、標準偏差25%)、相関係数0.3で効率的フロンティアをつくります(Xの比率が82%以下の部分)。リスク回避度A=2の投資家と、A=10の投資家の効用 U = E(R) − ½Aσ2 を計算すると次のとおりです。

資産Xの比率 期待リターン 標準偏差 U(A=2) U(A=10)
82% 8.72% 14.31% 0.0667 −0.0152
76% 8.96% 14.39% 0.0689 −0.0139
50% 10.00% 16.39% 0.0731 −0.0344
30% 10.80% 19.33% 0.0706 −0.0789

A=2の投資家は資産Xを50%とするポートフォリオ(期待リターン10%)で効用が最大になり、A=10の投資家は資産Xを76%とする、より低リスクのポートフォリオで効用が最大になります(いずれも1%刻みで探した結果)。同じフロンティアでも、リスク回避度によって最適点が変わることがわかります。

試験で問われやすいポイント

  • 最適ポートフォリオは「効率的フロンティアと無差別曲線の接点」であること。交点ではなく接点である点がポイントです。
  • リスク回避度が高いほど無差別曲線の傾きが急になり、最適点はフロンティアの左下寄りになるという方向性。
  • 効率的フロンティアは全員共通、無差別曲線は投資家ごとに異なるという区別。
  • 効用の式を使って複数の候補から最適なポートフォリオを選ぶ計算問題。
  • 安全資産がある場合は分離定理につながり、考え方が変わる点。

要点まとめ

  • 最適ポートフォリオは効率的フロンティアと無差別曲線の接点。
  • 効用 U = E(R) − ½Aσ2 を最大にする点を選ぶ。
  • リスク回避度が高いほど低リスク・低リターンの点が最適になる。
  • 安全資産がある場合は分離定理の考え方に進む。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。